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米朝会談の7ヵ月前に密会? トランプと金正恩が交わした密約と合意文書のウラ=高島康司

米朝会談は「北の大勝利に終わった」というのが主要メディアの見方だ。しかし、にわかには信じがたいが、両首脳は昨年11月時点ですでに面会しており、密約を交わしていたとの情報がある。それが事実だとすると、合意文書はまったく違ったものに見えてくる。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2018年6月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

昨年11月時点で会っていた? 存在がリークされた密約の中身とは

トランプが会談後に語った「8つの重要項目」

6月12日、鳴り物入りで始まった史上初めての米朝首脳会談が終了した。そこでは合意文書が署名され、以下のことが決まった。主要メディアで散々報道されているのですでに周知だろうが、非常に重要なので内容をまとめてみよう。

<合意文書の中身>

  1. 米国と北朝鮮は、平和と繁栄を求める両国民の希望通りに、新たな米朝関係の構築に向けて取り組む
  2. 米国と北朝鮮は、朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制の構築に向け、力を合わせる
  3. 北朝鮮は、2018年4月27日の「板門店(パンムンジョム)宣言」を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向け取り組む
  4. 米国と北朝鮮は、戦争捕虜、戦闘時行方不明兵の遺骨の回収、すでに身元が判明している分の即時引き渡しに取り組む

そして、合意文書の署名後に行われた記者会見で、トランプ大統領は次の8点を述べた。これもテレビや新聞などで報道済みなので知っている読者も多いだろうが、重要なので内容をまとめることにした。

<トランプ大統領が語った8つの重要項目>

  1. 非核化
  2. 共同声明で金委員長は朝鮮半島の完全非核化を約束した。私たちは、すみやかな合意履行も決めた。完全な非核化までは、技術的に長い時間が必要だ。ただ、そのプロセスを始めることができれば、非核化の作業はほとんど終わったのも同然だ。会談では非核化の検証方法も協議した。

  3. 対北経済制裁
  4. 当面は制裁を維持するが、北朝鮮の核の脅威がなくなれば解除する。金委員長は、すでに主要なミサイルエンジンの試験場を解体していると教えてくれた。これは合意文書に含まれていないが、私たちが合意したことだ。

  5. 朝鮮戦争と在韓米軍
  6. 朝鮮戦争は間もなく終結する。過去は未来を拘束はしない。将来的には在韓米軍を本国へ帰還させられればよい。だが、現時点では考慮のうちに入っていない。

  7. 米韓軍事演習
  8. 米韓軍事演習は北を挑発するので、北朝鮮との包括的で完全な合意に向けて交渉が続いている状況下では適切ではない。逆に、中止することで多額の費用が節約できるのでよい。

  9. 人権問題
  10. 会談でちゃんと取り上げた。オットー・ワームビアの死は無駄ではない。

  11. 日本人拉致問題
  12. 日本人の拉致問題に関しても取り上げた。安倍首相の最重要課題でもあるからだ。合意文書には盛り込まなかったが、これから協議していきたい。

  13. 金委員長との関係
  14. 非常に強い絆を築いた。適切な時期に訪朝できることを楽しみにしている。また、金委員長を適切な時期にホワイトハウスに招きたいとも思っている。金委員長はそれを受け入れた。なんとか前進を図りたい。

  15. 将来の経済支援
  16. 日韓両国に北朝鮮を支援する用意があり、米国が支援する必要はないだろう。

大多数のメディアが「北の大勝利」との評価

これが米朝首脳会談の中身だが、会談の内容を高く評価しているトランプ大統領とは大きく異なり、大多数のメディアはこの会談には実質的な中身が乏しく、見方によっては金正恩の全面的な勝利に終わったと判断できるとの見方が多い。その理由はこうだ。

アメリカは、「CVID」と呼ばれる完全かつ検証可能で不可逆的な非核化にこだわり、それが全面的に達成した後に制裁解除をするとしていた。

対して北朝鮮は、在韓米軍を含む朝鮮半島の完全な非核化を段階的に進め、それぞれの段階で見返りを要求していた。

今回の首脳会談では、「CVID」に向けた具体的なスケジュールが出てくるのかどうかが大きな焦点のひとつだったが、結局北朝鮮の従来の主張である朝鮮半島の全面的な非核化という主張が受け入れられ、アメリカが妥協した格好になった。

さらに、北朝鮮はまだ非核化に向けた行動を起こしていないのに、記者会見でトランプ大統領は米韓軍事演習の中止、ならびに将来の在韓米軍の削減という見返りを与えてしまった

また、ソウルの大きな人口に触れ、アメリカの軍事行動は実質的に不可能なので、将来的には軍事行動はないとの印象を与えてしまった。

つまり北朝鮮は、従来から繰り返してきた主張が受け入れられたと同時に、体制保障、米韓合同軍事演習の中止、在韓米軍削減、そしてアメリカによる軍事行動の断念というもっとも望んでいた見返りを、非核化に向けた行動の以前に手に入れてしまったということである。

これは北朝鮮が、なんの努力もなしにアメリカから最大限の妥協を引き出したことになる。その意味で今回の首脳会談は、北の大勝利である。

内外の主要メディアでは、このような否定的な評価が一般的だ。

中間選挙に向けて、支持率上昇を狙って成果を焦ったトランプの勇み足が招いた失敗だと見られても仕方がない。

Next: 歴史的会談の以前から、トランプと金正恩は会っていた?



