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東洋ゴム、株価躍進の背景~「3年上昇率」トップ5銘柄の共通点とは?=小浜研二

長期投資を考えている人であれば、ある銘柄を何年か保有し続けたときに実際にどんな銘柄が高いリターンをあげているか気になることでしょう。そこで、2014年12月から3年間をさかのぼって、値上がり率上位の銘柄の特徴を分析してみました。(『株式投資図鑑の銘柄情報』小浜研二)

「値上がり率」と「会社の成長率」は必ずしも一致しない

【1位】東洋ゴム工業<5105> 値上がり率:1263%(13.6倍)

東洋ゴム工業<5105> 週足(SBI証券提供)

いきなり意外な銘柄が出てきました。現在、免震ゴムのデータ偽装で世間を騒がせている東洋ゴムが第1位です。値上がり率は13.6倍にもなります。

値上がり率上位と言うと、バリバリ伸び盛りの若い会社を想像すると思いますが、東洋ゴムの設立は1943年、株式上場は1949年と非常に伝統のある手堅い企業です。実は値上がり率会社の成長率必ずしも一致しないということが今回の調査で明らかになっています。

ここ数年間の業績を見ると、2009年に赤字を計上し、2011年にも赤字スレスレまで業績を落としています。2009年の業績悪化は円高やゴム価格の高騰、2011年は震災やタイ洪水の影響で供給が減少したことが要因となっています。

その後、北米を中心とする好調なタイヤ販売と円安効果が重なり、業績はぐんぐん回復しました。2014年には売上・利益ともに過去最高を記録しています。とはいえ、そこまで急成長しているわけでもないので、一時的な苦境の後業績を回復させた「リバイバル銘柄」に分類できるでしょう。

株価はアベノミクスに連動して上昇しています。アベノミクス=円安であり、PERも終始10倍前後と大きな変化は見られません。業績回復とともに株価も上昇したと言えるでしょう。

【2位】サンフロンティア不動産<8934> 値上がり率:1229%(13.2倍)

サンフロンティア不動産<8934> 週足(SBI証券提供)

サンフロンティア不動産は不動産再生を行う会社です。

最近でこそ好調な業績をあげていますが、リーマン・ショック後の2009年には170億円超に及ぶの巨額の最終赤字を計上しています。

不動産再生は、仕入れた物件が売れているうちはいいですが、売れなくなると収入がないばかりか、保有資産が目減りしてしまうので非常にリスクの高いビジネスです。

超ハイリスク・ハイリターン銘柄」と言えるでしょう。

ハイリスクを反映して、PERは1桁台で低迷推移しています。投資家もリスクを認識しているということでしょう。

【3位】ソースネクスト<4344> 値上がり率:986%(10.8倍)

ソースネクスト<4344> 週足(SBI証券提供)

「ウイルスセキュリティZERO」「いきなりPDF」などPCソフトを製作している会社です。最近はAndroidアプリの開発にも力を入れています。

実はこの会社、5年前には倒産寸前の状況に追い込まれています。有価証券報告書には「継続可能性の疑義」が記載されていました。これは単に業績が悪いだけでは書かれないものです。

その後、景気回復とスマホの波に乗り復活を遂げています。「死の淵から這い上がり銘柄」と言っていいでしょう。

PERは10~15倍程度と、決して高くはありませんが、不死鳥のような業績回復を遂げたことが株価上昇の要因となっています。

Next: 4位、5位は業績×PERの「ダブルアクセル」で急騰したあの銘柄!


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株価の上昇に業績の向上があるのはもちろんですが、さらに将来への期待からPERが同時に上昇することがあります。そのような場合、業績×PERの「ダブルアクセル」により株価が急騰するのです。

【4位】ネクスト<2120>  値上がり率:946%(10.5倍)

ネクスト<2120> 週足(SBI証券提供)

ネクストは不動産情報サイト「HOME’S」を運営する会社です。

1997年設立、2006年東証マザーズ上場、2010年東証1部変更と、インターネット企業らしく順調にステップアップしています。

2012年から2015年にかけての売上高は1.8倍、純利益は約3倍です。

ただ、業績の成長以上にPERも伸びています。2012年頃は15倍程度とさほど割高でもない水準ですが、今では50倍近くあります。それだけインターネット銘柄に対する期待は高いということでしょう。「夢を託す銘柄」と言えます。

【5位】クスリのアオキ<3398> 値上がり率:893%(9.9倍)

クスリのアオキ<3398> 週足(SBI証券提供)

クスリのアオキは言ってしまえば何の変哲もないドラッグストアです。

しかし、会社は確実に成長を続けています。2011年から2015年にかけて売上高は約2倍、純利益は約5倍に成長しています。その要因は純粋に拡大戦略によるものです。

業績に成長以上に伸びているのがPERです。2011年時点では1桁だったPERが2015年では30倍程度まで上昇しています。

PER急上昇の要因の1つに訪日外国人の急増があります。ドラッグストアは中国人観光客の「爆買い」の対象になっているので、クスリのアオキに限らず、他のドラッグストア銘柄のPERも上昇しています。「うまく波に乗った銘柄」と言えるでしょう。

(データ出典:株式ベーター値と確実度の一覧、株価値上がり率のランキング

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株式投資図鑑の銘柄情報』(2015年11月16日、18日、23日号)より一部抜粋、再構成
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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