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イエレンの心変わりとQE4。経済崩壊を先送りするたった1つの方法

著名な資産運用マネージャーで、「QE(量的金融緩和)の動向を的確に予測する男」として知られるビル・フレッケンシュタイン氏は、最近、会員からの質問に対して、「リセッションが迫っており、QE4、あるいは直接的なQE、あるいは、少なくともマイナス金利(NIRP)が設定される」可能性が高いと回答しました。

国内外のさまざまな情報に精通し、ユニークな視点からの分析で定評のある『カレイドスコープ』のメルマガが、マイナス金利を言い始めた「イエレンFRB議長の心変わり」と、にわかに現実味を帯びてきた米追加緩和のゆくえを考察します。

※不許複製・禁無断転載(本記事の著作権はメルマガ著者および当サイトに帰属します。第三者サイト等への違法な転載は固くお断り致します)

「QE4、あるいは直接的なQE、少なくともマイナス金利が設定される」

米国の経済崩壊を先延ばしする唯一の方法は追加緩和のみ

事態は、アメリカにとって最悪です。

債務上限の期限が迫る中、ロシアとアメリカは、(表向き)イスラム国掃討作戦で連携せざるをえない羽目に陥っています。

さらに、中国は上海市場の崩壊を口実にして、米国債の売りを開始すると同時に、アメリカの反応を見ています。

これで、先月下旬の国連総会に合わせた米中首脳会談で、習近平がオバマに冷遇された理由が分かろうというもの。あれが芝居だとすれば、習近平も、かなりの役者です。

とにもかくにも、もう利上げ話など、どこかに吹き飛んでしまったようです。

さらに、安倍首相が、いくら「GDP600兆円を目指す新アベノミクス」をぶち上げてみても、さすがにアベノミクスで懲りている海外の反応は冷淡です。

その中で、日本のTPP参加、そして、11月4日の郵政グループ3社の巨額新規上場は、オバマ政権とウォール街にとっては大いなる朗報でしょう。

しかし、本当に恐いのは、その後かもしれません。つまり、レバレッジを最大限利かせたヘッジファンドが、何かを仕掛けてくる可能性が濃厚だからです。

残すところは、連邦準備制度理事会のジャネット・イエレンが、Q4(量的金融緩和の第4弾)を宣言するかどうかです。アメリカの経済崩壊を先に引き延ばすことができるのは、Q4以外にありません。

「緩和を的確に予測する男」ビル・フレッケンシュタイン

そのQ4の可能性について、ビル・フレッケンシュタイン(Bill Fleckenstein)が明確に答えています。

ビル・フレッケンシュタインは、マネー運用のマネージャーとして30年以上の経験を持つベテランで、1996年以降は、毎日、市場レポートを書いています。

彼が2003年に創設した貴金属投資情報サービス会社『FleckensteinCapital.com』は、直接のオーナーシップと投資家たちによって完全にコントロールされている唯一の会社で、彼自身もテレビ番組に多数、出演しています。

彼は、スイス国立銀行が驚異的な損失を出すこと、そして、連邦準備制度理事会がグローバルな金融システムを不安定にするほど大きい損失を経験することなどを的中させました。彼は、QE(量的金融緩和)の動向を的確に予測する男として知られています。

Next: 「リセッション(景気後退)は迫っている」フレッケンシュタインの最新分析


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「リセッション(景気後退)は迫っている」フレッケンシュタインの最新分析

ビル・フレッケンシュタインは、最近のグリーンペーパー(政策決定の前段階の議論のたたき台)を読んで、「全体的に先行き弱含み」と結論付けました。

彼の感想は、「グリーンペーパーでは、否定的なニュースがすべて薄められ、割り引かれているとは思わないが」と前置きした上で、インテルの現状を引き合いに出しながらQ4の可能性を論じています。

「インテルについては、PC事業は死に絶え、データセンターの消費が減速傾向にあるという事実があるにも関わらず、『すべては、まさに素晴らしい!』ということを投資家たちに確信させるために、強力なプッシュを行っています。こうした企業でも、どうにかこうにか、この四半期を乗り切ることができるのであれば、Q4は実施されないでしょう」とフレッケンシュタイン。

そのビル・フレッケンシュタインは、キング・ワールド・ニュースに、彼の会員から寄せられたQ4についての質問に対する回答を提供しています。要点は、以下の引用。

問題の空売り筋が、連邦準備制度理事会のQ4を待ち構えていて、どう動くか、ということに関しては、まずは最初に市場に亀裂が入るまでは、Q4が実施されることはあり得ない。

だから、株式市場にそれが起こるまでは、連邦政府の動向に必要以上に神経質になる必要はない。

株式市場は、連邦準備制度理事会による操作によってファンダメンタルに関係なく上げ下げしていることから分かるように、彼らは、この市場を破綻させないことに専念している。

