現金払いが根強い日本でも、じわじわとスマホ決済が普及してきました。そこで今回は、キャッシュレス時代の得するカード選び、決済方式選びの極意を伝授します。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)
※本記事は、『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』2018年6月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。
岩田昭男の上級カード道場:http://iwataworks.jp/
還元率がまったく違う! ライフスタイルに合わせた賢い選択とは
どちらが人気? スマホ決済の2大巨頭
スマホ決済には、大きくわけて2つの種類があります。
ひとつは非接触ICを使ったタイプで、店の読取機にスマホをかざして決済するというもの。
もうひとつは、店が掲げるボードに記されたQRコードを手持ちのスマホで読み取って決済する方式(または、自分のスマホのアプリを開いてQRコードを出して、店員にそれを読み取ってもらう)のどちらか。
これらは、プラスチックカードに比較して短時間に決済ができるので、人気が高まっています。
ところで、非接触ICとQRコード決済の2つのタイプうち、最近とくに勢いを増しているのが、QRコードを使うスマホ決済です。
人気の理由は、ほとんど初期費用がかからず、加盟店手数料も安い(負担がゼロのものもある)ためで、店舗が積極的に導入しようとしているからです(こうした新しいツールの普及には店側の事情が深く関わっています。安いというのは何よりも強い動機です)。
これまで非接触ICを使ったスマホ決済に力を入れてきた楽天やドコモ、アップルなども、QRコードタイプも手がけて市場を膨らませようとしています。
3つのシーンに合わせた決済ツールの選び方
このようにたくさんのスマホ決済が登場してきたことで、クレジットカードや電子マネーの選び方も大きく変わり始めました。
非接触ICを使ったスマホ決済なら従来のクレジットカード中心の選び方でもよいのですが、QRコード方式はクレジットカードを持っていなくても簡単に決済ができるため、誰でも持てる決済ツールとして根づく可能性があります。
だからといってこれまでのカード選びのノウハウがまったく不要になったのかというとそうではありません。
クレカ、電子マネー、アプリの3つを選んで相乗効果を狙う
たとえば「スマホ決済以前」は、メインカードとサブカードの2枚を選び、相乗効果を得るのが主流でした。
現在の「スマホ決済以後」は、クレカ+電子マネー+ポイントカード(アプリ)の3点セットで選ぶようにすることです。この3枚の相乗効果を最大限に得られるようにするのがコツといえます。
そう考えると、リアルなカード決済からスマホ決済に変わっても、カード選びの基本は変わらず、その核心は、いかに相乗効果を得るかということです。
Next: 全部をスマホに集約する必要はない。新時代の得するポイント術とは?
全部をスマホに集約する必要はない
ここでひとつ強調しておきたいことがあります。スマホ決済時代に入ったからといって、クレジットカード、電子マネー、ポイントカードなどすべてをスマホに入れなければならない、という先入観を多くの人が持ってしまっていますが、そんなことはありません。
クレジットカードを登録できないスマホもありますから、そんなときはこれまでと同じようにリアルなカードのかたちで持てばいいのです。チャージで電子マネーと紐付けるようにするか、それがダメでもスマホと連携して使うようにすれば、まったく問題はありません。
以上のことを頭に入れたうえで、これからのカードの選び方を具体的に考えていきましょう。
ここでは通勤、通信、買い物の3つのシーンで考えてみたいと思います。
「電車通勤」の方におすすめの決済手段・カード
<JRE CARD + Suica + エポスカード → Apple Pay>
電車通勤のサラリーマンにオススメの決済手段は、Suica対応のApple Payです。Apple Payは持たないと損します。それぐらいのパワーがあります。
これをベースに、3点セットを決めていくのがよいでしょう。まずSuicaにチャージのできるクレジットカードを選びましょう。チャージでポイントが3倍つくカードならベスト。オートチャージ機能もつけたいところ。こうなると候補は絞られます。
チャージでポイント3倍なのはビューカード系だけですが、オートチャージ機能は全部つくわけではなくビックカメラSuicaとJALカードSuicaが外れます。
残るのは、ビューカードとJRE CARD、大人の休日倶楽部カードなどに限られます。私は迷わず「JRE CARD」をおすすめします。
じつはこのカードは、7月2日発行されるものですから、まだ、この時点では発行されていません。しかし、推薦する理由は、JR東日本のターミナル駅で買い物すると、業界ナンバーワンの高還元のポイントがたまるからです。3.5%のポイントが貯まります。
