マネーボイス メニュー

人民元を世界基軸通貨へ。中国のばら撒き政策がアフリカでじわじわと効いてきた

人民元を世界基軸通貨にしたい中国が、後発国にお金をばら撒いて味方に引き入れています。アフリカ諸国では、人民元を外貨準備に採用すること検討しています。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年6月7日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

金準備を積み増す中国。アフリカ諸国が外貨準備に人民元を採用へ

後進国を味方に引き込む中国

人民元を世界基軸通貨にしたい中国が、アフリカに橋頭堡(きょうとうほ。戦闘を有利に運ぶための前進拠点)を築いているようです。海外報道を翻訳しながら、ポイントを解説します。

5月29日、30日にジンバブエで開催された会議で、アフリカ諸国14カ国の中央銀行高官や政府高官17人が出席し、人民元を外貨準備にすることについて議論した。

東南アフリカ地域マクロ経済金融管理機関(MEFMI)の報道担当官は、会議出席者は中央銀行副総裁や事務次官、さらにアフリカ開発銀行の高官であるとのこと。

出典:Top finance officials discuss possible use of Chinese yuan as reserve currency for eastern, southern Africa – Xinhua | English.news.cn(2018年5月29日配信)

報道担当者によると、今回の議題は“外貨準備管理の傾向”である。この報道担当者の主旨は以下の通りである。

同地域のほとんどの国々の外貨準備は米ドルであり、その構成比率は世界経済の動き(中国やインド経済の大きな伸び)と同調していない。

多くの国々は中国から借款を受け、その返済には中国人民元で返済しなければならない。

それゆえに、この地域では、人民元が共通通貨となっているのだ。

IMFのSDR通貨バスケットに人民元を含めたことは非常に重要で、IMFが公式外貨準備通貨として認定したことになる。

現在では、全世界で130カ国以上において中国が最大の貿易相手である。重要なことは、このような国際経済の新たな変化から、どのような利益を勝ち取るかということである。

過去5年間を見ても、欧米からの貿易や投資は冷え込んでおり、中国からの投資機会を逃さないことが重要である。

出典:同上

報道にある通り中国は、人民元借款、人民元建て原油取引、人民元建て金取引など、あらゆる分野で紙切れに印刷したペーパーマネーの人民元をばら撒いています

Next: 世界基軸通貨を座を勝ち取るには、金準備を増やす必要がある



金準備を増やして世界基軸通貨へ

世界基軸通貨から、究極的には世界覇権通貨を狙っている中国ロシア。その歴史的変化を見るには、良いチャートを見つけましたので紹介します。

両国が目的を達成するには、自国の金準備を増やすことが最低条件なのです。早速、以下のグラフを見てください。

中国とロシアの金準備の歴史的変化(2007年から2017年の増加トン数)

中国人民銀行は600トンから3倍の1843トンへ、ロシア中央銀行は450トンから4倍の1839トンへと大きく増やしています

ただし、中国は、いままで金準備トン数の買い増しを発表していましたが、IMFのバスケット通貨に組み込まれて以降は発表していません。しかし、舞台裏では積極的な買い増しをしているのは間違いないでしょう。

現在の覇権通貨国である米国では、金準備はまったく増えていませんし、第三者機関による実地棚卸しをまったくしていないことから、かなりの数を貸し出しをしているのではないか?と疑われている始末です。

中央銀行金準備額(米ドル)/人口比率

左から中国、EU圏、日本、ロシア、スイス、英国、米国、カナダです。

中国は、人口1人当たり56ドルの中央銀行金準備しか保有していません。ロシアでも537ドルしか保有していません。現在の世界覇権通貨国・米国並みの1051ドル分まで増やすには、中国は約19倍に増やす必要があります。ロシアの場合は2倍に増やさねばなりません。

つまりどう考えても、中国とロシアはこれまで以上に金準備を積み増すことでしょう。

Next: さらに買い増しが必要な中国。世界の金準備は増加の一途をたどっている



金準備総額/通貨発行額の比率

左から中国、EU圏、日本、ロシア、スイス、英国、米国、カナダです。

ロシアは54.5%の高い率(金準備担保比率)ですが、注目の中国は6%しかありません。つまり、さらに増やす必要があります

日本のデータは無視すべきでしょう。というのは、戦後、日本の金準備について、誰も見たことが無いからです。

2008年以降、公的部門(中央銀行)の金準備は増加の一途をたどっています。そして現在も、その買い増しの勢いは変化していません。

不思議なことは、この大きな需要増加に対して、金価格はずっと横這いなのです。

続きはご購読ください。初月無料です

【関連】本当はボロボロの米国経済。景気悪化の「兆候」を示す3つのデータ


※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年6月7日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

