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【10月米雇用統計】平均時給9年半ぶりの3%上昇か? ドル円の値動きと今夜の戦略=ゆきママ

米中貿易摩擦、中東情勢の不安定化、ブレグジット、イタリア予算問題と、ここ最近は悪材料が目白押しとなっています。株式市場も含めて荒れる中、果たして今日の雇用統計はどう動くのかを解説していきたいと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

想定レートは1ドル=112.4~113.3円、今夜のトレード戦略は?

メカニズム的にドルは売られにくい

株式市場が大荒れとなる一方で、ドルインデックス(主要国通貨に対するドルの総合的な価値を指数化したもの)は非常に堅調な値動きが続いています。おかげで、ドル円相場もドルに引っ張られる形で、非常に底堅い値動きとなっています。

この現状のドルの強さの背景には、なんだかんだ言っても米国経済一人勝ちですから、ドル需要が非常に高いことが挙げられます。

やはり新興国経済がイマイチなこともあり、米国に資金は還流しがちですから、少なくとも年末までは高いドル需要が続くとされています。ですので、少なくとも、そこまでは極端にドルが売られるような展望を描くのは難しいでしょう。

また、このドル調達コストの上昇も米国債に資金が向かいにくいという点で、米朝金利(10年債利回り)を下支えしています。

これまでのパターンだと、株が売られると代わりに米国債が買われ、長期金利は下がることが多かったですが、ドル調達コストが高いため、金利がもっと高くないと米国債を買うという選択肢は取りづらいのです。

そう言った意味でも、現状は金利高が維持されやすく、市場の流れのメカニズムから考えて、ドルは売られにくいということを意識してトレードしていく必要があるでしょう。

Next: 先行指標はやや弱め、ハリケーンの影響も気がかり



先行指標はやや弱め

それでは、いつものように先行指標の結果事前予想値を確認しておきましょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

真っ赤です。つまり、前回よりほぼ全て悪化しています。前回が良すぎた反動もありますが、米中貿易摩擦を中心に多少なりとも影を落としているのは間違い無いのでしょう。

それでも、基調的な強さは維持されていますから、気にしすぎることはないでしょう。

ハリケーンの影響も気がかり

むしろ、前回(9月)はADP雇用報告が強めの結果だったにも関わらず、本番の雇用統計における非農業部門雇用者数はハリケーンの影響で予想を大きく下回るというプチサプライズとなりました。

今回は前月比での反動増が期待されますが、実は10月もアメリカには大型のハリケーンが襲来していましたので、雇用者数の伸びに関しては、あまり強気にならない方が良いかもしれません。

気になる平均時給は?

それから、肝心の平均時給については、ついにほぼ10年ぶりに前年同月比で3%の大台に乗せることが期待されています

FRBも長年目標としてきた水準ですし、賃金インフレが発生すれば利上げという流れは、より強化されますから、金利動向を含めて株価の値動きに注目しておきたいところでしょう。

ご存知のように、株式市場全体が不安定な値動きとなっており、とりわけ最近は米長期金利の上昇を嫌気してダウが大きく下げるというパターンが続いています。

今日も平均時給の伸びが3%の大台乗せということで金利が上昇し、それを懸念材料として株価が下げるのであれば、円高の流れからドル円の上値は抑えられることになるでしょう。

Next: アップルが懸念材料に。株価の動きに要注意/ドル円は堅調な値動きを期待



アップルが懸念材料に。株価の動きに要注意

今日はダウ先など、株価の値動きには要注意です。

ポイントになるのは、早朝に発表されたアップルの決算。売上高は好調だったものの、出荷台数は完全にピークアウトしており、今後の見通しとしても微妙になりつつあるのが懸念材料です。

しかも、12月からiPhone、iPad、Macの出荷台数の公表をやめるとのこと。アップルが大きく下落するなら、ダウは黄色信号です。ダウに対するアップルの寄与度は大きいですからね。

ドル円は堅調な値動きを期待

とはいえ、500ドル、1,000ドルという暴落が来るならともかくとして、ここ最近のドル円は非常に底堅いですから、現状ではそこまで下値リスクを考える必要はないのかなと思います。

ドル円日足チャート

目先では112.50円が支えとなっており、仮に割り込んだとしても底堅い値動きを想定しています。非農業部門雇用者数、平均時給が共に事前予想値を大きく下回るならともかくとして、多少弱い程度なら問題ないでしょう。

とりわけ、平均時給に関しては、事前予想値をやや下回る+3.0%ぐらいの方が、金利の低下に繋がって株価にとってはプラス材料となるでしょう。

なので、予想並か予想を上回る数字が出た場合は、初動はドル買いが進んで上昇しそうではありますが、株価の値動きに要注意です。

Next: 想定レートは1ドル=112.40~113.30円、今夜のトレード戦略は?



基本は「ロング・押し目買い」

現状のドル円については、ここ数日は月末、月初の米国債等に絡むフローで113円台まで上値を伸ばしましたが、今は調整を済ませています。

したがって、気になるトレード戦略については、極端に弱い結果以外はドル円は上値を伸ばすと考え、まずは21日移動平均線(112.548円)を下値目処として、ロング・押し目買い方針でトレードしていくことを予定しています。

上値に関しては、113円以上は重くなってくるでしょうから、もし順調に上昇していくなら、そこでの利食いを想定しています。損切りは、今晩の雇用統計の短期トレード前提なら112.40円ラインです。

ちなみに、中期的には個人的にドルの小高い値動きが続くと考えているので、ドル円は大きく下がった時は少しずつ拾っています。スワップも美味しいので、少なくとも今年年末ぐらいまでの目線で、ドル円ロングを継続しています。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年11月2日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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