このカードをApple Payに入れて、電子マネーはSuicaにします。サブのクレジットカードも入りますから、割引特典のあるエポスカードを入れてもいいでしょう。
なお、さまざまなポイントカードがアプリとなってスマホに入るようにもなっています。共通ポイントなどは利用機会が多いでしょうから、好きなものを選んで入れておくとよいでしょう。
「通信会社系」でおすすめの決済手段・カード
<auWALLETゴールドカード + auWALLETカード + じぶん銀行アプリ>
通信系でオススメはauです。3点セットは、クレジットカードはauウォレットゴールドカード、電子マネー(プリペイド)はauウォレットカード、アプリはじぶん銀行のアプリを入れましょう。
特筆すべきは、ゴールドカードのスペックの凄さです。毎月の通話料金を払うと10%のポイントをもらえ、さらに基本ポイントの1ポイントが追加されて計11%の高い還元率となります。
これなら寝ていてもポイント長者になれるというレベル。しかもライバルのドコモもゴールドカードでも10%つきますが、それ以上は付きませんので、キャリア関連では、最高レベルの還元率カードといえます。
さらにauウォレットとのコラボも楽しめます。クレジットカードとauウォレットカードで使った合計金額はアプリで確認できるし、アプリ自体もさまざまなサービスがあって三位一体で使うとその良さがはっきりわかります。
ちなみにじぶん銀行アプリは、メインバンクのじぶん銀行口座の残高を把握するのに役立つでしょう。全体の司令塔といった位置づけになります。
Next: Androidユーザーにおすすめ決済手段・カードは?/クレカの整理方法
Androidユーザーにおすすめ。「お買い物」に便利な決済手段・カード
<楽天Edy + nanaco + 楽天カード + セブンカードプラス>
Androidの「Google play」では、nanacoが加わって楽天Edyと2つの電子マネーを使うことができるようになりました。さらに最近はSuicaとWAONが加わり、グンと使いやすくなりました。
この中で、私のおすすめは、強力な経済圏を持つカードグループでまとめる考え方です。
例えば、楽天Edyを持つなら楽天カードでサポートします。一方、nanacoを持つならセブンカードプラスでサポートします。
こうしておけば、ネットショッピングは楽天でクリア、セブンイレブンの買い物はnanacoでクリアできるようになります。
また、ポイントカードは、Tポイント、マツキヨポイント、ドトールポイントなどを入れることができますから、いろいろな店でポイントを貯めている人にはポイントと電子マネーを一括管理できるので非常に便利。
チャージは、クレジットカードの楽天カードとセブンカードプラスからできます。
クレジットカードの整理方法
いかがでしょうか。スマホ決済時代に欠かせないのは、しっかりした情報収集と自分のライフスタイルをよく知ること。
そうすることで、自分に合ったキャッシュレスの決済手段がわかり、決して少なくないおトクが得られるようになります。
さて、キャッシュレス決済の基本であるクレジットカードを、あなたは現在、何枚くらい持っているでしょうか。
日本クレジット協会のデータによると、2017年の3月末のクレジットカード発行枚数は2億7201万枚。成人の人口比では1人当たり2.6枚を保有していることになります。
つまり、2枚程度で収まっていれば優等生です。
しかし、多くの人の場合、お財布の中はクレジットカードで溢れているのではないでしょうか。財布のなかに5~6枚のカードを入れていて、さらに家にも何枚かのカードを置いてあるという強者もいます。
利用しているクレジットカードが多いと、支払う金額やせっかく獲得したポイントの管理が難しくなる可能性があります。
そこで、最後に、クレジットカードを整理する際に目安となる基準を紹介しておきましょう――
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・カード業界の盟主交代を予感するに至った核になる体験(1/1)
『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』(2018年6月15日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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世の中すっかりカード社会になりましたが、知っているようで知らないのがクレジットカードの世界。とくにゴールドカードやプラチナカードなどの情報はベールに包まれたままですから、なかなかリーチできません。また、最近は電子マネーや共通ポイントも勢いがあり、それらが複雑に絡み合いますから、こちらの知識も必要になってきました。私は30年にわたってクレジットカードの動向をウォッチしてきました。その体験と知識を総動員して、このメルマガで読者の疑問、質問に答えていこうと思います。ポイントの三重取り、プラチナカード入会の近道、いま一番旬のカードを教えて、などカードに関する疑問にできるだけお答えします。