トランプ大統領の「メキシコの壁」政策が進まずに揉めていますが、日本も無関係ではありません。外国人労働者があふれる日本でも雇用を守る施策は必要です。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
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雇用を奪い合う「イス取りゲーム」が激化。日本人はさらに貧乏に
日本も無関係ではない「メキシコの壁」の重要性
アメリカのトランプ大統領は、現地時間1月25日、ホワイトハウスで声明を発表。「メキシコの壁」の建設費を先送りし、とりあえず3週間、政府機関を再開する暫定予算案で、対立する民主党と合意しました。
トランプ大統領は、声明発表の際はすがすがしい表情でしたが、今回はにがにがしい思いで民主党に譲歩したのでしょう。閉鎖されていた政府機関は、暫定的に3週間、再開されることになりました。
トランプ大統領が「メキシコの壁」と言うと、荒唐無稽な話だと受け止められるでしょう。
しかし、これは極めて重要な話であり、「メキシコの壁」を作らないと、外国の低所得者が
どんどん流入する、つまり、これによって雇用がだぶつき、アメリカ国民の所得が上がらないことにつながるからです。
東京のコンビニは外国人の店員さんだらけ
例えば、日本のコンビニについて考えてみます。
東京ではすでに、日本人の店員よりも、外国人の店員さんの方が多い印象です。すべてを数えたわけではありませんが、あの店も外国人、この店も外国人がメインという感じで、都心部・住宅街を問わず、外国人の店員さんが少なくとも私のまわりでは激増しています。
店頭で一生懸命に働いている外国人は多いですから、そういう意味では、その人は悪い影響をもたらしているとは言えません。
しかし、これは明らかに、外国から「失業を輸入」しているわけです。
日本は海外から「失業を輸入」している
同じ人数の日本人をその国に雇用してもらわなければ、日本人の国内での雇用環境は悪くなるばかりです。外国での日本人の雇用創出とバーター(交換)であるという話は、聞いたことがありません。
つまり、低成長で雇用のパイが大きく増えていない先進国では、これは「失業の輸入」と同じことです。
イスの数は同じで、イスが増えていないわけですから、日本人との「イス取りゲーム」になります。
外国人に悪気はないとしても、本来なら、日本人の学生がアルバイト収入を得たり、または高齢者や主婦、失業してしまった日本人がそこに居て、収入を得ているはずなのです。
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日本企業によくある「アルバイト任せ」の営業は明らかに異常
仮にアルバイトが集まらない場合、コンビニ会社は正社員を増やして対応することになるでしょう。いまのように、ほとんどがアルバイトで業務をまわすのは、以前の日本と比較すると明らかに異常なのです。
正社員が一定数いて、その補助としてアルバイトがいる。そういう形が以前ならあたりまえだったのですが、それをほとんどアルバイトばかりでやろうとするので、目先は良くても、徐々に問題が生じてくるのです。
この問題というのは、日本の所得低下や貧困化が進んで内需が不振になるという、現在の日本で顕著な側面が1つ。
そして、もう1つは、サンマルクなどのように正社員の料理人をはずして、アルバイト中心で低コスト化をはかって成長した企業にも、内部崩壊という形で時間差で影響が出ているという側面です。
「イス取りゲーム」が明らかな、メトロ銀座線
さて、この「雇用のイス取りゲーム」は、ピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。
しかし、東京を走る地下鉄「メトロ銀座線」では、さながら現実です。銀座線は、シートが増えたり、本数が大幅に増えているということは、ありません。つまり、イスの数はほぼ一定です。
そこに外国人観光客がやってくると、これまで座れていた日本人は、その分、座れなくなります。これは本当のことで、いま銀座線はスーツケースを抱えた外国人がものすごく多いのです。場合によっては、座席を「占領」されています。
メトロのイス(座席)の話であれば、ちょっと立っていれば良いようなものです。しかし、こう考えたらどうでしょうか。
例えば、イスに座った人には給料が出る、立っている人には給料がでない。こういうルールなら、
どうでしょうか?立っている日本人は、給料が出なければ生活できません。
それと同じ現象が、日本社会の至るところでいま、現実化してきているわけです。
日本人の仕事がどんどんなくなっていく
日本の雇用が好景気で大幅に増えているとか(筆者注:現状ではあり得ませんが)、日本人がその分外国で多く採用(雇用)されているということがなければ、日本人はイスを取られ、貧困化するばかりです。
だいたい、考えてみればわかりますが、日本人が外国で優先的に雇用されることはありますでしょうか?そんな話はないですね。あたりまえですが、自国民の雇用対策に取り組みます。外国のコンビニで、日本人ばかりが採用されるとか、そんな話はないわけです。
外国に行ったけど、まともな仕事先がなかったとか、そんな話が多いのが現実です。その国では、それがあたりまえのことです。
Next: 「メキシコの壁」は効果的。日本も自国民の利益を考えるべき
日本も自国民の利益を考えるべき
もしも、ポルトガルのように一定の資産を購入した外国人には認めるとか、そういうやり方を
するのは景気対策としてうまい方法です。
しかし、日本の現状は、単に外国からの「失業の輸入」であり、日本人の雇用を悪化させ、所得不振・内需低迷によってデフレを深刻化させるばかりです。
ですから、トランプ大統領が言う「メキシコの壁」は、荒唐無稽なように見えても
実際は、自国民の雇用の安定・所得向上に効果的なのです。
特にこういう考え方は、低成長で「イス」が増えない日本でこそ重要な話です。
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『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2019年1月26日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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