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米国のリストラが止まらない。外食チェーン店員から、教職員までもが解雇へ

米国でリストラの波が各業界にじわじわと広がっています。誰もが利用する食品メーカー、安いメキシコ料理チェーン、そして教職員にまで解雇が増えています。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)

※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年7月6日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

リストラ組や非正規の受け皿である「外食チェーン」まで解雇へ…

『ハーゲンダッツ』の食品メーカーでリストラ

米大手食品メーカーのGeneral Mills社はコスト削減として、今年も首切りするとのことです。海外報道を翻訳しながら、ポイントを解説します。

米国大手の食品メーカーGeneral Mills社は、成長を続けるために間接部門のコストを減らして人的資源などを有効活用する目的で、625人を解雇すると発表。

Nature Valleyプロテインバー』や『ハーゲンダッツアイスクリーム』で有名なこの食品メーカーは、2019年5月末までにこの625人の解雇を実施するとのこと。この首切りによって、約55Mドルの支出を削減できると見ている。

ロイターによると、同社の経費削減を計画するに至った理由として、主にヨーグルトの販売減少、原材料物資の価格上昇、輸送費の上昇を挙げている。

北米のスナック菓子の売上は2%増加、カナダでは3%の増加をしたものの、北米のヨーグルト部門の昨年の販売は12%減少した。2018年5月27日期末であった通年の決算では、営業利益は2%減少している。

出典:General Mills to eliminate 625 jobs as part of cost-cutting drive – Food Industry News(2018年6月28日配信)

グラフでわかる、この先の「先細り」

上記の報道ではよくわかりませんので、年次決算書のデータからグラフを作成しました。参考にご覧ください。

(ア):同社の売上高の推移です。特殊な財政年度を採用しています。2017財政年度は売上減少しましたが、2018財政年度は回復しました。

(イ):北米アメリカでの売上高は減少傾向のままです。

(ウ):全世界での売上高は回復したものの、営業利益は減少を続けています。 利益無き戦いに入っています。

(エ):北米での各セグメントでの販売の増減を示しています。米国でのミール、パン、そしてヨーグルトが減っています。

大手食品メーカの北米での販売減は、何を意味するのでしょうか?

Next: リストラ組の受け皿「外食チェーン」でもリストラ



リストラ組の受け皿「外食チェーン」でもリストラ

さらにメキシコ料理チェーン「チポトレ」を運営するChipotle社は、2018年中に65店舗程度を閉店させると発表しています。

ご多分に漏れず、利益を増やすために、Chipotle Mexican Grill社は、年内に不採算店を最低で55店舗、最高で65店舗を閉鎖すると発表した。

その内の半分程度の店舗は30日以内に閉鎖するとのこと。

同社は市場開拓を狙ってメニューを一新し、2019年には全米で拡販キャンペーンを打ち出し、顧客の注文の自動化にも着手するとしている。また、顧客の自宅への宅配や、調理時間の短縮なども目指す計画だ。

出典:Chipotle to close 55-65 stores this year – USA TODAY(2018年6月28日配信)

利益は増えるだろうが、これではまたもや、首切りの犠牲者が出るでしょう。

今までは、製造業の分野で解雇された人々や正規従業員になれなかった新卒者を、外食チェーン業界が受け入れてきました。

それも無くなるのだから、不況は深刻化するのみです。

Next: 解雇の波は教職員にまで。あまり報道されないが事態は深刻



教職員の解雇がじわじわ増えている

最近、教職員解雇の報道が多いと感じています。

全米各地の大学でも数十名単位の解雇の記事をよく見ますが、そのような細かい報道は無視されてしまいます。高校・中学となればさらに首切り報道は多いのですが、どうしても人数が少ないので見逃されがちです。

ここでは、教職員の解雇の中でも比較的大きい首切り記事を紹介します。解雇が行われる学区は、コネチカット州南部の州第2の都市「New Haven」です。この地域はイェール大学がキャンパスを構える学術都市として有名です。

New Haven 市のLaurence Grotheer報道担当者は、市の財政赤字の理由で、現在1,100人の非常勤教師・職員を解雇していると公表した。

すでに該当者に対して解雇通知を発送済みであるが、この中から少数ではあるが、夏季休暇後に、調整の目的で再雇用される可能性もあるとのこと。

解雇対象となったのは非常勤教師や職員で、2018年6月末で解雇となる。

出典:Layoff Notices Sent to 1,100 New Haven Public School Employees – NBC Connecticut(2018年6月26日配信)

教職員の25%以上が解雇

これだけではこの学区の窮状がわかりませんので、データを追記します。

<New Havenの学校・学生数>

学区内の学校数:48校
学生総数:2万1,552人

<教職員等の雇用者総数>

正規雇用者:2,862人
非正規雇用者:1,187人
合計:4,049人

約1,100人の解雇は25%以上の解雇ですから、異常に多いことがわかります。

以下は、この学区の予算明細です。左から要求額、承認額、実際の支出、債務、残高、今後の必要額となっています。

予算の要求額は当初1億3,803万ドルだったのが、承認された額は1億1603万ドル。それに対して、2018年6月時点での累計の総支出額は1億1279万ドルとなり、残りの予算はたったの324万ドルしかないのです。ところが、今後の必要額は274万ドルなのですから、待った無しの首切りをしたのでしょう。

