マネーボイス メニュー

日経平均は年初高値に戻しても、5月以降は2万0347円以下を目指す=伊藤智洋

本年の値動きも該当するが、年明け後すぐに下降を開始する年には共通点がある。年初の高値に戻す場面があっても、2万3000円以上を目指す展開にはならないだろう。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年5月13日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(ドル円、NYダウの今後のシナリオ)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

6~9月に上昇する理由なし。パワートレンドで読む今後の値動き

「年明け後、すぐに下降」を開始した年の共通点は

下の図は、1990年、1992年、1995年、2001年、2003年、2008年、2016年の日経平均株価の値動きです。1990年以降で、本年のように年明け後、すぐに下降を開始した年をすべて掲載しています(この記事の最後には、2018年を載せています)。

<図01:90年の日経平均株価日足>

<図02:92年の日経平均株価日足>

<図03:95年の日経平均株価日足>

<図04:01年の日経平均株価日足>

<図05:03年の日経平均株価日足>

<図06:08年の日経平均株価日足>

<図07:16年の日経平均株価日足>

年明け後の価格が2月まで下げ続ける場合、特別に弱い状況のため、その年のうちに経済対策が決定します。そのため、その年のうちに底値をつけて、翌年まで続く上昇の流れへ入るというパターンがあります。

このパターンは、9月から1月までの安値を2月に割れるケースのため、本年に当てはまりません

本年は、年初から価格が下げて、特別に弱い動きとなっていますが、昨年後半の上昇分が修正されている動きに過ぎません。したがって、この下げをきっかけに経済を立て直す政策を実施するような状況ではありません。

今回、上のチャートを掲載した理由は、上げ傾向のある年明け後に大きく下値を掘り下げている弱さに共通点があるからです。

Next: 6~9月は上昇する理由がない? 今後の展開を読む



過去の値動きから2018年の展開が見えてくる

2003年は、年明け後、りそな銀行の救済措置が発表されて、それまでくすぶっていた金融不安が解消されたことで、株価がすぐに上昇を開始しています。2003年は、経済全体に対する刺激策を以前から実施していて、その中で、株価の上値を重くしている要因を直接取り除いたので、すぐに反応しました。本年とは異なるケースのため、参考にしません。

その他の年の値動きを見ると、年の後半に上昇するか、上げ渋るかの違いがありますが、すべての年でだいたい似た展開となっています。

価格が3月、4月まで下げた後、いったん押し目をつけて、4月末から6月までの期間のどこかで戻り高値をつけて、再度、下値を試す流れへ入り、4月までにつける安値を下回っています。

年初に価格が下げて、その下げが2月、あるいは3月まで継続して、値幅の大きな下げ場面になるような年は、最も買われやすい時期に積極的な買いが入り難い状況を示しています。

6月から9月までは上昇する理由がない

そのような状況があるのですから、6月から9月までの下げやすい時期に、価格が上昇を開始する理由がありません。

9月以降は、政策によって、翌年以降を見据えた買いが入ることも考えられますが、それまでの期間、積極的な行動があらわれにくいのは当たり前です。

価格は、4月までに押し目をつけて、上げ傾向のある4月に上昇します。その上げは、4~6月の期間で戻り高値をつけて、再び下値を掘り下げる動きになります。

どの年も、5月以降に下値を掘り下げていますが、4月までの期間で一気に下値を掘り下げる展開にはならず、4月に値幅と日柄の伴った上げ場面を経過しています。

今年の展開は?

本年は、この4月頃の上げを2月から4月にかけて上値、下値を切り下げる格好であらわれると想定していました。

しかし、4月に入り、上値の目安になる場所へ到達した後、想定の通りに戻り高値をつける展開になりませんでした

4月の上旬頃までの優先順位を高くしていたシナリオの通りになりませんでしたが、過去の展開と同様、4月の上げが季節性による上げに過ぎないため、本年も、5月以降に上値を抑えられて、20347円以下を目指す可能性が大きいと考えられます。

Next: 年初の高値に戻す場面があっても、23000円以上を目指す展開にはならない



23000円以上を目指す展開にはならない

本年は、年初の高値からすでに3000円幅以上の下げを経過していて、弱気パターンの年の変動幅の大部分を消化(経過)しています

したがって、年初の高値に戻す場面があったとしても、それは、来年に向けた動きだけです。上げられない場所がはっきりしています。

本日は、戻り高値を越えて、強気の流れの継続を示唆していますが、この上げは、積極的に23000円以上を目指す展開にならないと考えられます(編注:原稿執筆時点5月13日)。だとすれば、現在は、2月27日の高値22502円が意識されている状況だと推測できます。

この見方が正しければ、14日月曜日は、戻り高値をつける動きへ入る公算です(編注:原稿執筆時点5月13日。14日の日経平均株価終値は前週末比107.38円高の22865.86円となっています)。

<図08:18年の日経平均株価日足と目先の予想線>

パワー・トレンド講座:季節的な調整、時間待ちの流れを経過した後は一気に動き出す

日経平均株価の3月26日から最近までの上昇は、下げの流れの途中の季節的な上昇です。その年の流れが明確な状況で、その流れと反対の季節性のある時期に、今回のように、全体の方向と異なるはっきりとした流れを作る場合、その動きを経過した後、一気に価格がその年の流れの方へ動き出すことが多く――

※続きを読むには、2018年5月中にご購読ください。


※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年5月13日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(米朝首脳会談の展望、日経平均の今後のシナリオ)もすぐ読めます。

【関連】中国当局がひた隠す本当の「GDP成長率」を、人工衛星と人工知能が明らかにする日

【関連】トランプが北朝鮮を黙らせたのは、イランに戦争を吹っかけるための布石にすぎない=高島康司

【関連】今後20年は日本経済が上向く。「経済の千里眼」菅下清廣氏の未来予測が的中するワケ

『少額投資家のための売買戦略』』(2018年5月13日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

有料メルマガ好評配信中

『少額投資家のための売買戦略』

[月額1,078円(税込)/月 毎月第2・第4日曜日(年末年始を除く)]
値動きには理由があります。一般的に言われているような確率や、需給の変化を見るだけでは、先のことなどわかりません。確率論や、統計データ分析をやりつくし、挫折を味わった経験があるからこそ、理解できた値動きの本質を書いてゆきます。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。