image by:plavevski / Shutterstock.com

<初月無料購読ですぐ読める! 6月配信済みバックナンバー>

※いま初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

・モンゴル中銀が金準備を増やしている/カザフスタンの金準備推移(6/15)
・ロシアの金採掘「総動員令」/ロシアの金準備の積み増し状況(6/14)
・米国新車販売2018年5月/北米自動車メーカー、儲からないので減産へ(6/13)
・米国雇用統計の厚化粧/(6/12)
・予想すら出来なかったベネゼエラの行動/(6/11)
・米国最大の従業員を抱える私企業、半分以上が非正規(6/8)
・中国が画策、人民元を外貨準備へ/金準備を増やして世界基軸通貨に(6/7)
・「破産リスクの高い銀行」はどうもドイツ銀行(6/6)
・米国連邦預金保険公社の発表を裏読みする(6/5)
・イタリアで何が起きているのか(6/4)
・南アの金鉱山、従業員解雇で閉山へ/人民元建て原油先物市場発足のその後(6/1)

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※6月分すべて無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。

5月配信分
・トップが逃げ出す大手名門小売チェーン/シアーズ、リストラが間に合うか?(5/31)
・ドイツ銀行、やはりリストラ解雇はさらに拡大(5/30)
・米国の嫌がらせに対抗するには、これが一番かも?(5/29)
・脱米ドル:太平洋の小さな群島国家が、正貨として新幻想通貨を創設(5/28)
・テスラ駄目かも?/欧州とイラン、そして米ドルの運命(5/25)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(4)(5/24)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(3)(5/23)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(2)(5/21)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(1)(5/21)
・鉱山会社の現場コストが高騰中(5/18)
・原油、ガス採掘業者の苦しみは続く/カザフスタンの金準備の変化(5/17)
・雇用状況の実態:2018年4月解雇通知/英国通信業界でもリストラ(5/16)
・落ちゆく米ドル紙幣の価値(5/15)
・ドイツ銀行のリストラ、さらに拡大へ/フォード、乗用車部門から撤退へ(5/14)
・米国新車販売2018年4月/見えなくなった自動車業界全体の在庫(5/11)
・OPEC加盟国の4月の原油生産は過去1年間では最低レベル(5/10)
・ドイツ銀行、ジョン・クライアン最高経営責任者を解任(5/9)
・サプリメント業界の低迷~中流階級が痩せ細るので/(5/8)
・諸国家の累積債務、多重債務国家が増えている/公式統計とは一体何なのだろう(5/7)
・金利上昇じわじわと/会社更生、民事再生も困難になっているのが現実(5/2)
・損失が大きすぎるので廃業(5/1)

4月配信分
・米国、失業率は史上最低で、ホームレスは増える一方(4/27)
・トルコ中銀、米国に預託してきた金準備を本国に返還へ(4/26)
・米ドル支配に対するイランの反撃(4/25)
・ロンドンでは、金(ゴールド)の売上が3.5倍(4/24)
・金と銀、金利と価格の関係は(4/23)
・私の妄想:金価格、銀価格はどうなる?(4/20)
・米国に対するロシアの平和的戦略兵器/ロシアの金輸出計画(4/19)
・GM、セダン販売不振で数百名を解雇へ(4/18)
・どんどん増える傾向の米国小売チェーンの店舗閉鎖(4/17)
・米国造幣局の金・銀貨の生産減少(4/16)
・豪州パース造幣局の大型金貨/仮想通貨、全面禁止まちがいなし(4/13)
・巨大物流センターの閉鎖(4/12)
・金貨を正貨に/ムーディズ、英系バークレイズ銀行をジャンク寸前まで格下げ(4/11)
・テスラ社のリコールの酷さ/スウェーデンで、キャッシュレス社会に警告(4/10)
・米国新車月次販売報告/ロンドン金市場の価格発表、なぜか停止へ(4/9)
・ロシアの金準備/気になるドイツ銀行の動向(4/6)
・テスラ、駄目かも?(4/5)
・【中国】これは異常事態。必ずやどこかで噴出するはず(4/4)
・金貨を正貨に:ウェストバージニア州/預けておくのは心配だから(4/3)
・米国日産の減産/LIBOR、短期貸出金利と翌日物金利の乖離拡大に警戒(4/2)

