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決算シーズン最初の山場は27日(火)。日経平均高寄与度銘柄に注目せよ=山本伸一

いよいよ決算シーズンが本格的にスタート!米FOMCや日銀金融政策決定会合も控える10月26日週の注目ポイントを「プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。」を配信する株式評論家の山本伸一さんが解説します。

企業決算、重要イベントが目白押し。最初の山場は27日(火)に

まずはこの1週間(10月19日週)の相場動向を振り返り

10月19日週の株式相場は、出直り後の調整をこなす動きを見せていた先週の流れから、週明け月曜日には利益確定売りが出たものの、火曜日に買い直されると、水曜日も買い進まれる展開。木曜日の一服から、金曜日にはさらに買い気を強めるなど、週半ばから強気に傾いてきています。

日経平均株価は、先週末の1万8200円台から、月曜日は中国7~9月期GDPが前年同期比6.9%増と市場予想を上回ったものの4~6月期の7.0%増からは減速して利益確定売りを主導。

火曜日も前営業日調整からの戻り売りが上値を圧迫して1万8200円台を挟んだ値動き。水曜日は為替相場の円安推移とともに切り返すと、決算銘柄物色も追い風となり買い優勢で1万8500円台に乗せると、木曜日の1万8400円台の押し目を形成。

金曜日は海外時間帯でドラギECB総裁が金融緩和政策を示唆したことでリスク選好の流れが強まり、欧米株高、ドル高の流れから1万8900円台まで水準を切り上げてきました。日経平均株価終値は18825.30円で今週の取引を終えています。

日経平均株価チャート 2015年10月23日終値

東京市場は決算発表シーズンに突入したこともあり、決算シーズンに向けて警戒売り、買い手控えの決算相場の需給が主導する展開に。月曜日は先週末引け後に上方修正を行った戸田建設<1860>資生堂<4911>などが上昇。物色傾向では増額修正、好業績観測報道銘柄が順当に買われた半面、業績面での先行き不透明感がある銘柄が売られる傾向が見られました。

なかでも目立った動きとなったのは連続ストップ高となったIPO銘柄のAppBank<6177>、直近IPOのベステラ<1433>、PCIホールディングス<3918>などで、短期資金の物色が確認されています。

AppBank<6177> 日足(SBI証券提供)


ベステラ<1433> 日足(SBI証券提供)


PCIホールディングス<3918> 日足(SBI証券提供)

決算銘柄では、安川電機<6506>は20日引け後に発表した第2四半期決算を好感した買いを集めて人気化。営業利益189億円(前年同期比27.2%増)の大幅増益で、事前予想の155億円を上回る内容で見直し買いを集めました。

日本電産<6594>も21日引け後に発表された第2四半期決算で営業利益が619億円と事前予想の580億円を上回るなど、決算評価の買いが向かっています。

安川電機<6506> 日足(SBI証券提供)


日本電産<6594> 日足(SBI証券提供)

その他の個別銘柄、決算増額の日立マクセル<6810>、大正製薬<4581>、東京製鐵<5423>、オービック<4684>、新光電気工業<6967>、好業績観測報道の東邦チタニウム<5727>、日野自動車<7205>、三菱鉛筆<7976>などが日替わりで物色される展開に。ただ、決算銘柄は継続して買われるものもあれば、次々と業績修正や決算発表が出てくることから、資金の逃げ足の速いものも多く、継続して買われるよりも物色が次々に移っていった印象もあります。

また、IHI<7013>の第2四半期決算は赤字転落、通期業績予想も一転減益見通しとなり、業績予想の下方修正を嫌気した投げ売りに押される形に。

住友化学<4005>も第2四半期の営業利益を620億円から740億円へ、純利益を380億円から600億円へ上方修正しましたが、原油在庫の評価損が響き決算売りで大幅安に。

富士フイルムホールディングス<4901>も業績観報道が市場の事前予想に届かなかったことから大きく売られる場面もありました(同社株はSMBC日興証券の投資判断アウトパフォームでカバレッジしたことから買い直されましたが)。

Next: 【展望】株価が前回決算の水準を下回っている銘柄が狙い目に


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さあ決算シーズン、株価が前回決算の水準を下回っている銘柄に注目