今後も財政は悪化し、雇用状況は落ち込みます。

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・米国新車販売2018年6月(7/12)
・米国造幣局の金貨・銀貨供給が落ちている(7/11)
・米小売業の苦悩:コスト削減の逆効果(7/10)
・連銀ストレステストの結果(7/9)
・貧困窮乏化の証拠:食費を削るしかないのか?/教職員解雇の報道(7/6)
・2018年、米国の今後の利上げは?/(7/5)
・トルコの金準備が倍増している(7/4)
・市場最大の米国人の資産は住宅資産(7/3)
・株価を維持させるために収縮させる米国名門企業(7/2)
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image by:Songquan Deng / Shutterstock.com

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6月配信分
・南アフリカの貴金属鉱山の現状/報道されないリストラ(6/29)
・地球環境上で維持不可能/金地金の需要が増えている(6/28)
・サウジアラビア、隣国カタールを人造海峡で孤立化させるプロジェクトを計画(6/27)
・ロシア、中国、インドの金鉱脈開発合弁事業(6/26)
・沈み行く米国と米ドル(6/25)
・ロシアと中国が、米政策で安くなった金(ゴールド)を大量購入(6/22)
・カナダ系ブリオンバンク、貴金属部門を大きく縮小(6/21)
・外食最大手もリストラへ/テスラ、利益が出ないので従業員数を9%首切り(6/20)
・米国経済は2020年に真っ逆さま(6/19)
・金貨を正貨に:テキサス州貴金属保管庫(6/18)
・モンゴル中銀が金準備を増やしている/カザフスタンの金準備推移(6/15)
・ロシアの金採掘「総動員令」/ロシアの金準備の積み増し状況(6/14)
・米国新車販売2018年5月/北米自動車メーカー、儲からないので減産へ(6/13)
・米国雇用統計の厚化粧/(6/12)
・予想すら出来なかったベネゼエラの行動/(6/11)
・米国最大の従業員を抱える私企業、半分以上が非正規(6/8)
・中国が画策、人民元を外貨準備へ/金準備を増やして世界基軸通貨に(6/7)
・「破産リスクの高い銀行」はどうもドイツ銀行(6/6)
・米国連邦預金保険公社の発表を裏読みする(6/5)
・イタリアで何が起きているのか(6/4)
・南アの金鉱山、従業員解雇で閉山へ/人民元建て原油先物市場発足のその後(6/1)
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5月配信分
・トップが逃げ出す大手名門小売チェーン/シアーズ、リストラが間に合うか?(5/31)
・ドイツ銀行、やはりリストラ解雇はさらに拡大(5/30)
・米国の嫌がらせに対抗するには、これが一番かも?(5/29)
・脱米ドル:太平洋の小さな群島国家が、正貨として新幻想通貨を創設(5/28)
・テスラ駄目かも?/欧州とイラン、そして米ドルの運命(5/25)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(4)(5/24)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(3)(5/23)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(2)(5/21)
・大手金鉱山Top9の2018年第1四半期の業績(1)(5/21)
・鉱山会社の現場コストが高騰中(5/18)
・原油、ガス採掘業者の苦しみは続く/カザフスタンの金準備の変化(5/17)
・雇用状況の実態:2018年4月解雇通知/英国通信業界でもリストラ(5/16)
・落ちゆく米ドル紙幣の価値(5/15)
・ドイツ銀行のリストラ、さらに拡大へ/フォード、乗用車部門から撤退へ(5/14)
・米国新車販売2018年4月/見えなくなった自動車業界全体の在庫(5/11)
・OPEC加盟国の4月の原油生産は過去1年間では最低レベル(5/10)
・ドイツ銀行、ジョン・クライアン最高経営責任者を解任(5/9)
・サプリメント業界の低迷~中流階級が痩せ細るので/(5/8)
・諸国家の累積債務、多重債務国家が増えている/公式統計とは一体何なのだろう(5/7)
・金利上昇じわじわと/会社更生、民事再生も困難になっているのが現実(5/2)
・損失が大きすぎるので廃業(5/1)
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4月配信分
・米国、失業率は史上最低で、ホームレスは増える一方(4/27)
・トルコ中銀、米国に預託してきた金準備を本国に返還へ(4/26)
・米ドル支配に対するイランの反撃(4/25)
・ロンドンでは、金(ゴールド)の売上が3.5倍(4/24)
・金と銀、金利と価格の関係は(4/23)
・私の妄想:金価格、銀価格はどうなる?(4/20)
