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日経平均は理論株価2万3,542円へ。投資家心理の安定を背景にファンダメンタルズに収束(4/8)=日暮昭

2018年後半の荒っぽい変動から、今年に入って株式相場は落ち着きを取り戻してきています。このままリスクオンが続けば、日経平均は理論株価に向かうでしょう。

※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

市場リスクが通常領域へ、相場はファンダメンタルズへ

落ち着きを取り戻す株式相場

株式相場は2018年の荒っぽい変動から2019年に入り落ち着きを取り戻しつつあります。

下図は日経平均とファンダメンタルズに対応する日経平均の水準を示す理論株価の推移、および日経平均の通常の変動範囲の上側と下側を2018年初から直近の2019年4月5日まで日次ベースで示したグラフです。

<日経平均と理論株価および通常変動の上側と下側の推移(2018.1.4~2019.4.5)>

紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側と下側を示し、各指標名の枠内は4月5日の値です。

日経平均は2万1,807円、理論株価は2万3,542円と日経平均はファンダメンタルズの水準までは大分差がありますが、通常変動の下側である2万2,108円まではあと200円程となっています。2018年12月には通常変動の下側を大きく割り込んで市場は完全なリスクオフの状態、つまり投資家は極端なリスク回避に走りましたがここにきて正当な相場評価に戻しつつあると言えそうです。

背景に投資家心理の安定化

こうした市場のリスクの状況を数値で明確に捉えるのが「市場リスク基準指数」です。この指標は市場リスクが高くも低くもないちょうど中立状態にある場合を50点とし、これを挟んでリスクの高低を10点単位の点数で評価します。下のグラフは上図と同期間について示した「市場リスク基準指数」の動きです。

<市場リスク基準指数の推移(2018.1.4~2019.4.5)>

紺色の線が「市場リスク基準指数」(以下リスク指数)です。中央の黒線が中立の50点、これを挟んで上下にある60点と40点の緑線が市場リスクの通常の変動範囲を示します。この範囲にあれば市場リスクに変調はなく敢えて気に掛ける必要はない範囲となります。

そして70点と30点の黄色線がリスクオフあるいはリスクオンの境界を示し、この境界を上側に超えるとリスクオフ、下側に超えるとリスクオンになります。この領域では投資家のリスク回避あるいはリスク選好の度合いが過剰になっており相場はファンダメンタルズでは説明できない不安定な状況となります。

なお、市場リスクが80点あるいは20点を超える場合はそれぞれ“極端なリスクオフ”、“極端なリスクオン”と区分けしています。また、通常変動とリスクオン、リスクオフの間は予備領域としています。

Next: 日経平均は、実際このまま理論株価へ向かっていくのか?



日経平均は理論株価に向かうか

図から、2018年12月には市場リスクは86.8点と“極端なリスクオフ”の領域にまで進みましたが直近の4月5日は62.5点と通常変動の境界である60点まであと一息の地点にきています。

これは堅調な業績と安定的に推移する為替相場によるファンダメンタルズの安定を背景として投資家心理の安心感が高まっていることを示しています。

ただし、ファンダメンタルズの主要な要因である業績は5月までは今期(2020年3月期)の予想は折り込まれず、今後、米中間の貿易戦争の行方、英国のEU離脱問題の成り行きなどによって大きく変動する可能性があります。

こうした不確定要因を抱えてはいますが、投資家心理の安定が定着すれば相場はファンダメンタルズに近付く、すなわち日経平均は理論株価に向かって行くことが考えられます。ちなみに足元の理論株価は2万3,542円です。

(※ご注意:投資判断はご自身で行ってくださるようお願いいたします。当講座は投資判断力を強化することを目的とした講座で投資推奨をするものではありません。当講座を基に行った投資の結果について筆者及びインテリジェント・インフォメーション・サービスは責任を負いません)

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投資の視点』(2018年4月8日号)より一部抜粋

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