さて、これから決算シーズンが本格化してきます。証券会社などの投資判断や業績修正、好業績観測などの報道が出やすくなる局面です。事前の好決算期待がある銘柄は、実際の決算開示後の反応を見越して、決算発表を先回りして決算発表日を前に売買をするスタンスが有効になってくるでしょう。

今週は全市場の売買代金上位にIPOや材料株が賑わい、増額修正銘柄や決算材料株の売買も増加傾向。好決算期待銘柄には、決算発表を先回りした買いが入りつつある状況にあります。前回の決算シーズンを下回る株価水準となっている銘柄も多く、そういった銘柄ほど上方修正や決算の予想上ブレといった材料に反応しやすい相場とも言えます。

来週の決算は、26日の月曜から日立ハイテクノロジーズ<8036>、信越ポリマー<7970>、タカラレーベン<8897>。

27日火曜日はファナック<6954>、東京エレクトロン<8035>、キヤノン<7751>、信越化学工業<4063>、オムロン<6645>、キーエンス<6861>などの決算が発表されます。

さらに、28日水曜日には日立製作所<6501>、野村HD<8604>、ANAHD<9202>、富士フイルム<4901>、東日本旅客鉄道<9020>、任天堂<7974>など85社。

29日木曜日はソニー<6758>、京セラ<6971>、フォスター電機<6794>、パナソニック<6752>、NTTデータ<9613>、カプコン<9697>、サイバーエージェント<4751>、ガンホー<3765>など208社。

30日金曜日には村田製作所<6981>、富士重工業<7270>、NTTドコモ<9437>、日本航空<9201>、三菱地所<8802>など、500社を超える決算発表が予定されています。

注目イベントはFOMCと日銀金融政策決定会合

金融イベントとしては、27日に10月米消費者信頼感指数、29日に米新規失業保険申請件数、30日にミシガン大消費者信頼感指数・確報値が発表になりますが、やはり27日~28日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されるところです。市場コンセンサスは現状維持で利上げは見送られる公算ですが、年内の利上げ実施についてどのような声明を出すのかに注目が集まるところでしょうか。

国内では29日木曜日に9月の鉱工業生産速報値が、30日に9月失業率と有効求人倍率、9月全国消費者物価指数がそれぞれ発表されます。そして、30日には日銀金融政策決定会合があり、日銀展望レポートが発表され、黒田日銀総裁の会見が行われます。政策決定の内容はもちろんですが、会見の内容にも注目をしたいところです。

ECBのドラギ総裁が22日、「12月の理事会で金融政策の緩和について検討する」と述べたことから、市場では日銀の追加緩和の期待が高まっており、追加緩和ともなれば三菱UFJ<8306>、三井住友FG<8411>などメガバンクや野村HD<8604>、大和証券<8601>などの証券大手、日立製作所<6501>、東芝<6502>、ファナック<6954>、京セラ<6971>などハイテクやトヨタ自動車<7203>、ホンダ<7267>、日産自動車<7201>など自動車など輸出関連銘柄など中核銘柄が買われて、日経平均のさらなる上昇もあるかもしれません。

23日の金曜日の株式市場で日経平均が400円を超える大幅高となり、これらの銘柄の上昇が目立ったのも、ECBのドラギ総裁の発言を受けた追加緩和期待で騰がったという側面もあります。

日経平均への寄与度が高い銘柄の決算が集中、27日火曜日に注目

このなかでも、特に日経平均株価構成比率上位のファナック<6954>や京セラ<6971>、売買代金上位の野村HD<8604>などの銘柄は、来週27日火曜日、28日水曜日、29日木曜日と、それぞれ直近に決算発表を迎える銘柄。これらの銘柄は、決算前の増額期待など思惑的な売買に加え、決算通過後も日銀の追加緩和の思惑も相まって、様々な角度から売買が活発になることも予想されます。

特にファナック<6954>、京セラ<6971>、東京エレクトロン<8035>といった銘柄は日経平均寄与度が高い銘柄でもあるので、これらの銘柄の動きだけで日経平均株価のプラス・マイナスのインパクトにもつながります。

ファナック<6954> 日足(SBI証券提供)


京セラ<6971> 日足(SBI証券提供)


