ファーウェイ排除を巡って、韓国は米中両国に選択を迫られている。しかし、どちらを選んでも韓国に見返りはなく、選ばないでいると事態は悪化するのみだ。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2019年6月16日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
韓国に見返りナシ。米中はそれぞれ一方的に要求を突きつけてくる
ファーウェイが「踏み絵」
韓国は今、米中貿易戦争の再開によって一気に苦境に立たされている。米中は今後、両陣営の仲間集めをしていくと思われるが、いったい、韓国はどちら側に付くのだろうか。
ファーウェイ排除が完全な踏み絵となっているわけだが、いまだに答えは出ていない。韓国企業に丸投げ状態である。
文在寅大統領は9日から北欧へ訪問しており、韓国にはいなかった。その間だけでも、米中はどちらも動いている。
両国の主張は正反対で、中国はこれからもファーウェイ製の機器を使い、半導体などのスマホの製造に使う製品を輸出しろと迫り、逆に米国は、ファーウェイ排除を迫っている。
米国「ファーウェイを使うなら重要情報は出さない」
例えば、米国防省は13日「韓国が第5世代(5G)ネットワークにファーウェイの通信装備を使用する場合、敏感な情報を露出しない」と明らかにしている。
通信装備購買を中断しないと今後、韓国には重要な情報は提供されない。つまり、情報提供の見直しに言及した。
その敏感な情報がどこまでかはわからないが、おそらく北朝鮮を監視している衛星などの軍事情報もそれに含まれるだろう。
これは韓国政府が以前に述べていた「(ファーウェイ装備を使用しても)韓米間の軍事安全保障分野に及ぼす影響は全くない」と述べていたこととはまったく事情が違う。
韓国政府と米国政府の見解は明らかに異なっている。
中国「5G関連企業に制限をかけないことを高く評価する」
米国が動けば、当然、中国も動く。
中国政府はサムスンやSKハイニックスなど韓国主要企業と会って、米国政府の要求に応じないよう要求した。
12日には邱国洪駐韓中国大使が、国会を訪ねて尹委員長と非公開面談をしたとき、「韓国政府が5G移動通信関連企業に制限を設けていないことを高く評価する」と述べている。
このように米中がどちらの主張を韓国に押しつけて,まさに米中からモテモテである。
しかし、韓国は経済では中国依存、安全保障では米国に依存しているので、どちらを選ぶなんてことは最初からできない。
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見返りはゼロ?米中はそれぞれ一方的に要求を突きつけてくる
文在寅政権は日本の徴用工問題などもそうだが、解決できそうにない問題はまったく放置する傾向がある。検討中とか、分析中とかでごまかすのだ。
しかし、いつまでも待ってくれる国などない。
韓国のTHAAD配備でもそうだが、いまだに中国は韓国と友好的に接しようとはしない。だから、ファーウェイを排除しなくても、中国から何か関税を安くしてくれるとかそういうのはない。あくまでも「同一条件で輸出を続けろ」である。足下を見るなど許さないと。
ならば、米国はどうなのか。ファーウェイ排除なんて同盟国として当たり前。もちろん、それによる見返りなど用意していない。
少なくとも両者が韓国に何か美味しい飴を用意しているというニュースを見たことはない。
両国が韓国のために用意したのは「鞭」のみ
これは仮の話になるが、韓国は経済危機でドルが枯渇する恐れがあるので、米国との通貨スワップ協定を望んでいる。
だから、「ファーウェイ製品を排除したら米韓通貨スワップ協定を結んでくれ」と迫ることはできるはずだ。
しかし、米国は「ノー」を突きつけるだろう。つまり米国は、韓国が裏切ったとしてもそこまで問題視してないことになる。
米国は、アメをあげて無理に自分の陣営に引き込むこともないと考えているわけだ。これは中国も同様である。
どっちを選んでも地獄、選ばなくても地獄
韓国がどちらに付こうが、両国にとって韓国の扱いはさほど変わらない、さらに選ばないままでいると事態は悪化するのみだ。
最初はアメとムチかと思っていたら、どちらも用意したのはムチだけだったという。これは長年の蝙蝠外交で米中からの信用をことごとく失っているためだろう。
モテモテの韓国だが、真相はどちらを選んでも地獄が待っているだけということだ。
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『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2019年6月16日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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