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【保存版】相続が発生してから相続税を納めるまでの9ステップ=小櫃麻衣

今回は、相続が発生してから相続税を申告・納税するまでの手順を全部で9つのステップにまとめて解説いたします。相続で慌てないためにおさらいしておきましょう。(『FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』小櫃麻衣)

相続人の腕次第。相続を「争族」にしない最低限の基礎知識を解説

相続で慌てないために

今回は、相続が発生してから相続税を申告・納税するまでの手順を簡単にまとめて解説いたします。

死亡届の提出」から「相続税の納税」まで、すべての工程を覚えることは大変ですが、どんな手続きがあるのかだけでも覚えておくと、実際に相続手続きを進める際に役に立つでしょう。

第1のステップ:死亡届の提出

被相続人の死亡を知った日から7日以内、国外で死亡した時には3ヶ月以内に行いましょう。

死亡届の提出は、葬儀会社が代行してくれることがほとんどですので、詳しいことは葬儀会社の方に聞くと良いでしょう。

第2のステップ:相続方法の決定

死亡した方の負債も含む全財産を相続する「単純承認」、逆に一切相続しない「相続放棄」、もしくはプラスの財産の中でマイナスの財産の返済に充てる「限定承認」のいずれかを選択します。

単純承認では、手続きが必要ありませんが、相続放棄や限定承認を選択する場合には、3ヶ月以内に家庭裁判所で所定の手続きを行わなければなりません。

相続放棄は、相続人が単独で申請することができますが、限定承認は、相続人全員で申請しなければなりませんので、覚えておきましょう。

第3のステップ:遺言書の有無確認

遺言書は、自筆証書遺言秘密証書遺言公正証書遺言の3種類に分けることができます。

遺言書を発見したら、まずはその遺言書がどの種類に属するのかを確認しましょう。

自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合には、家庭裁判所での検認手続きを経て初めて開封できます

公正証書遺言の場合には、検認手続きは不要でその場で開封することができます。

第4のステップ:法定相続人の調査

法定相続人の調査を行うには、死亡した方の出生から死亡までの連続した戸籍を集める必要があります。

まずは死亡した方の死亡時に本籍を置いていた役所で戸籍を受け取り、そこから出生時までの戸籍を遡って調査していくことになります。

本籍地で戸籍謄本を受け取ったら、窓口の担当者に、次にどこの戸籍を取れば良いのかを聞けば教えてくれますので、その手順を繰り返し、出生までの戸籍を取り寄せましょう。

ちなみに戸籍は、郵送してもらうことも可能です。

戸籍をすべて集めることができたら、法定相続人となる方を確定させ、法定相続人の調査は終了となります。

また相続人の現在戸籍も、死亡した方との相続関係を証明する書類として提出を求められますので、合わせて準備しておくと良いでしょう。

Next: 法定相続人の決め方は? 相続を「争族」にしないために



相続を「争族」にしないために

次に、戸籍収集を完了させたら、どのように法定相続人を決めるのかという点について解説していきます。

相続権を有する可能性のある方は、死亡した方の配偶者・子供・両親・兄弟姉妹であり、相続人の中でも相続順位が設けられています。

配偶者にはどんなことがあっても相続権が発生し、続いて、第1順位の相続人は子供、第2順位の相続人は両親、第3順位の相続人は兄弟姉妹となります。

配偶者は常に相続人となれますが、配偶者以外の順位がついている相続人がいる場合には、配偶者と順位のついている相続人がセットで相続人となります。

また、法定相続人を確定させるにあたって、代襲相続というポイントも重要になります。

代襲相続とは、相続人となるはずであった方がいない時に、その方の直系卑属に相続権が移行することを指し、例えば子供がいなければ孫、孫がいなければひ孫と代襲を繰り返していきます。

