2018年後半の荒っぽい変動から、今年に入って株式相場は落ち着きを取り戻してきています。このままリスクオンが続けば、日経平均は理論株価に向かうでしょう。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
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日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
市場リスクが通常領域へ、相場はファンダメンタルズへ
落ち着きを取り戻す株式相場
株式相場は2018年の荒っぽい変動から2019年に入り落ち着きを取り戻しつつあります。
下図は日経平均とファンダメンタルズに対応する日経平均の水準を示す理論株価の推移、および日経平均の通常の変動範囲の上側と下側を2018年初から直近の2019年4月5日まで日次ベースで示したグラフです。
<日経平均と理論株価および通常変動の上側と下側の推移(2018.1.4~2019.4.5)>
紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側と下側を示し、各指標名の枠内は4月5日の値です。
日経平均は2万1,807円、理論株価は2万3,542円と日経平均はファンダメンタルズの水準までは大分差がありますが、通常変動の下側である2万2,108円まではあと200円程となっています。2018年12月には通常変動の下側を大きく割り込んで市場は完全なリスクオフの状態、つまり投資家は極端なリスク回避に走りましたがここにきて正当な相場評価に戻しつつあると言えそうです。
背景に投資家心理の安定化
こうした市場のリスクの状況を数値で明確に捉えるのが「市場リスク基準指数」です。この指標は市場リスクが高くも低くもないちょうど中立状態にある場合を50点とし、これを挟んでリスクの高低を10点単位の点数で評価します。下のグラフは上図と同期間について示した「市場リスク基準指数」の動きです。
<市場リスク基準指数の推移(2018.1.4~2019.4.5)>
紺色の線が「市場リスク基準指数」(以下リスク指数)です。中央の黒線が中立の50点、これを挟んで上下にある60点と40点の緑線が市場リスクの通常の変動範囲を示します。この範囲にあれば市場リスクに変調はなく敢えて気に掛ける必要はない範囲となります。
そして70点と30点の黄色線がリスクオフあるいはリスクオンの境界を示し、この境界を上側に超えるとリスクオフ、下側に超えるとリスクオンになります。この領域では投資家のリスク回避あるいはリスク選好の度合いが過剰になっており相場はファンダメンタルズでは説明できない不安定な状況となります。
なお、市場リスクが80点あるいは20点を超える場合はそれぞれ“極端なリスクオフ”、“極端なリスクオン”と区分けしています。また、通常変動とリスクオン、リスクオフの間は予備領域としています。
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