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物価2%を諦めた日銀が、欧米から学ぶべきこと~そもそも上がるボーナスがない日本人=児島康孝

日銀はどうやら「物価2%」を諦めたようです。デフレはより深刻化し、夏のボーナス上昇の報道も、そもそももらえない日本人が増えているのが実状です。(『『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ』児島康孝)

※本記事は有料メルマガ『『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ』2018年6月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

深刻化する日本のデフレ。欧米は金融政策で切り抜けたが日銀は…

ついにマーケットも無反応に

日銀は、6月15日に行われた定例の金融政策決定会合で、現状の物価について「下方修正」しました。生鮮食品を除く、消費者物価を0%台後半としています。

そして黒田総裁は、今月18日から、ポルトガルとスイスに出張する予定です。

日本のデフレは激しく、あまりの日銀の無策ぶりに、良くも悪くもマーケットも無反応となってきました。日銀の金融政策決定会合があっても、反応がなくなってきています。

物価2%の達成は絶望的

日銀の片岡委員は、「物価が2%に向けて上昇率を高めていく可能性は低い」と、言い切ってしまいました。

片岡氏は、官邸が送り込んだリフレ派です。

しかし、これだけ中小零細企業の売り上げが低迷し、個人の収入もごく一部を除いて低迷したままでは、物価が上がることはありません。

そもそもボーナスがない人が増えている

夏のボーナスが上がったというニュースも、意味を失いつつあります。

つまり、ボーナスが上がったニュースが出ても、そもそもボーナスがない人が日本ですごく増えてしまったからです。
参考:全国調査(夏季賞与の結果) – 厚生労働省
参考:中小企業の夏季ボーナス支給状況(2017年版※PDF) – 大阪シティ信用金庫

こうした事態には、デフレに合わせて、マイナス金利を拡大し、何らかの低所得者対策と、組み合わせる必要があるのですが。

最近は、毎日、変な事件や事故ばかりで、あまりのデフレの長期化で、日本は壊れてきています。

ポルトガル・スイスが参考になれば.

黒田総裁が出張する、ポルトガルとスイスは、デフレ脱却やマイナス金利について、参考になる国です。

黒田総裁がそれを意識しているかどうかは、わかりませんが。

ポルトガルは、EUの緊縮策を断り、国民の低所得者対策を充実。リストラもやめたことで、自律的な内需の拡大から、景気が回復しました。今やEU内でも、その優等生ぶりが認められるようになっています。あのドイツでさえも、ポルトガルへの視線が変わってきているのです。

また、スイスの政策金利は、マイナス0.75%と、日本よりもマイナス幅を拡大しています。日本はマイナス0.1%。EU(ECB)は、政策金利は0%ですが、中央銀行預金金利はマイナス0.4%。

つまり、日本の金利は低くないわけで、スイスと同じぐらいでも全くおかしくないわけです。

日本の金利は、相対的には、高すぎるということです。日本のデフレのひどさを考えますと、スイス以上のマイナス幅でも、まったく違和感はありません。

ですから、黒田総裁が、ポルトガルやスイスを、参考にしてくれれば、良いのですが…。

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さらに深刻化する日本のデフレ

米国EUは、物価が2%に近づき、デフレの懸念から遠ざかっています。うまく金融政策を行ったわけです。

しかし、日本は、デフレが深刻化しています。

東京の成城(世田谷区)では、駅前の「不二家 成城店」が5月28日に閉店。また「神戸屋 フォーニル成城店」も、今年3月31日で36年間の営業に幕を閉じました。

さらに、マクドナルドが撤退した跡も、スーツ販売店が入ったもののそれも撤退して、今は空き店舗となっています。もしかしたら、ビルの建て替えとかそういうこともあるのかもしれませんが、ちょっと、それにしても…という感じです。小田急の駅のすぐ前、一等地での話です。

田園調布のように、駅周辺に店舗のスペース自体があまりない場合は、空き店舗になることはほとんどありません。しかし世田谷区の成城でこういう状況であれば、日本各地でも、大変なところが多いのではないでしょうか

日本の景気上昇を示す兆候も?

暗い話ばかりですが、10年ぐらい先ということでは、景気が良くなっていることが考えられます。

超長期サイクルの「コンドラチェフサイクル」が上昇期に入っているためで、1990年のバブル崩壊とは、逆の現象が起きるタイミングが近づいているのです。

1990年の場合は景気が良かったところにバブル崩壊が起きましたが、今度のサイクルでは逆に、とんでもなく景気が悪い中で突然に良くなるということが起きるはずなのです。

今はまったく、そうとは思えませんが…。

これは、戦時中の人が、10年後に日本の景気が良くなっているのが予想できないのと、同じでしょう。

ただし、それまでの間に、かつての第二次世界大戦と同じように、何かが起きる可能性もあるわけですが…。

景気が良くなれば、戦後の日本のように、30年間ぐらいは良い時期となるはずです。つまり、2050年ぐらいまで、景気が良い状態が続くサイクルなのです。

今では考えにくいですが、1980年代などは実際に、日本のOLが海外旅行に大挙して出かけてブランド品を買いまくるという時代だったんです。また日本が良くなればよいですね。

その前に、黒田総裁には、金融政策を何とかして欲しいものです。

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『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ』(2018年6月15日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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日本に影響を与えてきた欧米勢の勢力図が変化し、国際情勢も激変の時期を迎えています。トランプ政権の前の欧米勢力は、日本の1990年のバブル崩壊以降、日本の衰退を狙ってきました。超長期の経済サイクルである、コンドラチェフ・サイクルが、戦後最悪の大底でもあったことから、日本経済はデフレに陥り、低迷したままであったのです。ところが、トランプ政権の誕生以降、欧米勢の勢力は変化し、日本の今後も、大きく変わろうとしています。このメルマガでは、有料読者に限定して、ちょっと書きにくい話にも踏み込んで、欧米勢の動きをお伝えします。

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