3月配信分
・中国宇宙ステーションの落下地点は何処だ?(3/31)
・仮想通貨の消せない不都合な過去/米国は建国以来の最低失業率と言うものの(3/30)
・低価格アクセサリーももう駄目/食品スーパーも業績悪化で3回目の破産(3/29)
・ゴールド生産量のピークは?(3/28)
・【米経済】売上は伸びているが、再び解雇(3/27)
・貴方の飲み水、大丈夫?(3/26)
・犠牲となって死ぬのは部下(サウジアラビアの宮廷革命劇)(3/23)
・米国新車販売/ゴールド:預けておくのは心配だから(3/22)
・金貨を正貨に!法成立:アラバマ州(3/20)
・コンピュータ・プログラムによる電光石火瞬間取引のその瞬間(3/19)
・金貨を正貨に/増えるクレジットカード債務残高(3/16)
・売上の下落を食い止めるには、他の市場に殴りこみ(3/15)
・米銀行の資産総額は増える一方だが.(3/14)
・ゴールド:供給不足で御免なさい/情報漏洩の状況証拠(3/13)
・フォード、モデルチェンジの為の一時解雇と言うものの(3/12)
・原油、サウジアラビアの希望は70ドル/シェール油田のボトルネックは砂粒(3/9)
・米国新車販売2018年2月/英国トイザらスも会社整理に入った(3/8)
・コストダウンする為に正規労働者を切ってアルバイト雇用にする(3/7)
・デパートは貧困化時代の世相に合わない/清涼飲料大手の首切り(3/6)
・プエトリコを潰したのは英国銀行協会/ロンドン銀行間取引の金利が上昇(3/5)
・中国、恐怖心理指数を見たくない/米外食大手、120店を閉鎖(3/2)
・ドイツ銀行が500人の首切り/2018年貴金属価格予想(3/1)

2月配信分
・ロシア、金準備の積み増し/いつかは来る債務危機(2/28)
・ビットコインは失敗作/ヘッジファンドが大規模な債券売り(2/27)
・リアルマネーは非課税のはず/カザフスタンの金準備(2/26)
・増えるばかりの米国家計の借金/リバース・モーゲージ契約の伸びが示すもの(2/23)
・エネルギー探査開発需要が減っている/豪州、金貨・銀貨の種類を新たに増やす(2/22)
・大企業だから安全だとは言えない/まだまだ続く解雇の嵐(2/21)
・暗号通貨はネズミ講/2018年2月7日の週の資金流出(2/20)
・何を信じているのだろうか/人民元建て原油先物取引の取引開始日(2/19)
・米国造幣局、金貨及び銀貨の1月生産実績/中国の需要と供給(2/16)
・Wal Mart社が本社部門をリストラ/冬季五輪の背後で訓練を続けている部隊(2/15)
・何をもって好況と主張するの?/大手家庭用品メーカーの製造拠点集約と首切り(2/14)
・野村證券のデリバティブ商品、ほぼ価値ゼロに/麻薬中毒者は雇えない(2/13)
・【号外】米国株式市場の大暴落(2/12)
・大手生保の計算ミスは大規模/ロンドン不動産の惨敗(2/9)
・フォード社の格付け?/米国新車販売2018年1月(2/8)
・Perth造幣局、ブロックチェーン技術を応用して./孫会社の保険会社の大損失で本体がバラバラに(2/7)
・トイザラスの年末商戦結果は悪く、未来も暗い/外食チェーンも気にする中間層の消失(2/6)
・生活必需品の食品も需要が後退/米国を代表するツーリング用大型バイクが売れないのは何故?(2/5)
・中国基準が世界基準に? そしてブロックチェーン技術の応用/Perth造幣局(2/2)
・米ドルの弱体化と金価格(2/1)

【関連】日本の地価崩壊はもう始まっている。東京五輪が「経済災害」になる日

【関連】いきなり借金300万円のハンデ。「奨学金」に殺される若者たち=俣野成敏

【関連】成功したいならやっぱり東京。田舎のマイルドヤンキーが知らないチャンスがある=午堂登紀雄

いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2018年6月7日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

いつも感謝している高年の独り言(有料版)

[月額660円(税込) 毎週月・火・水・木・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]新聞等に報道されない海外でのディープな情報をお届けします。出来る限り、時代を先取りした情報やデータをお届けします。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。