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いきなり借金300万円のハンデ。「奨学金」に殺される若者たち=俣野成敏

大学生の半数が約100〜300万円の奨学金を借りる現在、「奨学金破産」が問題化しています。なぜ返済不能に陥いるのか。その社会的背景を返済に苦しむ家計の実例を見ながら解説します。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2018年6月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

なんとなく進学は命取り。もはや学歴で将来が決まる時代ではない

大卒の半数は借金を背負って社会に出ていく

学校という狭い世界しか知らない子どもが、先生や親の指導のもとに進路を決めているのは、ある意味、仕方のないことです。ところがその選択が、後になって思いがけないツケとなって返ってくることがあります。

あなたは、「奨学金破産」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 調査によると、今は大学へ進学する人の約半数が奨学金を借りている、というデータがあります。要は「若者が社会へ出て行く際に、大卒の半分が数百万円の借金を背負ってのスタートになっている」ことを意味します。

今回は、社会問題化している「奨学金破産に」ついて考えてみたいと思います。

これをお読みの方の中にも、おそらく今現在、奨学金を返済しながら生活している方や、子どものために奨学金を借りることを検討している方がいるでしょう。

たとえそうでなくても、マネーと世の中の動きには常に関連性があります。ぜひ、こうした問題にも目を向けていただけたら幸いです。

1. 奨学金とは、就職後の給料を前借りすること

本特集の趣旨は、「奨学金がいいか悪いか?」とか「大学に行くのがいいか悪いか?」ということではありません。

どんなことにせよ、行動を起こす前に「本当にそれが今の自分にとって最善の選択なのか?」を自問していただきたい、ということです。奨学金破産は、話のとっかかりにすぎません。

もちろん、人間はしばしば選択を誤るものです。また、たとえその時は最善の選択肢であっても、後に状況が変化することは十分に考えられます。

だからこそ、行動する前に考えて自ら決断を下しておけば、後悔することも少しは減るのではないかと思う次第です。

【単純に「後で返せばいい」とはならない奨学金】

現在の働き盛りの世代が学生だった頃の日本は、ちょうどバブル経済前後に当たります。当時、サラリーマンの間では「子どもを大学に行かせるまでが親の役目」という認識がありました。

それがなぜ今、学生の間で奨学金を借りて大学に行くことが一般化し、さらに奨学金破産も増えているのかというと、一番の要因は「物価(学費)は上がっているのに親の年収が下がっている」からに他なりません。

国税庁の調査によれば、2016年のサラリーマンの平均給与は421万6,000円で、対前年0.3%増(+1万2,000円)でした。近年の景気回復や人手不足などを反映し、4年連続の増加となりましたが、それでもリーマンショック前の2007年の平均給与437万2,000円には届いていません。ちなみに、平均年収がもっとも高かったのは、1997年の467万3,000円でした。

人口動態的に見れば、以後、日本が少子高齢化によって人口が減少していくことは明らかです。経済はよくても現状維持か、縮小傾向が続くものと見られています。

現状、日本が大きく成長する可能性が少ない中で、普通のサラリーマンにとって、子どもを大学に行かせることは高嶺の花になりつつあります。

だから奨学金が用意されているのですが、奨学金とは給付型を別にして、借りたら返さなければなりません。奨学金とは借金なのです。そして、契約者は子どもです。

もし、これをお読みの方の中で「これから奨学金を借りよう」と検討されているご家庭がございましたら、このことの意味を親子でよく考えたうえで、選択されることをオススメいたします。

単純に「後で働いて返せばいいや」とはいかない社会的背景があることを、ご理解いただきたいと思います。

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