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10日から、中国製品に課す関税を25%に引き上げ表明。来週の市場への影響は?(5/10)=久保田博幸

米中通商交渉で中国の協議の遅れに対するトランプ大統領のツイートに始まり、中国への追加関税発動に終わった今週。この影響は来週どうなってくるのでしょうか。(『牛熊ウイークリー』久保田博幸)

※本記事は有料メルマガ『牛熊ウイークリー』2019年5月10日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

債券市場は上値の重い状態が継続か

今週の動き

長期国債先物 日足(SBI証券提供)

日本での10連休の間の欧米市場は途中までは大きな動きはなかったものの、連休最終日となった6日に動きが出た。米国のトランプ大統領がツイッターで、中国の協議は遅すぎるとして、2,000億ドル分の中国製品に課す関税を10日から10%から25%に引き上げると表明。

これを受けて、米中通商交渉が決裂するとの警戒感から、金融市場ではリスク回避の動きを強めた。連休明け7日の東京株式市場は300円を超す下げとなり、円高も進行。債券先物はリスク回避の動きを強め、152円90銭まで上昇したがそこが高値となった。翌日の10年債入札を控えていることもあったが、高値警戒もあって上値が重く、債券先物の引けは3銭高の152円76銭。

8日の10年国債の入札はまずまず無難な結果となった。ドル円が110円を割り込み、日経平均は一時400円を超す下げとなったが、債券先物の上値は重く、引けは1銭高の152円77銭。

トランプ大統領が中国から劉鶴副首相らが取引成立のために訪米するとツイート。これを受けて9日にワシントンで始まる米中閣僚級協議の進展期待が広がり、8日の米債は下落。9日の債券先物は引き続き上値の重い状態となり、引けは1銭安の152円76銭。

10日に米政府は中国への追加関税を発動し、この日の日経平均はマイナスに転じ、ドル円も再度下落したが、債券先物の上値は重く、引けは1銭高の152円77銭。

Next: 来週の債券市場の展望は?



来週の予想

米政府は日本時間10日の午後1時01分に、中国からの2,000億ドル相当の輸入品に対する関税を10%から25%に引き上げる追加関税を発動した。ただし、協議は10日も続けられることになり、さらに関税引き上げも10日からの実施ではなく本日出荷分からの商品が対象となることから、時間稼ぎも可能との見方もある。しかし、協議がまとまるのかどうかは不透明であるのも事実。

しかし、市場はある程度、関税の引き上げの可能性は織り込み済みか。今後はイラン情勢など中東のリスクにも目を向ける必要もありそうである。

大型連休後の債券市場は米中の通商交渉の行方も見てみたいと様子見気分を強めるなか、債券先物は上値の重い展開が続いた。8日の10年国債の入札は、まずまず無難な結果となったものの、マイナス利回りの国債への需要は限られている。国際情勢も不安定化することも予想され海外投資家の動向も読みづらい。

日銀の国債買入は続いているものの、実質的な国債買入の増加額は、発行額の減少もあって抑えられている。

マイナスの利回り下で、積極的には日本国債は買いづらく、超長期ゾーンについても利回りの低下には限界もあろう。14日に30年国債、16日には5年国債の入札も予定されており、こちらの動向を見ながら、当面の債券市場は上値の重い状態が続くと予想される。

長期金利の予想レンジ -0.060~0.000%

<主な予定>

5月13日 (月)
4月外貨準備高
3月景気先行指数

5月14日(火)
30年利付国債入札
3月経常収支・貿易収支
4月景気ウオッチャー調査
米4月輸入物価指数

5月15日(水)
4月マネーストック(4月)
MBA住宅ローン申請指数
米4月小売売上高
5月ニューヨーク連銀製造業景気指数
米4月鉱工業生産・設備稼働率
5月NAHB住宅市場指数
米3月企業在庫
3月対米証券投資

5月16日(木)
5年利付国債入札
国庫短期証券(1年物)入札
4月の企業物価指数
米4月住宅着工件数
米4月建設許可件数
米新規失業保険申請件数
5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数

5月17日(金)
国庫短期証券(3か月物)入札
3月第三次産業活動指数
米4月景気先行指標総合指数
5月ミシガン大学消費者態度指数速報値

image by: a katz / Shutterstock.com


※本記事は有料メルマガ『牛熊ウイークリー』2019年5月10日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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牛熊ウイークリー』(2019年5月10日号)より一部抜粋
※見出し、太字はMONEY VOICE編集部による

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