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ハト派過ぎて不安。悪性の景気鈍化懸念を前に、なぜFRBは「らしくない」対応を見せたのか=近藤駿介

FRBは年内の利上げ見通しを0回に引き下げ、バランスシート縮小を9月までに終えることを決めた。期待通りの結果と言えるが、市場の反応は真逆に動いている。(『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』近藤駿介)

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プロフィール:近藤駿介(こんどうしゅんすけ)
ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験。評論活動の傍ら国会議員政策顧問などを歴任。教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝える無料メルマガに加え、有料版『元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』を好評配信中。著書に、平成バブル崩壊のメカニズムを分析した『1989年12月29日、日経平均3万8915円』(河出書房新社)など。

この年度末相場は過去2年とは違う?景気減速を止める術はあるか

市場とFRBの間にすきま風

市場とFRBの間にすきま風が吹き始めたようだ。

20日・21日の両日に開催されたFOMCで、FRBは年内の利上げ見通しを0回に引き下げるとともに、バランスシート縮小を9月までに終えることを決めた。こうした決定は「漸進的利上げ」の年内見送りとバランスシート縮小年内終了を完全に織り込んでいた市場を裏切ることのないように配慮したFRBからの最大のギフトだったはずである。

しかし、金融市場の反応はFRBの期待とは真逆のものとなった。FOMC終了直後こそハト派過ぎるFRBに敬意を表する形でNY株式市場は200ドルを上回る上昇を見せたが、翌日の金曜日にはNYダウは460ドルの大幅下落を記録し、約2週間分の上昇幅を吐き出してしまった。

FRBが目一杯ハト派寄りの姿勢を見せたのは、「漸進的利上げ」見送りとバランスシート縮小年内完了を完全に織り込み、年内の利上げ確率0%、FRBの次の一手は利上げでなく利下げであるという見通しを抱いていたからである。将来の金利見通しの引き下げとバランスシート縮小終了時期を前倒しするという市場予想よりハト派の姿勢を表明したのは、予想通りの政策では市場に失望感を与えかねないという恐れを抱いていたからだろう。

FRBが送った予想以上のハト派のギフトを市場は歓迎しなかった。それは市場の抱く懸念が、利上げが景気に悪影響を及ぼすというものから、景気鈍化のレベルがハト派の金融政策で乗り切れる程度のものなのか、というものに変わっているからである。

予想以上のハト派姿勢が不安を煽った

これまで市場は景気が鈍化傾向に入った可能性はあるが、それはハト派的な金融政策によって支えられ、景気状況と金融政策とのバランスは保たれるはずだと考えてきた。

こうしたなかでFRBが市場の予想を上回るハト派姿勢、市場に優しい姿勢をみせたことが、市場の懸念を増幅させるという皮肉な結果になった。それは、FRBは市場が予想する以上に景気は減速しているという認識と裏付けとなるデータを持っているのではないかという懸念を抱かせたからである。

それは同時に、金融政策が景気の後追いになっているという懸念を生み出すものでもある。これまでFRBはイエレン議長の時代から「Behind the curve(金融政策が後手に回る)」のリスクに強い警戒感を示してきた。それは、必要以上に長く金融緩和政策を続けることで資産バブルを醸成し、それを抑え込むために短期間に利上げを強いられ、その急激な利上げによって実体経済を急速に冷え込ませてしまうというものだった。

しかし、市場が期待以上にハト派姿勢を見せたFRBから感じたリスクは、既に米国景気は鈍化局面に入っていて、それを感じたFRBがより積極的な緩和姿勢を見せ始めている、つまり、景気鈍化を追いかける形で金融緩和に追い込まれるという、これまでとは真逆の「Behind the curve」のリスクである。

こうした懸念を反映し、先週末時点でのCME Fed Watchで年内に利下げが行われる確率は約58%と、1週間前の約30%から28%も上昇してきている。

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