5月の初旬から中旬にかけて行われる米中通商協議は、マーケットの期待を大きく裏切ることになりそうです。これ以降、米株市場は大きな調整に入るでしょう。(『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』藤井まり子)
※本記事は有料メルマガ『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2019年4月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
米株市場に近づく調整の影、日本市場はその時どうなる?
インフレを警戒して利上げをやりすぎた疑い
トランプ減税が行われたので、2018年のアメリカは過熱気味になり、インフレが巻き起こりそうになりました。2018年のパウエルFRBは、インフレを警戒するあまり、利上げをやり過ぎた疑いがあります。
パウエルFRBが「0.50%の利下げ」を行わない限り、今後ともアメリカ経済は減速してゆくことでしょう。
加えて、5月初旬から中旬にかけて、米中通商協議が合意されそうです。この合意内容は、マーケット期待を大きく裏切るものになることでしょう。
イールドカーブがいびつになって、極限までフラット化しています。すなわち、近い将来のアメリカ経済の「さらなる減速」を予測しています。
長期金利も2.50%台にまで低下しました。これは低下のし過ぎです。一部のマーケット関係者は「ゴルディロックスの再来」と楽観して、マーケットが溶け上がっていますが、長くは続きません。調整は近いでしょう。
ただし、「逆イールド」が3か月以上継続して発生したわけではないので、パウエルFRBが利下げへと動きさえすれば景気後退も起きませんし、30%以上の暴落も回避できるでしょう。
震源地はアメリカFRBと米中貿易協議
消費増税先送りの「観測記事」が出たので、日本株式市場の下落幅は小さくなるだろう。最も大きく下落するのは、アメリカ株式市場だろう。
2018年で学習したように、「溶け上がった(メルトアップ)」の後のグローバル株式市場では、「溶け下がり(メルトダウン)」が待っています。では、どこまで「溶け上がる(メルトアップする)」のか?
兼ねてから繰り返しお伝えしておりますように、S&P500は昨年秋に記録した史上最高値:2,940ポイントを上回ることはあるかもしれませんが、これを大きく超えて上回ることは無いでしょう。これくらいしか分かりません。
5月1日のFOMCでは、パウエルFRBはマーケット期待には応えられないでしょう。5月初旬から中旬にかけて、米中通商協議での合意は、マーケット期待を大きく裏切るものになるでしょう。
グローバル株式市場での大幅調整は近いでしょう。「12月の大虐殺」を上回るものになると予測されます。30%以上の暴落は起きないでしょう。
安倍自民党政権が「消費増増税先送りの解散総選挙」に打って出る可能性が大きくなっています。昨日4月18日から観測記事が広く流されています。
プラチナウィーク前の日本株式市場は上がることはあっても、大きく下がる可能性は低いでしょう。プラチナウィーク中に海外株式市場が荒れ始めても、この「観測記事」は「出遅れ気味の日本株式市場」への影響をかなり減らせます。
実際の「消費増税先送りと解散総選挙」の発表は5月20日以降か、あるいは、7月1日以降。
春から夏にかけての「大幅下落」の「震源地」は、アメリカ経済でもなく、明確に「アメリカFRB」と「米中貿易協議での合意」です。アメリカ株が最も大きく下落することでしょう。
「12月の大虐殺」でもそうでしたが、VWO(新興国株)の下落はアメリカ株の下落ほどではないだろう。
TOPIXも既に「観測記事」が流れ始めたので、アメリカ株よりも下落幅が小さくなるでしょう。
今はキャッシュポジションを厚めにしてゆこう。
夏から秋にかけて「新しい株式ブーム」が始まる可能性が高い。「新しい株式ブーム」は、ITバブル真っ青の「大型バブル」へと成長する可能性もあります。
この夏から秋にかけて、ビックチャンスが訪れることでしょう!
Next: 夏から秋にかけてのバブルの予感…その前に日米の株価はどう動くのか?
溶け上がる内外の株式市場では、調整は近い!
