2, 今、奨学金を返済している方々の家計簿を診断してみると
さて。奨学金をご検討されている方は、制度のHPなどをご覧いただくとして、ここからは実際に今、奨学金を返済している人の家計簿を見てみることにしましょう。
現在、同じように奨学金を返済している方、子どもの進学に利用を検討されている方など、ぜひ参考になさってみてください。
【「奨学金返済が重荷に…」Aさんの事例】
最初の事例は、Aさん(家電販売店勤務、契約社員勤続5年)の事例です。
Aさんは都心から電車で30分ほどの郊外にある賃貸に一人で暮らしています。月収は20万円未満ですが、販売員をしているため、販売奨励金が年間60万円ほどもらえます。
以下が収入と支出の内訳です。
★収入:月手取り17万5,000円、販売奨励金年間:63万円
★預金:200万円
★支出:
家賃:6万円
光熱費:7,000円
食費:2万円
外食・交際費:6,000円
通信費:8,000円
交通費:2,000円
日用品:1,000円
おこづかい:5,000円
奨学金返済:3万5,000円
貯金:2万円
翌月繰越:1万1,000円
Aさんの家計簿を拝見すると、収入に対して家賃34%、奨学金返済20%と半分以上が固定費で消えている状況です。これでいくと、毎月の貯蓄+繰越3万円とボーナス63万円で年間100万円程度が余剰金になるはずですが、ご本人のお話では、昨年1年間の貯蓄額は40万円だった、ということです。Aさんにとって、やはり奨学金が家計に与える影響は大きくなっています。
ご本人もその重圧は感じており、「貯蓄をするよりも、まずは繰り上げ返済をすべきでしょうか?」とのご質問。
FPからの見解としては、万一の時のための資金は、最低でも月収の3~6ヶ月分は欲しいところです。よって、今ある預貯金を繰り上げ返済に回すことはオススメできません。固定費を減らすためには、いっそご実家に戻ることも検討されてはいかがでしょうか。
現在、Aさんは保険加入や資格取得なども思案中、とのこと。まさに「老後の安心感→現役時代の充実感」までを見据えた、中長期的な予算設定を行わないと、どちらも得られずに終わる可能性があるでしょう。