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投資物件のDIYは損か得か? ペンキ塗りの時給換算で検証する=姫野秀喜

大家さんが自分の投資物件の「ペンキ塗り」をすることは、時間の使い方としてもったいないのでしょうか?アリなのでしょうか? 時給換算で検証してみました。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

大家さんの素朴な疑問。人を雇って浮いた時間で物件を探すべき?

大家のDIYは経済的か?

ゴールデンウィーク中に所有物件のペンキ塗りをしました。

その時に、時間単価の高い人がペンキ塗りをするということは、時間の効率的な使い方として、どういう意味があるのだろうと考えました。

そこで今回は、どのように時間を使うことが最も効率的なのかを考えます。

ところで、みなさんは時間単価って考えたことがありますか?

時間単価って、どのように考えるのが正しいのでしょうね。よく高年収の人は時給に換算するといくらくらいだから、その分、人を雇って自分はもっと別の仕事をしたほうがよいというような言説を耳にします。

しかし、仮に人を雇って、ペンキ塗りをしてもらったとして、空いた時間を無為に過ごせば、人を雇ったコストの分だけ全体としての利得は減るわけです。

つまり、時間単価が高い人が人を雇って節約した時間は、雇った人に支払う金額よりも高い利得が得られる仕事をしなければ意味がないわけです。

時給の高いエリートサラリーマンの場合、会社が休みの週末に、仕事をしようと思ってもできませんので、人を雇ってペンキ塗りをしてもらっても、その分の給料を稼げるわけではないので、意味がないわけです。

物件の金額によってアリかナシかが分かれる

もちろん、その分、物件を探すことに時間を使ったほうがよいというのは納得できますが、それは本業での時間単価が高い・低いには該当しません。

購入をする物件を保有する全期間における合計利得を時給に換算して、その時間単価がペンキ塗りに雇う人の時給を超える場合は、雇ったほうがよく、時給未満の場合は自分でペンキを塗ったほうが良いということになります。

わかりやすくいうと、100万円とか安い物件を購入すると、その物件から得られる合計利得は低いため、時給換算してペンキ塗りの人の時給よりも安くなる可能性があり、1億円とかの物件を購入するのに時間を使った場合は、時給が高くなるということになります。

Next: 大家のペンキ塗りは得か損か。時給換算で考える



実際に計算してみる

で、いくらくらいの規模の物件になると、ペンキ塗りをするよりも物件を探すことに時間を使ったほうが良いのか、簡単に計算してみました。

【物件に使う全時間を算定】

物件の購入にかかる時間は私の経験則から、良い物件を探し出すのに100時間、現地調査に16時間、売買に8時間、金消に8時間くらいで考えましょう。

管理運営は毎月1時間、修繕や入居の手配などで毎年8時間、確定申告などで8時間の年間28時間かかり、20年で560時間です。

物件の売却にかかる時間は、売買に8時間、銀行関係に8時間くらいで考えましょう。

上記すべての合計時間は「708時間」。これは物件を探し、購入して、20年間保有し、売却するまでにかかるすべての時間です。

【物件の生涯収益を計算】

ペンキ塗りは4時間程度で5万円くらいと想定して、時給12,500円とすると

708時間×12,500円=885万円となります。

物件が売却まで生涯にわたって稼ぎ出す金額が885万円よりも高ければ、ペンキ塗りの時給を超えるということになります。

【物件の購入価格、売却価格を算定】

物件の保有期間を20年、保有期間中の手取りは、毎年物件価格の2%、物件の売却金額は、購入金額の70%程度とします。

20年で30%程度しか値下がりしないと想定します。これはなかなかに優秀な物件ですね。なかなかこれほど優秀な物件を購入できている投資家は少ないと思いますが、今回は優秀な投資家という前提で話を進めます。

で、このあたりからだんだん計算がややこしくなってきたのでエクセルで計算しました。

毎年の家賃収入と売却価格およびそれに付随する費用から逆算して、物件価格1,610万円のものを購入できると、おおよそ時給が12,500円を超えることになります。

なお、売却時に大損して、物件価格の50%程度に下落してしまった人は、その分だけ時給が下がるわけですから、物件価格2,370万くらいのものでないと、時給が12,500円未満となります。

結論:安い物件なら自分でペンキを塗れ

ペンキ塗りの時給(12,500円)を超えるには、最低でも1,610万円以上の物件を探すことに時間を費やす必要がある。

物件価格が半値まで下落する物件の場合、2,370万円以上の物件を探さないと、ペンキ塗りの時給には届かない。

まぁ、そう考えると、3,000万円程度の手ごろな物件を探している人は、おおよそペンキ塗りを人に頼んで、その浮いた時間で物件を探したり購入したほうが良いことになります。

そして、1,000万円くらいの安い物件を購入する人は、自分でDIYしたほうが良いということがわかりますね。

意外に、感覚通りの結論で良かったです。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2018年5月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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