リセッション(景気後退)は迫っている。その明確な何かのサインが出たときに、QE4、あるいは直接的なQE、あるいは、少なくともマイナス金利(NIRP)が設定されるはずだ

しかし、連邦政府は、基本的に、根本的な経済の改善のためには何もしないということが分かっている。

私たちは、やがて、彼らがどんな政策を打とうが、そんなことでは市場を支えることができないことを見せつけられることになるが、そんなときでも、投資家たちは、相変わらず下げたところを買い続ける。株式市場が完全に動かなくなるまで。

いったい、何が自由市場に起こっているのだろうか。

グリーンスパンは1990年代半ばに市場を乗っ取った。以来、気づかれないようにして量的緩和を続けて市場をひたすら悪化させてきた張本人である。

しかし、株式市場の上昇は、QEと同じことなので、うろたえる必要はない。

金価格のそれまでのトレンドが反対になるとき、少ない取引量ではあるが、金価格の下落傾向が反転して上昇に転じる大きな波を見ることになる。

いつ、それが始まるのだろう?

200日移動平均線は、止まっては走り出し、走っては止まる、を繰り返して金の市場を少しずつ押し上げている。200日移動平均線は交差するだろうか?あるいは、その兆候が出てきたのだろうか。

いずれにしても上昇反転が、いつか起こり、金市場が明確な上昇トレンドに入っていくと、一般の人々も、そこに割り込んで入って来るだろう。

会員向けのクローズド・メディアではなく、キング・ワールド・ニュースという世界中からアクセスのある公開記事での掲載を前提として、やや謎解きのような表現になっているので、少し解説を加えます。

Next: 最初から利上げするつもりのないFRB、次は富裕層から金を巻き上げる?


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最初から利上げするつもりのないFRB、次は富裕層から金を巻き上げる?

まず、「マイナス金利(NIRP)が設定される」についてですが、FRBのジャネット・イエレンが、追加の金融緩和策として、マイナス金利政策の可能性を言い出しました

あなたは正常でいられるでしょうか?つい1ヶ月前まで、「年内の利上げはあり得る」と言っていた同じ人間が、正反対のことを言っているのです。

マイナス金利になると、どういうことが起こるか。端的に言えば、お金を借りると利息がもらえて、反対に、お金を銀行口座に置いたまま活用しないと、マイナス金利ですから、マイナスの利子がつくということです。つまり、銀行に預けておくと元本が金利分、どんどん目減りしていくのです。

それで困る人は誰でしょう?

特に悩ましいのは、巨額の現金の資産を銀行に預けて、利子で生活しているような資産家です。預けておくと、資産が減ってしまうのですから、何かに投資して活用しなければならなくなります。その筆頭は株式投資でしょう。

思い出してください。

小泉政権の時、「貯蓄税」という信じられない課税が考えられたことがあります。銀行に金を預けたままにしておくと税金が取られるのです。これは、資産家を投資に振り向けるために考え出された法律でしたが、日の目を見ることはありませんでした。これも、マイナス金利の一形態と考えることができます。

投資の世界に“引きずり込まれる”資産家たち

ジャネット・イエレンが言い出したことも同じで、「アメリカ人なら、もっと投資に金を振り向けろ」と言っているのです。

マイナス金利政策は、実質的には、量的金融緩和と同じなので、どうしても株式市場で運用しなければならなくなるのです。

マイナス金利政策の下では、「資産が減っていく」ことが無言の圧力となって、強迫観念に苛まれながら、嫌々、投資の世界に引きずり込まれるのです。これは資産家を破壊するための政策です。

繰り返します。ジャネット・イエレンは、確かにマイナス金利を言っているのです。

つまり、FRBは最初から利上げなどするつもりなどなく、マイナス金利によって、次はアメリカの富裕層から金を巻き上げようとしているのです。

あるいは、利上げができない事態になった場合に備えて、2、3のシナリオがあらかじめ用意されていたのかも知れません。A案の利上げがダメなら、B案のマイナス金利、という具合に――


好評配信中の『カレイドスコープのメルマガ』10月8日号では、この続きとして、フレッケンシュタイン氏の回答の後半部分を詳しく解説。また、リチャード・ラッセル氏(投資専門ニュース・レター『Dow Theory Letters』を1958年に発刊以来、91歳の今日までレポートを書き続ける伝説的人物)の最新の見解を紹介しつつ、いまの連邦準備制度理事会(FRB)が抱えるさまざまな問題やゴールド相場について分析しています。

米・利上げは、2017年まで延期される可能性が出てきた

ペンタゴンが、一度は政府機関の閉鎖を警告

金は1トロイオンス当たり1250ドルが上昇反転の転換点

金価格は、いつ上昇に転じるのか、気配は濃厚だが……

リーマンショック→中国バブル崩壊→2019年問題→オリンピックは開催できるのか

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「カレイドスコープ」のメルマガ』(2015年10月8日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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