夏から秋にかけて「新しい大型バブル」が生成する!内外の株式市場が「溶け上がって(メルトアップ)」しています。
2018年で学習したように、「溶け上がった(メルトアップ)」の後は「溶け下がり(メルトダウン)」が待っています。
では、どこまで「溶け上がる(メルトアップする)」のでしょうか?
兼ねてから繰り返しお伝えしておりますように、S&P500は昨年秋に記録した史上最高値:2,940ポイントを上回ることはあるかもしれませんが、これを大きく超えて上回ることは無いでしょう。実際に、この程度の「ざっくり感」しか予測できません。
テクニカル的にも、アメリカ株式市場は「三尊天井」を形成しそうです。
5月初旬から中旬にかけて、米中通商協議はとりあえずの合意に至るでしょう、トランプ大統領はその時は自国民に向けて「勝利宣言」を行うでしょう。
しかしながら、その合意の中身はマーケット期待を裏切るものになるでしょう。
米中貿易協議では、トランプ政権は、目先のアメリカ株の大幅下落には目をつぶってでも、「長期的なアメリカの国益(知財や安全保障)を守る」スタンスも採るだろう。
米中通商協議の合意の行方について、マーケットはトランプを小馬鹿にして「株式市場に優しい結果」を予測していますが、それは楽観のし過ぎです。近いうちにこういった楽観は大きな失望へと転じることでしょう。
たいていのシンクタンクの予測は、「米中通商協議で合意形成されるので、アメリカ経済およびアメリカ企業業績は年後半からV字回復」といったシナリオに沿っていることに、私たちは注意すべきです。
消費税先送りの解散総選挙に売って出る可能性
安倍自民党政権が「消費増増税先送り」の解散総選挙に打って出る可能性が五分五分よりもずっと大きくなっています。
貞子ブログでも記しましたが、4月18日から「消費増税先送りと解散総選挙」の観測記事が広く流されています。
4月21日の衆院大阪12区補欠選挙では、勢いに乗って、消費税反対の維新が勝利しそうです。
21日に維新が勝てば、安倍自民党政権も遅かれ早かれ「消費税増税先送りと解散総選挙」へと打って出ざるを得なくなるとの、観測記事が今から流されています。
ただし、あくまで「4月21日の補欠選挙で維新が勝てば」の仮定です。
4月21日の衆院大阪12区補欠選挙で維新が勝てば、プラチナウィークが始まる直前までは、日本株式市場は上昇気流に乗ることでしょう。プラチナウィーク前の日本株式市場は、上がることはあっても大きく下がる可能性は低いでしょう。
プラチナウィーク前の「観測記事」は、プラチナウィーク中の「天皇退位と新天皇即位」の「祭典」への「不敬」には当たりません。
プラチナウィーク中に海外株式市場が荒れ始めても、「観測記事」は日本株式市場への影響は減らすことはできます。安倍自民党政権もよく考えたものです。
実際の「消費増税先送りと解散総選挙」の発表は、5月20日(=「日本の第一四半期のGDP成長率」が発表される!)以降か、あるいは、7月1日(=日銀短観が発表される!)以降のようです。
これで、次の「グローバル規模での大幅調整」からは、「日本株が最も大きく売り崩される」という可能性は低くなりました。
春から夏にかけての「大幅下落」の「震源地」は、アメリカ経済でもなく、明確に「アメリカFRB」と「米中通商協議での合意」です。ですから、アメリカ株が最も大きく下落することでしょう。
「12月の大虐殺」でもそうでしたが、VWO(新興国株)の下落はアメリカ株の下落ほどではないだろう。TOPIXも既に「消費増税先送り」の観測記事が流れ始めているので、アメリカ株よりも下落幅が小さくなる。
各自、基本に戻って、「30%弱くらいの一時的な評価損」に耐えられる範囲まで、ポジション圧縮してゆこう。今はキャッシュポジションを厚めにしてゆこう。
Next: 夏から秋にかけて始まるバブルとは、どんなものなのか?