ただし、兄弟姉妹の代襲相続は、兄弟姉妹の子供、つまり死亡した方からみて甥・姪までで代襲が終了しますので気をつけましょう。

第5のステップ:相続財産の調査

相続財産には、通常の相続財産と、みなし相続財産の2つに分けることができますので、それぞれ別枠で考えていきます。

相続財産の申告漏れがあると、後の税務調査で厳しいペナルティが課されるので、申告漏れが発生しないようにしましょう。

また、相続時精算課税制度によって相続人が取得した財産や、相続開始3年以内の贈与により取得した財産は、相続財産に算入しなければならないため、これについても申告漏れが起こらないようにしましょう。

マイナスの財産で代表的なものといえば、死亡した方が残した借金や未払いの医療費などを挙げることができますが、死亡した方の葬儀にかかった費用も債務として算入することができます。

マイナスの財産の合計額は、先ほど求めたプラスの財産の総額から引くことができ、その額を元に相続税の計算を行うことになります。

第6のステップ:遺産分割協議

遺産分割協議とは、死亡した方の遺産をどのように相続するかを話し合うことをいいます。

遺言書があれば、原則、遺言書に示されている遺産分割方法に従って話し合いを進めていくことになります。

遺言書がなければ、死亡した方の財産は、死亡と同時に相続人の法定相続分に応じた共有状態になります。

遺言書があったとしても、一部の財産しか遺産分割方法が提示されていない場合には、それ以外の財産は遺産分割協議にかけなければなりません。

また、遺産分割協議を終えた後に遺言書が発見されれば、再び遺産分割協議をやり直さなければならなりません。ですので、遺品整理の際には、遺言書が保管されていそうな場所をしっかり確認しましょう。

Next: 不備があると厳しいペナルティに…。申告・納税の方法は?



第7のステップ:準確定申告

準確定申告とは、相続人が死亡した方の代わりに、1月1日から死亡した日までに確定した所得について、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に所得税の申告・納税を行うことを指します。

死亡した方が生前、ご自身で確定申告を行なっていた場合には、準確定申告も必要になると覚えておいていただければ構いません。

また、高額の医療費を支払っていた方などは、準確定申告を行うことによって、税金が還付される可能性もありますので覚えておきましょう。

第8のステップ:遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書とは、誰がどの財産を相続したのかなど、遺産分割協議での話し合いの結果をまとめた書類のことを指します。

遺産分割協議書の作成は、義務ではなく、作成しなくても法的に何の問題もないのですが、相続人同士で言った言わないのトラブルに繋がる可能性が高いので、作成しておいたほうが無難でしょう。

遺産分割協議書は、相続人の数だけ作成し、各自一通ずつ保管します。

遺産分割協議書の作成は義務ではないと言えども、相続登記、つまり死亡した方の所有不動産の名義変更を行う際には、遺産分割協議書の提出が義務付けられます。

ただし、法定相続分通りの持ち分で相続登記を行うケースや、相続人が1人しかいないケース、遺言書に示されている通りに不動産の相続を行うケースでは、遺産分割協議書を作成しなくても、相続登記を行うことができますので覚えておきましょう。

第9のステップ:相続税の申告・納税

相続税の申告・納税で、一番気を付けなければならないことは、相続税の減額措置である控除特例を使うことによって、相続税の納税義務が発生しなかったというケース。

相続税の申告書に、「このような控除や特例を使うので、相続税は納めません」と申告することで、はじめて適用されるのです。

相続税の軽減措置である控除や特例は、10ヶ月以内に申告手続きをしなければ適用されません。つまり、10ヶ月以内に申告・納税をするなら、この制度を使ってもいいよという相関関係にあるのです。

期限を守っていれば相続税の納税義務が発生しなかったのにも関わらず、期限後に申告したことによって、本来は納めなくても良かった相続税にプラスして、罰金までも支払うということになりかねませんので気を付けましょう。

相続手続きは相続人の腕にかかっている

以上が、相続が発生してから相続税を申告・納税するまでの手順の簡単なおさらいでした。

すべての工程を覚えることは大変ですが、どんな手続きがあるのかだけでも覚えておくと、実際に相続手続きを進める際に役に立つでしょう。

相続手続きは、相続人の腕にかかっています。最低限の知識を身につけ、スムーズに手続きを完了させましょう。

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FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』(2018年4月30日, 5月2日, 5月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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