平成27年に基礎控除が縮減してからの相続税課税に関するデータを見て、面白いことに気づきました。今回はそのデータから見えた内容についてご紹介します。(『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』奥田雅也)
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事業(医業)経営に関する生命保険・損害保険活用術に精通し、過去20数年間で保険提案した法人数は2,500社以上。現在は大阪を拠点として保険代理店経営・保険営業を行うかたわら、年間60回程度の講演や、業界紙・本などの執筆、コンサルティング業務を展開中。著書に『ここから始めるドクターマーケット入門』(新日本保険新聞社)『法人保険販売の基礎』(電子版・保険社)など。
基礎控除が縮減した後の相続税課税の実態
新日本保険新聞より、相続税課税のデータ
先日、新日本保険新聞の生保版を見ていると相続税課税に関する面白いデータの記事がありました。
まずはデータを拾っていきます。
- 基礎控除が縮減する前の相続税課税割合(死亡者数に対する相続税申告書の被相続人割合)は大体4%台であったが、基礎控除が縮減した平成27年度以降は8%台に跳ね上がった。
- 実数で言えば、死亡者数が年間約130万人に対して相続税申告書を提出した被相続人数は10万人後半から11万人前半。
- 被相続人一人当たりの税額は縮減される直前の平成26年度は2,473万円であったのに対して平成27年度以降は1,700万円~1,800万円に減少している。
- 特に相続税課税価格1億円以下の課税状況については、対象となる被相続人は4倍~5倍になっている。平成26年度は1万4,846人であったのに対し平成27年度は6万238人、平成28年度は6万2,926人に急増している。
- 相続財産種類別の占率を見ると、平成26年度のトップは土地で41.5%を占めていたが、平成29年度では36.5%に減少。
これに対して現預金が、平成26年度は26.6%だった占率が平成29年度には31.7%と伸びている。
掲載されていた統計データは以上です。
結構、興味深い内容ですね…。
やはり基礎控除が縮減した影響により、課税される裾野は確実に広くなっています。
そしてそれに伴い、税額も平成26年度は約1兆3,000億円から平成29年度には2兆185億円にまで伸びています。
今まで相続税に無縁だった層が課税対象となっている状況が良くわかりますね。
課税対象が土地持ち資産家だったのが金融資産を保有している層に広がっているのも分かります。
関東の1都3県ならびに関西の2府4県の都心部に近く地価が比較的高いエリアで戸建て住宅に住んでいて退職金等によりある程度の金融財産を持っている元会社員という方々が課税対象になっているイメージでしょうか…。
いずれにしても課税の裾野は、確実に広がっているということがデータで見てもはっきりと分かります。
Next: 相続税の支払いを抑えるために、やるべきこととは?
相続税対策の王道である非課税枠活用を行うべき
こう考えますと相続対策としての王道である相続税法12条の非課税枠活用は確実に行っておくべきですし、法人経営者であれば同時に死亡退職金の非課税枠活用も確実に行っておくべきですね。
なお、家庭裁判所の統計データで遺産分割協議に関する事件件数は平成26年と平成27年ではそれほど件数に変化はありません。
相続税課税と遺産分割協議はあまり関係がないことが分かります。
ちなみに遺産分割協議に関する統計データの特徴は遺産総額が5,000万円以下が75%を占めており、そのうち1,000万円以下が32%も占めているという事実です。
このデータを見て思うのは、遺産の大小にかかわらず、何らかの財産を残そう・渡そうと思えば揉める可能性は必ずあるということですね…。
ですから、課税価格を引き下げたり相続税納税額を減らす、相続税納税資金を準備すると言った対策よりも、まずは揉めない様にいかに円滑に遺産分割をするか?が相続対策において一番重要なことですね…。
データを見て改めてそんな事を思いました。
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※太字はMONEY VOICE編集部による
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