・米国に対するロシアの平和的戦略兵器/ロシアの金輸出計画(4/19)
・GM、セダン販売不振で数百名を解雇へ(4/18)
・どんどん増える傾向の米国小売チェーンの店舗閉鎖(4/17)
・米国造幣局の金・銀貨の生産減少(4/16)
・豪州パース造幣局の大型金貨/仮想通貨、全面禁止まちがいなし(4/13)
・巨大物流センターの閉鎖(4/12)
・金貨を正貨に/ムーディズ、英系バークレイズ銀行をジャンク寸前まで格下げ(4/11)
・テスラ社のリコールの酷さ/スウェーデンで、キャッシュレス社会に警告(4/10)
・米国新車月次販売報告/ロンドン金市場の価格発表、なぜか停止へ(4/9)
・ロシアの金準備/気になるドイツ銀行の動向(4/6)
・テスラ、駄目かも?(4/5)
・【中国】これは異常事態。必ずやどこかで噴出するはず(4/4)
・金貨を正貨に:ウェストバージニア州/預けておくのは心配だから(4/3)
・米国日産の減産/LIBOR、短期貸出金利と翌日物金利の乖離拡大に警戒(4/2)
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3月配信分
・中国宇宙ステーションの落下地点は何処だ?(3/31)
・仮想通貨の消せない不都合な過去/米国は建国以来の最低失業率と言うものの(3/30)
・低価格アクセサリーももう駄目/食品スーパーも業績悪化で3回目の破産(3/29)
・ゴールド生産量のピークは?(3/28)
・【米経済】売上は伸びているが、再び解雇(3/27)
・貴方の飲み水、大丈夫?(3/26)
・犠牲となって死ぬのは部下(サウジアラビアの宮廷革命劇)(3/23)
・米国新車販売/ゴールド:預けておくのは心配だから(3/22)
・金貨を正貨に!法成立:アラバマ州(3/20)
・コンピュータ・プログラムによる電光石火瞬間取引のその瞬間(3/19)
・金貨を正貨に/増えるクレジットカード債務残高(3/16)
・売上の下落を食い止めるには、他の市場に殴りこみ(3/15)
・米銀行の資産総額は増える一方だが.(3/14)
・ゴールド:供給不足で御免なさい/情報漏洩の状況証拠(3/13)
・フォード、モデルチェンジの為の一時解雇と言うものの(3/12)
・原油、サウジアラビアの希望は70ドル/シェール油田のボトルネックは砂粒(3/9)
・米国新車販売2018年2月/英国トイザらスも会社整理に入った(3/8)
・コストダウンする為に正規労働者を切ってアルバイト雇用にする(3/7)
・デパートは貧困化時代の世相に合わない/清涼飲料大手の首切り(3/6)
・プエトリコを潰したのは英国銀行協会/ロンドン銀行間取引の金利が上昇(3/5)
・中国、恐怖心理指数を見たくない/米外食大手、120店を閉鎖(3/2)
・ドイツ銀行が500人の首切り/2018年貴金属価格予想(3/1)
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2月配信分
・ロシア、金準備の積み増し/いつかは来る債務危機(2/28)
・ビットコインは失敗作/ヘッジファンドが大規模な債券売り(2/27)
・リアルマネーは非課税のはず/カザフスタンの金準備(2/26)
・増えるばかりの米国家計の借金/リバース・モーゲージ契約の伸びが示すもの(2/23)
・エネルギー探査開発需要が減っている/豪州、金貨・銀貨の種類を新たに増やす(2/22)
・大企業だから安全だとは言えない/まだまだ続く解雇の嵐(2/21)
・暗号通貨はネズミ講/2018年2月7日の週の資金流出(2/20)
・何を信じているのだろうか/人民元建て原油先物取引の取引開始日(2/19)
・米国造幣局、金貨及び銀貨の1月生産実績/中国の需要と供給(2/16)
・Wal Mart社が本社部門をリストラ/冬季五輪の背後で訓練を続けている部隊(2/15)
・何をもって好況と主張するの?/大手家庭用品メーカーの製造拠点集約と首切り(2/14)
・野村證券のデリバティブ商品、ほぼ価値ゼロに/麻薬中毒者は雇えない(2/13)
・【号外】米国株式市場の大暴落(2/12)
・大手生保の計算ミスは大規模/ロンドン不動産の惨敗(2/9)
・フォード社の格付け?/米国新車販売2018年1月(2/8)
・Perth造幣局、ブロックチェーン技術を応用して./孫会社の保険会社の大損失で本体がバラバラに(2/7)
・トイザラスの年末商戦結果は悪く、未来も暗い/外食チェーンも気にする中間層の消失(2/6)
・生活必需品の食品も需要が後退/米国を代表するツーリング用大型バイクが売れないのは何故?(2/5)
・中国基準が世界基準に? そしてブロックチェーン技術の応用/Perth造幣局(2/2)
・米ドルの弱体化と金価格(2/1)
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いつも感謝している高年の独り言(有料版)』(2018年7月6日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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