アメリカの株式専門家の多くが
夏から秋にかけて「新しい株式ブーム」が始まる可能性が高いので、決してゼロポジションにはしないように。(新しい株式ブームに乗り遅れたら目も当てられません)
春から夏にかけて「株式ブーム」は一旦は終わるものの、夏から秋にかけてに再び「新しい株式ブーム」が始まることでしょう。この「新しい株式ブーム」は、ITバブル真っ青の「大型バブル」へと成長する可能性もあります。
さて、アメリカ国内でこれほど多くの専門家が警戒して待ち構えている「大幅調整」というのも、とても珍しいです。
ガンドラックしかり、ウィークしかり、シーゲル博士しかり、シラー博士然り、エラリアン然り…。多くに投資家たちがキャッシュポジションを厚くして「次の大幅調整」を待ち受けているわけです!
やはり、アメリカのプロフェッショナルたちは、みんな、トランプほど赤裸々には口には出さないけど、パウエルFRB議長に「0.50%の利下げ」を強く望んでいるのだろう。
みんなして、今度こそ「大型バブルの到来」を切望しているのだろう。
「今回のアメリカの株式ブーム」に乗り遅れていた人は、この夏から秋にかけて、ビックチャンスが訪れることでしょう!
今現在のアメリカ株式市場は、「ITバブル前夜の1998年夏から秋にかけてのロシア通貨危機時の時」の状態にかなり近い。(利下げの原因は違うけど…)
FRBはしょっちゅう間違えている!
この秋、2020年に向けて「大型バブル」が発生するかもしれない。アメリカFRBには「金融緩和」のDNAが脈々と流れている。
「FRBは間違えてもよいのか?」という質問がありました。ことパウエル議長に限らず、アメリカの歴代FRBは、けっこう頻繁に間違えますし、間違えてきました。
一時は、「アメリカ経済を繁栄へと導いた神」とまで崇め(あがめ)られたグリーンスパンこそは、しょっちゅう間違えていました。
彼は、90年代前半は金融の引き締めをし過ぎた結果、94年から中南米危機を招いています。中南米危機はその後97年にはアジア通貨危機へと飛び火、このアジア通貨危機は最後の98年にはロシア通貨危機にまで飛び火して、最後はアメリカ本土を襲います。
(当時は、まだ「のどかな時代」で、新興国通貨危機が「弱小の新興国」から「大国の新興国」へ伝播するまで、およそ3年~4年の年月が必要でした。今現在はアルゼンチンやベネズゥエラの弱小国がおかしくなってから大国のトルコや中国に飛び火するのに1年もかからなくなっています)
幾度もお伝えしておりますように、グリーンスパンは、「ロシア通貨危によるLTCM破たん」が引き金になって、98年9月から12月にかけて政策金利を引き下げます。計3回、0.75%もの引き下げです。
この引き下げは下げ過ぎだったので、その後「巨大ITバブル」を形成します。
この「巨大ITバブル」崩壊後、やはりグリーンスパンは低金利を確信犯的に長く維持して、その後、サブプライムバブルを形成させます。
グリーンスパンの後継者であるバーナンキは、サブプライムバブルが起きているのに気が付くのが遅れて、利上げが後手後手に回っています。
かくして、歴代のFRBもしょっちゅう間違えていました。
そして、アメリカ中央銀行には、グリーンスパン以来、なにかあったらすぐに「金融を緩和気味にする」DNAが脈々と流れています。
これは、1990年代後半から、アメリカでも物価が上がりにくくなったのが原因です。
【要注意!】なお、資産形成および投資は、必ず「自己責任」でお願いします。この記事は藤井まり子の個人的見解を述べたもので、当メルマガ及び記事を読むことで何らかの経済的及び精神的被害を被ったとしても、当方は一切責任を負いません。
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- メルトアップの後はメルトダウン!~震源地は「FRB」と「米中通商協議」!!!(4/19)
- 「最後の一刷毛」が始まった♪(その3)~「大幅下落」の責任を一身に背負わされそうなパウエルFRB(4/16)
- 株式ブームが終わったら、即座に新しい「大型バブル」が生まれるだろう!♪~5月のマーケットは荒れ模様!?~(4/12)
- 「最後の一刷毛」が始まった!?♪(その2)(4/9)
- 「頭と尻尾(しっぽ)はくれてやれ!!!」(4/8)
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image by: Drop of Light / Shutterstock.com
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