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もはや投資対象と呼べないビットコインは、70万円割れからどう動く?=伊藤智洋

ビットコインがついに70万円を割れました。今後も値幅で利益を得る投資対象であり続けるためには、どんな動きになる必要があるのか。展望とともに解説します。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年6月24日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(ドル円、NYダウの今後のシナリオ)もすぐ読めます。

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

投機の「ルール作り」に入ったビットコインは、どこまで下がる?

ついに70万円を割れたビットコイン

ビットコインが70万円を割れて、2月の急落場面でつけた値位置まで下げています。

17年12月に220万円以上で戻り高値をつけた後、1~2月の急落により、一気に60万円台まで下げてから押し目底をつけて、その後、70万円を割れる展開にならず、70~110万円程度のレンジで推移してきました。

このまま70万円台で下値堅く推移していれば、再度高値を試す流れへ入る可能性を残すと考えていた方もいるでしょう。そうであれば、今回の下げは、ビットコインが値幅で利益を得る取引の対象にならないと諦めてしまう場面です。

そこで、今回は、ビットコインが値幅で利益を得る投資対象になり続けるため、今後、どのような動きになる必要があるのかを紹介します。

投資と投機は対象が異なる

投資とは、辞書で調べると、「利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下すること」「経済学で、一定期間における実物資本の増加分」と掲載されています。

同じ辞書で投機とは、「利益・幸運を得ようとしてする行為」「将来の価格の変動を予想して、現在の価格との差額を利得する目的で行われる商品や有価証券などの売買」と掲載されています。

投資は、資産価値が上昇してゆくものを対象にして、時間に制限されずに運用を行うことです。

投機は、価値の変化に対してお金を投じるので、大きく変化する可能性があるものが対象になります。

投資の対象だったビットコイン

ビットコインは、2017年まで、投資の対象となっていました。ビットコインの仕組みから、需要が拡大する過程で、価値が上がり続けると考えられていました

投資対象となるものは、需要が増加するごとに徐々に価格が上がります。

一時的に大きく上昇した後、戻りを売られても、急上昇を開始する前の安値まで下げず、ジグザグに上値、下値を切り上げる格好で下値堅く推移し、上げ幅を拡大してゆきます。

いったん保有した人たちが一時的な値上がりで手放したりせず、価格が下げると、積極的に買いたいと考えている側の押し目買いが入るからです。

2017年は、ビットコインのレバレッジ取引が盛んになり、3月以降、上げの角度が徐々に急激になってゆきます。

この過程で、ビットコインは、投資対象から投機の対象へと変化してゆきました。

言い換えると、上げ続けることで利益を出す対象から、上げ、下げの振れによって利益を出す対象へと変わったということです。

Next: 投機にはルールが必要? 投資として見られなくなったビットコイン



投機対象にはルールが作られる

投資対象の銘柄は、何年でいくらまでなどというルールがありません。いずれ、どこまで行くかはわからないが、どこまでも上昇する可能性があります。

一方で、投機対象には、ルールが必要です。振れ幅で利益を得るには、どこまで、いつまで上昇する、下降する可能性があるという目安が必要です。

毎年繰り返される値動きと同じ値幅か、それ以上の値幅の値動きがあることを期待して、そこへお金を投じるのです。

2017年は、ビットコインが投機対象となったことで、ルール作りに入ったと見ることがきます。

2017年の暴騰は、まず、現状でもうこれ以上上がらないという場所を探り、上値の限界に対する目安をつける動きだったと見ることができます。

今後、似たような急上昇があらわれたとき、2017年12月の高値が参考になるわけです。2017年12月から本年にかけての下げは、下値の限界となる場所を模索する動きになります。

投機対象となるものは、毎年、一定幅の振れを上下どちらかで作り出す必要があります。

今後の値動きは?

本年は、1月から2月にかけての下げで、十分な振れを経過しています。そのため、本年2月以降の動きは、来年の下げられる分の値幅を作るか、来年、上げられる分の値幅を作るかのどちらかになります。

70万円台で下値堅く推移して、上昇の流れへ入るなら、今年後半、来年下げられる分の上げを経過する可能性がありました。

しかし、6月の下値を模索する動きが、まだ十分な下げを経過していないことを示しているので、今年後半は、多くの投資家がビットコインを買ってみたいという値位置を模索する下げを経過し、来年に向けて上昇できる場所まで下げる動きになると考えられます。

投機は、資金移動の事情を利用して、一定時期にできる上昇、下降の振れ幅を増幅させて利益を出します。

投機対象になる銘柄は、上昇・下降の大きな振れがあらわれる時期に決まりができて、振れ幅の目安もはっきりしてきます。

ビットコインの本年の下げは、投機対象になる場合のビットコインの下値の限界を示し、本年後半から来年へ向けた上昇があるなら、それは、投機対象としての1年間の振れ幅の目安を示すことになります。

Next: ビットコインはどこまで下がる? 目安となる下値の限界は



30万円台が下値の限界か

18年までの上昇の仕方を考慮すると、投機対象として、振れ幅のある動きを繰り返すとするなら、30万円台の17年9月の安値付近が下値の限界だと考えられます。

なお、ビットコインが投機対象として、今後、1年間で振れ幅の大きなジグザグを繰り返すと考えているわけではありません。

今後、投機対象として、ビットコインが存続できるなら、今年から来年にかけて上記の動きがあるということです。

ビットコイン日足

そういう振れ幅の大きな動きがあらわれず、小幅に下げ続けるか、小幅なレンジでもちあいが続く場合、もう投資対象にも投機対象にもなっていないことを示します。

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※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2018年6月24日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した全文(米朝首脳会談の展望、日経平均の今後のシナリオ)もすぐ読めます。

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『少額投資家のための売買戦略』』(2018年6月24日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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