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【2月米雇用統計】ECBが利上げを来年以降に先送り、ユーロ売りドル買いで円高圧力に=ゆきママ

ドル円相場は非常に悩ましい値動きが続いています。さらに今日は雇用統計。果たしてど
うなるのか、現在の市場状況を踏まえながら、考えていきたいと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

想定レンジは1ドル=111.20~112.10円、今夜のトレード戦略は?

ECBの緩和政策導入でドル買いも円高圧力に

昨夜、ECB(欧州中央銀行)の理事会があり、来年以降に利上げを先送りすることと、TLTROと呼ばれる銀行向けの低金利融資を導入することを決定しました。これによってユーロが売られ、相対的にドルも買われました。

しかしながら、ドル円相場は反落。米国株の下落による円高は元より、ECBによる資金供給観測から債券が買われ、米国債も当然買われて価格が上昇し、米長期金利(10年債利回り)が低下して円に対してはドルが売られたことによります。

そして、今後のドル円相場については、エコノミストの見解も真っ二つに分かれています。

円高派、下落派の根拠としては、米国や欧州が緩和政策に進んでいく中で、金融政策の差がなくなってくるのではないかという指摘が多いです。

これは、米国や欧州が金融政策の正常化を進めていたことから、緩和政策を行う余地、選択の幅がある一方で、日銀はパンパンの異次元緩和を現在進行形で実施しており、これ以上、緩和策を打ち出すのは難しいという見方です。

逆に円安、ドル円上昇派は最近の堅調な株価、さらにFRBの引き締め慎重姿勢ということで、ゴルディロックス(適温相場)継続からの株高による円売り、強い米経済を背景にドル円は上方向と見ているようです。

個人的には、FOMCのハト派スタンスが明確なので、ドル安から世界的な緩和に向かう中で徐々に円高圧力もかかってくると考えています。

実際、昨夜のブレイナード理事の公演でも、米景気の下押しリスクを強く懸念し、バランスシートの縮小は年内で終了し、来年以降は利下げも辞さないと示唆していました。

このFRBのスタンスが変わるとすれば、やはり雇用指数の大幅な改善が続くことや、賃金上昇圧力によるインフレ改善期待がありますから、そういう意味で今夜の雇用統計も注目しておく必要があるでしょう。

Next: ピークアウトした雇用市場に対して、マーケットの期待は…



好結果が出れば素直に好感か?発射台は低めに

長い目で見れば円高・ドル安になると考えていますが、短期的には引き続き株価次第でしょう。

この株価を押し下げる大きな要因として米長期金利の上昇圧力がありますが、昨夜のECBイベントで米長期金利は押し下げられていますから、仮に雇用統計が好結果で金利が上昇したとしても、問題なく許容範囲でしょう。

金利が上昇しても素直に株高、そしてドルの買い戻しという流れは維持されやすいと考えられます。

先行指標は悪化も市場は楽観!大幅な修正で波乱も

それでは、いつものように雇用統計の先行指標を確認していきましょう。前回から比べると悪化が目立ちますが、市場は比較的楽観して見ているようで、下振れした時に強めの反応が出る可能性に警戒しておきたいところでしょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

オールレッド!前月から比べると、全体的にかなり悪化傾向にあります。これを見る限りでは、雇用市場のピークアウト感は明らかなんですけどね。

ただ、繰り返しになりますが、市場はまずまずの結果を想定し、平均時給の伸びも期待しているようです。

期待感がそこそこ高い分、この結果が裏切られる結果になると、強めの値動きが出る可能性もありますから、警戒はしておきましょう。

また、非農業部門雇用者数は2ヵ月続けて30万人を超える数字を記録していますので、前月、前々月と大幅な修正が出る可能性には注意しておきたいところでしょう。

どうしても前月比での比較ですから、速報のヘッドラインで堅調な数字が出ても、前月や前々月分が大幅に下方修正されていると、それで下がることもありますからね。

今回はいつも以上に怪しさがありますから、結果に飛びつかず慎重にトレードした方が良さそうです。

Next: 想定は1ドル=111.20~112.10円、今夜のトレード戦略は?



目先のレンジを抜けられるかどうかが焦点!想定レートは1ドル=111.20~112.10円

この想定レートを上下どちらかに抜けていくと、少し強めの動きが出そうですが、まずはレンジ想定で見ています。

ドル円日足チャート

下値のサポートは分かりやすく、111.40円近辺に200日移動平均線、111.20円に89日移動平均線、さらに節目の111.00円ラインには21日移動平均線があります。

これまでの上昇トレンドを踏まえれば、まずはこれらを背に買ってみるというのが基本戦略になるでしょう。早めなら89日移動平均線割れで損切りし、粘るにしても110.00円ラインを割れたら撤退したいところです。

上値に関しては、112.00円台での重さが明らかですが、その分、抜ければ一段と上値を伸ばしそうです。そうなれば買いポジションはホールド、どこまで上値を伸ばすのか見極めたいところでしょう。

雇用統計に関しては、堅調な数字が続いていますから、仮に今回多少弱かった程度なら、市場が極端に懸念する可能性は低いと考えられます。

大波乱というパターンになる可能性はいつもよりは高いとは思われますが、程よく押し下げられていますから、まずは押し目を狙ってトレードを組み立てていきたいところでしょう。

ただし、雇用統計の発表前に200日移動平均線、89日移動平均線を割り込んでいるようであれば、波乱による暴落を警戒し、軽くショートしておくという戦略も検討したいですね。この場合、予想並み、それ以上の好結果が出れば損切りです。

以前から書いている通り、こういった経済指標でトレンドが出るのは稀です。まずはレンジ内での値動きを想定しつつ、トレードしていきましょう。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年3月8日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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