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「ドル高は困る」鶴の一声に警戒 米国政府やFRBにとってもこれ以上の円安は望ましくない

この6月、黒田日銀総裁の為替発言が毎週のように注目を集めています。

「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない(6/10)」「FRBが金利引き上げプロセスに入るから、今後、さらに円安・ドル高が進むと決めつけるのは難しい(6/10)」「名目為替レートへの評価や先行きについて申し上げたわけではない(6/16)」など。

一連の発言を踏まえ、日銀が円安誘導策を採りづらくなっている可能性を指摘していた金融アナリストの久保田博幸氏は、『牛熊ウイークリー』最新号で「円安になって誰が困るのか」について、さらに踏み込んで考察しています。

円安で誰が困るのか

円安になって誰が困るのか。まずは政治家が困る。

米議会で環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の合意に欠かせない米大統領貿易促進権限(TPA)法案の審議が重要な局面を迎えていることで政治的な配慮があった可能性もある。

それよりも6月17日のFOMC後の会見で、イエレン議長は「ドル相場の上昇にもかかわらず、年内にある程度の引き締めを行うことを正当化するほどに経済は良好に推移するとFOMCは見ている」と発言していたが、利上げを控えて思惑的なドル高については牽制したいところが本音であろう。

特に昨年10月の日銀の異次元緩和パート2ではFRBのテーパリング終了にタイミングを合わせた格好となり、その後のドル円の110円割れから120円台の上昇を招いている。

さらに今年1月のECBの量的緩和の狙いはユーロ安であった。

日本の消費者物価指数はコア指数がいずれマイナスになるとの予想となっている。

年末に向けての回復を期待しているとしても、2%という物価目標にはほど遠い。その物価上昇には円安が直接的な影響を与えうる。

それにも関わらず、FRBが金利引き上げプロセスに入るから、今後、さらに円安・ドル高が進むと決めつけるのは難しいとの発言にも違和感を覚える。

相場であるので決めつけると負けてしまうかもしれないが、日銀の物価目標達成のためには、アナウンスメント効果を狙い、FRBの利上げに向けた動きと日銀の大胆な金融緩和は円安・ドル高要因にもなりうる、との発言があったとしてもおかしくはない。

この背景には今年1月に「為替に過度に依存すれば長期的な成長はない」とし、日本の為替政策を「注視し続ける」と述べた米国のルー財務長官の存在に加え、イエレン議長あたりからも何かしらの円安への牽制の動きがあったとみてもおかしくはない

円安は輸入品の価格上昇により中小企業や我々の消費にも悪影響を与えるが、それ以上に米国政府やFRBにとってもこれ以上の円安は望ましくないとの認識ではなかろうか。

牛熊ウイークリー』(2015年6月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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