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2万435円より上は売りの警戒領域~「理論株価」最新データ分析=日暮昭

2万円の大台回復が目前に迫った日経平均株価。11月に入って以降は理論株価を超えて堅調に推移していますが、このまま上昇すればそろそろ通常変動の上限(2万435円)が目に入ってきます。日経新聞社で証券分析サービス開発に従事、各種日経株価指数を担当した日暮昭氏の解説です。(『投資の視点』)

理論株価を超えてきた日経平均、最新データ分析(~11/20)

11月に入り、理論株価を超えて安定

日経平均は9月29日に底値の1万6930円を付けた時点で理論株価とのかい離率がマイナス11.9%に達しました。これは変動範囲の下限であるマイナス9.9%を下回り、いわゆる“臨戦態勢”の領域に入りましたが、その翌日にはこれまでの経験則に沿った形で相場は反発に転じ、臨戦態勢の状態から抜け出しました。

【理論株価の決定式】
日経平均の理論値 = -3630 + 74.66 * [予想EPS] + 101.52 * [米ドルレート]

※当式の基本的な考え方、具体的な求め方については2015年5月20日公開の当講座をご参照ください
※理論株価は上掲の式にあるように、規定する要因である業績予想と為替が変動するとそれに伴って変動し、変動範囲の上限・下限も併せて変動する点にご注意ください
※理論株価に関する過去のマネーボイス掲載記事

以下のグラフはともに日経平均と理論株価の推移を日次終値ベースで示したものです。上の図は2014年1月から直近の11月20日まで、日経平均が理論株価をはさんで上下に変動するほぼ2年間の動きを見たもの。下の図は今年の7月以降に期間を絞って短期の動きを拡大して見ています。

日経平均と理論株価の推移(日次終値ベース)―2014.1.6~2015.11.20―

日経平均と理論株価の推移(拡大版)―2015.7.1~2015.11.20―

拡大版のグラフで9月29日の落ち込みを見ると、いかにも8月下旬からの急落の決着をつけるために“きっちり底値を取りにいった”感が強いですね。

日経平均は11月に入ってからは理論株価を超えてきており、安定的に静観の状態にあります。

Next: 強めの回復相場だが、2万435円より上は「売りの警戒領域」


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強めの回復相場を客観評価すると…

さて、相場は強めの回復基調が続いた結果、日経平均は11月20日には1万9879円と2万円に接近、理論株価とのかい離率はプラス1.7%となりました。ここまでくると今度は通常変動の上限が目に入ってきます。

下のグラフはこうした相場判断を分かりやすく捉えるために日経平均と通常の変動範囲、相場反転の判断基準となる変動限界を併せて示したグラフです。

ここも上と同じく2014年1月から直近までと今年7月以降の拡大版を併せて載せています。

日経平均と変動範囲―2014.1.6~2015.11.20―


日経平均と変動範囲(拡大版)―2015.7.1~2015.11.20―

日経平均は紺色の線で示しています。

緑色の線は通常の変動範囲を示し、この間であれば日経平均は妥当な相場水準にあるということで、あえて売り買いに動くまでもないと評価できる領域です。

赤色の線は相場変動の限界を示します。上・下のどちらでもここから外れた場合は相場は経験的に反転する傾向が強く、すなわち売買の出動に備える臨戦態勢の領域となることが示されます。

そして緑色と赤色の線の間は相場の進み方次第で臨戦態勢に入る警戒領域と言えます。

グラフから、8月の半ばまで日経平均は緑色の通常変動の上側、警戒領域の上限に張り付いていたのが8月下旬に力尽きた形で下落、そのまま一気に9月29日の底値まで変動の下限である赤線を突き抜けました。

その後これまでの実経験と同様に反転、上昇に転じて通常の変動範囲に戻ったことが分かります。

2万435円より上は「売りの警戒領域」

現在の通常変動の上側は2万435円です。

日経平均はあと600円ほどで通常変動の上限に達することになり、これを超すと売りの警戒領域に足を踏み入れることになります。

足元、一時の派手な動きから相場の動きは落ち着いてきていますが、市場はこうした相場の位置づけを肌で感じているのかもしれません。

今後とも、予想収益の振れと為替の動向に留意しつつ、理論株価を相場判断の材料としてご利用いただければ幸いです。

筆者プロフィール:日暮昭
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

【関連】経験則が通用しない12月利上げ~市場の混乱はこうして引き起こされる

投資の視点』(2015年11月24日号)より一部抜粋

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