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損切したとたん相場が反転!そんな悔しい思いをしないためのテクニカル分析=清水洋介

「もう駄目だ!」と思って損切したとたん、相場が切り返したという経験はありませんか?そんな底入れのサインとして現れる「切り込み線」について解説します。(『資産運用のブティック街』清水洋介)

筆者プロフィール:清水洋介
大和証券、外資証券会社、外資系オンライン証券会社などを経て、証券アナリスト「チャートの先生」としてテレビ・雑誌等に登場し、また、現役ディーラーとしても日々相場と対峙する。 講演を行う一方、2014年5月に株式スクールを開校するなど投資に関して幅広い分野で活躍。著書:ローソク足と酒田五法(パンローリング)など多数。

大きな陰線の後に「切り込み線」が現れると相場が反転?

寄り付きが安くて「もう駄目だ!」と思っても…

初めに以下の図1をご覧ください。いずれも「切り込み線」を示します

今回解説する「切り込み線」とは、大きな陰線の後、安く寄り付き、その後切り返すパターンです。

終値が陰線のどのあたりまで戻ったかで「入り首船」、「差し込み線」、「あて首線」などと区別して分析するケースもありますが、ここでは「十分に下落した後の大きな陰線となった次の日に、安く寄り付いたものの、寄り付きがほぼ安値となって切返したパターン」をすべて「切り込み線」として見ていきます。

この形は、底入れのサインとなるのです。もし、自分の持っている株が毎日毎日下がり続けた場合の心理はどうでしょう?「いいかげん下げ止まらないなかなぁ」と思う人や「もうだめなのかな」と考える人、「そろそろ底値ではないか」と思う人、などいろいろだと思います。

そうした中で大きな陰線を引くと、「あ~っ!やっぱり駄目か!」と思い、次の日の寄り付きに「もう駄目だ!」とばかりに売ってしまうケースが多いのではないでしょうか。

売りが枯れて、ちょっとした買いでするする戻る

そうした「もう駄目だ」と言うような売りが出るところでは、それ以上の売りが出ないケースが多く、ちょっとした買いが入るとするすると戻してしまうのです。

もし本当に弱い相場であれば、寄り付きからの売りのあともだらだらと売りが出る、とか安く寄り付いたあとに前日の終値や安値近辺になると戻り売りが出て、そこから売り直されてしまうことになります。

そうした売りが出ないということは「売り物が出切った」と言うことになり、底値となってくるのです。

図1と図2は実際に「切り込み線」となったケースですが、それぞれの最後のところから反発して来るのかどうか、次回見てみたいと思います。

Next: 実際のチャートで「切り込み線」はどんな時に現れるのか



底値で現れる足型の現れ方に注目

では「切り込み線」を検証してみましょう。一言で言うと、「売りが出切った」と言う意味を表すもので、以下の図4に赤いローソク足で示したように、二日間で「下ヒゲ線」を形成したものと考えられます。

図3で示したものは前回と同じもので、その後の動きが図4になります。すべて「切り込み線」で底値を付けたケースを挙げてありますが、それぞれ、どのような心理状態にあって、底値をつけたのかを検証してみましょう。

図4のAを見てみると底値圏でのもみ合いのなか、反発のタイミングを探していたところで青い矢印で示したように直前の安値を割り込み「もうだめだ、今度はどこまで下がるのだろう?」と思われるようなところで大き目の陰線を引き、本当に駄目だと思われたあとに大きめの陽線となって、「切り込み線」が出現、底値となったケースです。

Bはずるずると毎日下がるような相場で、「どこで下げ止まるのだろう」「まだまだ下がるのかな」と考えているところで、青い矢印で示したところで戻り歩調となりかけました。その後何らかの材料で安値を更新、大きめの陰線をつけると次の日も安く寄り付き、「もう駄目だ、まだまだ下がる」と思われたところで切り返し、陽線となって「切り込み線」で底入れとなりました。

Cは上昇トレンド(青い矢印)が崩れたところで、どこまで下がってしまうのか分からないように投げ売りがかさみ、一気に下落、どこまで下がるか見当も着かないような状況のときに切り返して陽線となり、「切り込み線」となったのです。

Dは高値圏でのもみ合い後急落、下値の目処となるところでいったんは下げ止まったものの(青い矢印)その水準を再び割り込むと急落となり、「もう駄目だ」と思う向きが多いようなところで、これもまたしっかりと切り返して「切り込み線」となり、その後はしっかりと押し目で下値を確認しながら戻った格好となりました。

A~Dまでを見て、共通して言えるのは「もう駄目だ」と思うようなときに「切り込み線」が出現するのです。実際に安値で買うことは運がよほど良くないと買うことは出来ないでしょう。ただ、「切り込み線」を確認、あるいは確信して、底値を確認してから買いに出ても決して遅くはないものと思います。

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image by:Vintage Tone / Shutterstock.com

資産運用のブティック街』(2018年10月9日・11月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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