米朝会談に向けて、事前に密約があった可能性も

しかし、ロシアやイランの政府系シンクタンクの分析記事をはじめ、筆者のもとに集まっている情報を見ると、トランプと金正恩はすでに半年以上も前に会っており、そのときに交わされた密約の存在を示唆するものが多いのだ。

英語圏の巨大掲示板「4chan」でトランプ政権内部の人間しか知りえない極秘情報をリークして話題になっているQアノンは、今年の3月8日、金正恩と会見した韓国の特使が訪米し、北朝鮮の米朝首脳会談開催の意志をトランプに伝える直前にも、次のような情報を暴露している。

昨年の11月、トランプが中国を訪問した折り、習近平主席の仲介のもと、紫禁城で金正恩とすでに会っている。現在、北朝鮮を統治しているのは、香山郡(ピャンサン郡)の香山ホテル(ピャンサンホテル)に本部のあるCIAのある部局である。CIAと本格的に対立しているトランプ政権は、この部局の解体に成功したので、金正恩はCIAの支配から解放された。このため北朝鮮は、もはやアメリカとの敵対関係を維持する必要がなくなったので、これから米朝の関係改善に動く、とする内容だった。

もちろん、Qアノンの言うように、北朝鮮がCIAのある部局の支配下にあったという証拠を見つけることは困難だ。いまのところ、そうした可能性もないとはいえないという仮説の段階だ。

しかし、ロシアやイランの政府系シンクタンクや、筆者に集まっている情報を総合すると、前述の証言にあるように、トランプが訪中した昨年の11月に、金正恩と直接会い、そのときに密約を交わした可能性をはっきりと示唆するものは多い。

その密約の内容を前提に、中身がないとされている今回の米朝首脳会談の合意内容を見ると、まったく違ったものが見えてくる。

では、その密約の内容とはどういうものだったのだろうか?

密約その1:CVIDの完全実施の棚上げ

それは完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を主張するCVIDの完全な実施を、トランプ政権が実質的に棚上げするという内容だ。それはこういうことだ。

北朝鮮には約1万カ所の軍事施設があり、その多くはスイスアルプスのような北朝鮮の険しい山岳地帯の山中にある秘密施設である。多くの核兵器はこうした施設に隠されている。

もしアメリカが非核化を検証しようとするなら、こうした施設のすべてが対象となる。もしアメリカがこれを本気に実行するのであれば、北朝鮮にほとんどの軍事施設を明け渡すような、いわば武装解除に等しい状況となる。

これはアメリカが北朝鮮を占領に等しい状況だ。これは、中国にとっては絶対に許容できない

もし完全なCVIDの実施をアメリカが北朝鮮との関係改善の条件にするのであれば、中国はこれを全面的に拒否する。

したがって、トランプ政権は表向きには完全なCVIDを主張するものの、これの完全な実施は棚上げする。

CVIDは、北朝鮮が核廃棄を申告した施設に限定して行う。

Next: トランプはすべて納得済み? 北朝鮮が核を隠し持つ可能性も



密約その2:目に見える形で非核化

非核化は北朝鮮のペースで進めるものの、はっきりと成果が目に見える形で行わなければならない。北朝鮮が廃棄した核施設をアメリカは検証し、CVIDを実行する。

密約その3:段階的に制裁を解除し、米企業の投資を促進する

北朝鮮の指定した核施設でCVIDが実行されると、アメリカは段階的に経済制裁を解除する。そうした状況になると、北朝鮮は米企業の投資を積極的に受け入れること。

北朝鮮が核を隠し持つ可能性も

どうもこれが、昨年の11月にトランプが交わした密約の内容のようなのだ。

もしこのような密約が本当に存在しているのなら、北朝鮮の段階的な非核化を容認したかのように見える今回の米朝首脳会談の合意事項も、納得が行く。

最初からCVIDの完全実施は棚上げされ、段階的な非核化が容認されていたのである。

しかし、もしこの密約が事実だとすると、これは大変なことを意味する。CVIDの実施を北朝鮮が申告した施設に限定するのであれば、北朝鮮が秘密裏に核を保有することができることを示している。

そしてトランプ政権は、この可能性を知りながらも問題にはしていないことを示しているのだ。

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※太字はMONEY VOICE編集部による

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