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日本経済3つの選択。「2025年、消費税20%」で財政破綻は回避できるか?=田中徹郎

はたして日本は財政破綻するのか?しないのか?我が国に残された時間はどれくらいなのか?今回は、専門家の間でも意見が分かれるこの問題のポイントについて、『一緒に歩もう!小富豪への道』を配信するファイナンシャルプランナー・田中徹郎氏が、楽観論・悲観論を比較しながら解説します。

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
(株)銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

「消費税10%据え置きなら2025年までに財政破綻」の試算も

楽観論と悲観論

我が国の財政は果たして維持可能なのか…もう何年も前から言われてきたことです。この問いに対する答えは、いまのところ大きく2つに収れんしつつあるように思います。

1つ目は「当面は維持できる」といった考え方で、その根拠は以下2つです。

  1. 日本国債の保有者の90%以上は国内勢で、日本人が日本国債を買い続ける限り、我が国の財政は破綻しない
  2. 日本の消費税率は、先進国の中で突出して低い。消費税を欧米並みに上げるだけで、我が国財政は維持できる

2つ目の考えは「我が国の破綻は近づいている」という見方で、この考えを持つ人は逆に上記2つの根拠に対し、以下のように反論することが多いようです。

  1. 日本の貯蓄率は下がっている。このまま進めば日本の個人金融資産は減少に転じ、国債の購入を増やすことはできない
  2. 例えば向こう10年ほどで、我が国の消費税率を欧米並みの20%程度に上げるなど非現実的だ。10%への引き上げすらできるかどうかわからない、仮に20%まで上げるとすれば消費は落ち込み、税収全体でみれば逆効果

僕自身は6対4ぐらいで、後者の言い分に賛成です。

消費税はどこまで上がるか

僕は最近、伊藤隆敏さんの『日本財政「最後の選択」:健全化と成長の両立は成るか』という本を読みました。

過去随分とこの手の「日本財政破綻本」を読んできましたが、その大半は危機を煽り立てるだけで、この本のように数値によって、客観的なアプローチを試みるものではありませんでした。

この本では具体的に

の3つの数値から、我が国財政が破綻する年を特定しています。

伊藤さんの計算によりますと、我が国破綻のシナリオは概ね以下のようになるそうです。

  1. 消費税が10%で据え置かれた場合⇒2022~2025年に破綻する可能性大
  2. 2020年までに消費税が15%に上がった場合⇒2025~2030年に破綻する可能性アリ
  3. 2025年までに消費税が20%以上に上がった場合⇒ほぼ破綻は免れる

ただし上記試算は経済成長率1%程度と、中程度の成長率を想定したものだそうです。

Next: 3年で5%アップは可能なのか?日本財政の行く末を見極める3つのポイント


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日本財政の行く末を見極める3つのポイント

伊藤さんの試算が、どの程度に的を射たものかは解りませんが、少なくとも以下の点は心にとめておくべきではないかと思います。

  1. 我が国財政が維持できるか否かは、今後の消費税の上げ幅に大きく依存するであろうという点
  2. そして消費税率の引き上げのペースを遅らせると、それだけ破綻の可能性が高まるであろうという点
  3. 消費税を欧米並みの20%に上げなければ、破綻の可能性は高くなるであろうという点

ここで僕の考えは、最初に戻ってしまうわけです。つまり「そんな速度で消費税を上げて、日本の経済はもつのか」という疑問です。

もし伊藤さんの試算のように、2020年に15%まで引き上げるとすればどうでしょう。すでに2017年に10%は決まっていますが、さらにそこから3年で5%引き上げなくてはなりません。

そしてまたそこから1年で1%ずつ引き上げて、2025年に20%が伊藤さんの試算の前提です。

急な消費税の引き上げは個人消費を冷やし、かえって税収全体を減らしかねません。日本経済の体力を診断しながら、よほどうまく消費税を上げていかなくてはならいでしょう。

時の政府に、その見識と決断力があるか否か…おそらくそこが問題の核心ではないかと僕は思います。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2015年10月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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