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中国が失う「世界の工場」「世界一の消費地」という強み、その悪影響を受けるのは日本=近藤駿介

中国は、「世界の工場」と「世界一の消費地」という2つの強みで世界第2位の経済大国にのし上がってきた。しかし、米中貿易戦争によって「世界の工場」という強みを制限されたとたんに「世界一の消費地」としての強みも失いかけている。(『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』近藤駿介)

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プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。著書に、平成バブル崩壊のメカニズムを分析した『1989年12月29日、日経平均3万8915円』(河出書房新社)など。

米中貿易戦争の悪影響は、中国経済に依存している国に直撃する…

各国の政治的混乱が経済を狂わせる…

この2年間、政治的不透明要因の主役に君臨していたのは常にトランプ大統領だった。しかし、今週はトランプ大統領以外の脇役たちにスポットライトが当てられそうだ。

まずは15日にEU離脱法案の議会採決が行われる英国。不透明な情勢の中で唯一確からしいことは、メイ首相の示す離脱法案が議会で信任を得るのは難しいということくらいである。議会で信任が得られなかった場合、その先に待っているのが、合意なきEU離脱なのか、国民投票結果を否定する形でのEU残留か、結論の先送りかは定かではない。また、どの道に向かっても過去に経験がない道になるので視界が開けるという状況になりそうにない。

問題なのは、政治的混迷を迎えているのが英国だけではないこと。フランスでは依然として黄色いベスト運動が続いているし、ドイツもメルケル首相の退陣が決まり、ギリシャでは連立政権が崩壊することになった。こうした欧州の政治混乱を考えると、欧州に積極的に投資するという選択肢は考えにくい。

米国でも米中貿易交渉に加えメキシコ国境の壁構築問題で政府機関の一部閉鎖が続いており政治的混乱は高まって来ている。

注目はこうした政治的混乱が経済にどのような、どの程度の影響を及ぼすかである。

米国では景気のピークアウト、鈍化を示す経済指標が散見され始めているが、その一方でFRBが利上げ打ち止め姿勢に転じたことでバランスが保たれようとしている。FRBの姿勢が変化したことで、米国経済の鈍化はどの程度であるか、FRBの利上げ打ち止めでバランスを保てる程度のものなのかが次の注目になっている。

陰りが見え始めた中国経済

そうした中で、発表されたのが中国の貿易統計自動車販売台数

12月の中国の輸出入は輸出入ともに予想を下回るものだった。目を引いたのは輸出が前年同月比4%減だったのに対して輸入が前年同月比8%減と、輸出を上回る減速を見せたこと。さらに、2018年の自動車販売台数は前年比2.8%減と1990年代以降で初めて前年割れを記録した。これは、輸出の鈍化によって内需が低迷した可能性を強く感じさせるものである。

リーマン・ショック後、中国を中心とした新興国が世界経済を牽引するという「ニューノーマル」という考え方が広まったが、米中貿易戦争もありそれが夢物語でしかないことが明らかになった。「ニューノーマル」で世界経済を牽引すると考えられてきた中国は、米国が多額の貿易赤字を容認するという輝きを受けて初めて輝くことのできる月でしかなく、自ら輝ける太陽ではなかったということだ。

中国は、「世界の工場」と「世界一の消費地」という2つの強みで世界第2位の経済大国にのし上がってきた。しかし、米中貿易戦争によって「世界の工場」という強みを制限されたとたんに「世界一の消費地」としての強みも失いかけている。

Next: 中国経済の減速でダメージを受けるのは「日本」

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