東京エレクトロン<8035> 日足(SBI証券提供)

その意味でも日経平均寄与度の高いファナック<6954>、東京エレクトロン<8035>、キヤノン<7751>、信越化学工業<4063>の決算が集中する27日火曜日の引け後の各社の決算発表と、その翌日の株価の反応と日経平均との関係がまずは来週の注目ポイントになるでしょう。

Next: 気になる追加緩和のゆくえ。麻生財務相は慎重姿勢も市場は期待


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気になる日銀追加緩和のゆくえ。麻生財務相は慎重姿勢も市場は期待

仮に今回の日銀会合で追加緩和がなかったとしても、日銀は毎年4月および10月の金融政策決定会合において、先行きの経済・物価見通しや上振れ・下振れ要因を詳しく点検した「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)を公表することになっています。

事前報道では、2015年度と2016年度の物価見通しを引き下げる方向で検討されていると言われており、GDP成長率も2015年度は従来の+1.7%から1%台前半に引き下げられるとの見通しで、日銀が掲げる2016年前半までの2%インフレ達成時期も後ずれする見込みです。

追加緩和がなかった場合でも、展望レポートから日本の弱い経済指標が確認されれば、政府の補正予算による経済対策だけで乗り切れるのかということから、年内遅くない時期に追加緩和をという声も高まってくると思われます。

米国では利上げの時期を巡っての攻防はありますが、最近の弱い経済指標からは年内利上げは難しいのでは?という声が出ていることも事実。シカゴ・マーカンタイル取引所のFedWatchでは、10月22日段階で10月利上げの予想はわずか5.7%。12月16日のFOMCでの利上げ予想も29.8%と30%を切っています(12月のFFレート0.25の現状維持予想は68.7%)

麻生財務相などは追加緩和に慎重姿勢を崩しておらず、行きすぎた円安は輸入原材料は高騰を招き、輸出量の少ない中小企業については円安メリットがないとも言えます。ただし、11月16日(月)に発表される7月~9月期のGDP速報値が今度は焦点になるでしょう。

GDPのマイナス成長が続くとすれば、日銀の追加緩和圧力が高まっていくことが予想されます。もし今月末に追加緩和が見送られたとしても、来月以降はまた追加緩和期待も出てくるでしょうし、関連銘柄についても決算を見極めた後で、良い業績の銘柄を選別して物色する動きもでてくるのではないでしょうか。

中国・新興国の減速懸念から、機械や鉄鋼、電機の決算には要注意

また、3月期決算企業の中間決算の傾向としては、円安と原油価格など資源安がプラス材料となり、輸出企業を中心に増益基調を確認する傾向になることが予想されます。

これまでに小売業に関しては決算発表が済んでいるものをみても、インバウンド消費の恩恵から好調な決算が記憶に新しいところです。ただ、中国の7~9月期のGDP成長率が6.9%と7%を割り込んでおり、この数字自体は市場予想の6.8%よりも高い数値ではあるものの、中国や新興国経済の減速懸念があることは確かです。これまでは好調を維持していた企業でも、先行きを懸念して通期予想を期初予想に据え置くなど増額を出さない保守的な決算を出す企業も出てくることも予想されます。

もともと会社予想は保守的に出しておく企業が多いなか、これまでの業績の好調さから会社四季報などの市場予想は高めに設定されている企業も多く、株価はこれらの数値を織り込んで上昇してきた経緯もあります。国内でも機械受注や鉱工業生産などの指数は弱く、機械や鉄鋼、中国向けのウェイトが大きい電機などの決算には注意が必要でしょう。4~9月期の上期決算の数値だけでなく、通期予想を据え置くのか、修正するのかなども株価に影響を与えそうです。

今後開示が本格化する決算銘柄の狙い方としては、好決算が期待される銘柄の決算発表日を予め調べておき、先回りして仕込んでおくのが基本方針となります。8月の全体調整とともに株価水準を落としている銘柄も多く、期待通りの決算内容を示せば、再評価も期待できるでしょう。

【関連】炸裂した「ドラギマジック」が日銀の10月緩和観測にあたえる影響

プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』2015年10月23日号より一部抜粋
※太字、見出しはMONEY VOICE編集部による

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