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よく当たる「理論株価」最新データ分析!日経平均の妥当水準は?

このところの反発で、前回までにお伝えした理論株価との「かい離」を急速に縮めた日経平均。今回は直近10/23までの最新データをもとに今後の展開と変動要因を考えます。日経新聞社で証券分析サービス開発に従事、各種日経株価指数を担当した日暮昭氏の解説です。

理論株価に回帰する日経平均、最新データ分析(~10/23)

回復基調をたどる株式相場

日経平均は8月末から9月にかけて急落した後、足元で回復基調をたどっています。

この基調は今後も続くのか、続くとしたらどのあたりまで戻すのか、前月の記事でご紹介した、“理論株価”との相対的な間合いをもとに評価する相場の位置づけを、ここで再度行なってみましょう。

下図は2014年初めから直近の10月23日までの日経平均と理論株価の日次終値の推移を示したものです。

日経平均と理論株価の推移(日次終値ベース)─2014.1.6~2015.10.23─

日経平均は9月29日に1万6930円で底を打ったあと急速に戻し、理論株価に接近していることが分かります。直近の10月23日には、理論株価の1万9175円に対して日経平均は1万8825円、かい離率はマイナス1.83%まで縮まりました。

かい離率の変動の特性を整理すると

下図は、このかい離率の過去の実績をもとに変動特性を整理し、足元の位置づけを具体的に捉えるものです。

かい離率の推移と変動平均(通常変動と変動限界)─2014.1.6~2015.10.23─

青線がかい離率を示し、中央の黒線はこの間のかい離率の平均値、平均値をはさんで上下にある緑色の線はかい離率の平均の変動幅(これを標準偏差と言います)、赤色の線は平均変動幅の2倍の位置をそれぞれ示します。

かい離率はおおむね平均の変動幅、緑色の線の範囲に収まっているので、これを通常の変動範囲とします。

一方、平均変動幅の2倍である赤色の線の範囲を超えることはほとんどなく、上側、下側に限らずこの範囲を超えると直後に反転しています。そこで、これを変動範囲の上限、下限とします。

最近の底値である9月30日には、かい離率がマイナス11%に達し下限のマイナス10%を超え、その直後に日経平均が反発、かい離率は急速に縮まっており、赤線の位置が限界であることを示しています。

Next: 当面は安定局面で静観か?かい離率で判断する株価の位置づけ


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変動の範囲を日経平均ベースに引き直す

下図はこの変動範囲を日経平均ベースに引き直して日経平均と共に示したものです。

日経平均と変動範囲 ─2014.1.6~2015.10.23─

日経平均を青線で示し、通常の変動範囲を緑色、変動の限界を赤色の線で示しています。通常の変動範囲の上側は2万69円、下側は1万8190円となっており、直近の日経平均は通常の変動範囲の中に収まっています。

下図は、上図を7月以降に期間を絞り拡大したものです。

日経平均と変動範囲:拡大グラフ ─2015.7.1~2015.10.23─

10月14日以降、日経平均は通常変動の範囲以内に入っていることが分かります。

株式相場は当面安定局面で静観か

下表は直近5日間について、日経平均、通常の変動範囲、変動の上限と下限、そしてかい離率をまとめた一覧表です。

日経平均と変動幅、乖離率の一覧表 ─2015.10.19~2015.10.23─

なお、変動範囲は理論株価をベースとしますので、理理論株価の変動に伴って変動します。今後の理論株価の動き、すなわち前回記事でご紹介した説明式にある日経平均ベースの予想EPSと米ドルレートの見通しを併せて検討するようにしましょう。

業績が今後上方修正される、あるいは米ドルが高く(円安)なる場合は理論株価は上昇することに留意してください。

現状では、こうした環境に急激な変化がなければ日経平均は通常の変動範囲に収まると見られますので、当面は静観の状況と言えそうです。いかがでしょうか。

筆者プロフィール:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

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投資の視点』(2015年10月27日号)より一部抜粋

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