またしても日本の仮想通貨取引所がハッキングされ、35億円あまりが強奪された。今度はビットポイントジャパンだ。なぜ過去の経験が活かされないのだろうか。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年7月13日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
どうして過去の経験を活かせない?国内業者は使わない方が安全か
日本の仮想通貨取引所は危険すぎる
7月12日、またしても日本の仮想通貨(暗号資産)取引所がハッキングされ、35億円あまりの仮想通貨がまんまと奪われる事態が発生しました。
強奪されたのは、今度はビットポイントジャパン。案の定、同社が管理しているホットウォレットがハッキングされ、顧客の預かり資産25億と自社資産10億分が盗まれたということです。
仮想通貨といえばFXクラスタから見れば、まさに隣の芝生ともいうべきマーケットであるわけですが、とにかく国内仮想通貨取引所に保有通貨を保管するのは、今すぐにやめるべき状況に陥っています。
コインチェック、Zaifに続いて3回目
まぁご愁傷様としか言いようはないわけですが、このホットウォレットと呼ばれるネット接続で出し入れができるお財布は、もうハッキングされたのが国内でもマウントゴックスの一件以降、金融庁が仮想通貨取引所の業務に深く関わりだしてからも、コインチェック、Zaifに次いでビットポイントということで、立て続けに3回起きているわけです。
いい加減、何か違うセキュリティの方法を考えるべきではないかと思うのですが、現時点では詳細不明なるも、またしても同じ脆弱性のあるポイントを突かれる形となってしまい、ごっそり仮想通貨を盗まれる事態に陥っています。
Next: どうして過去の経験を活かせない?世界的に見てもレベルが低すぎる
どうして過去の経験が活かせない?
今年の5月末、ほとんど予算委員会など開かない開店休業の今国会で珍しく資金決済法と金融商品取引法の改正が成立し、仮想通貨をコールドウォレットにて管理することが正式に法制化されて業者の義務となっています。
この法律では2020年6月までに各業者で実施されることが必須の要件となっているわけですが、法律は通っても、結局この業者は運用上そうした措置をとっておらず、その隙をつかれてハッキング、盗難にあうという事態に陥っています。
そもそもこのビットポイントジャパンなる会社は、昨年6月に金融庁から業務改善計画の提出を求められ、1年かけてやっとのことでこの業務改善命令の解除を6月末に受けたばかり。
平たく言えば業務改善計画提出と進捗のチェックなどは節穴も同然で何の足しにもなっていないことがまたしてもハッキングで詳らかになってしまったわけです。
世界的に見ても日本の仮想通貨取引所のレベルの低さは驚異的
仮想通貨取引所というと先進的な仮想通貨を扱っていることから、非常にテクノロジーレベルの高い企業といった勝手なイメージが先行して醸成されています。
しかし、どうもこの立て続けに起きているハッキングの問題を見ていますと、他社で起きた事件・事故をまったくもって他山の石として放置している嫌いがあります。
自発的にフェールセーフ(※編注:装置やシステムにおいて、誤操作・誤動作による障害が発生した場合、常に安全側に制御すること。またはそうなるような設計手法で信頼性設計のひとつ。出典:ウィキペディア)を高めようとするセキュリティリスクに対する対応力が極めて低いことが垣間見られます。
これは泥棒に入るハッカーも恐らく相当認識している状況であり、ほとぼりが冷めると次々新しい銘柄の取引所のホットウォレットが狙われるという形になっていることがわかります。
Next: 評価されていた日本の金融当局はどこへ?国内業者は使わないほうが安全…
国内業者は使わないほうが安全
またそれを管理する金融庁もどうも業務要件定義としては認識することができていても、常態的に問題があるかどうかをチェックできる存在ではないようで、仮想通貨取引所のレベルの低さを先導して高めていく役割を果たすことはできないことが露見しています。
90年ぐらいまでは日本の金融当局というのは非常に厳密かつ厳格な管理を進める機関として評価されていたわけですが、どうも足元の状況はそれと大きく異なっている可能性があります。
FX市場から見ればお隣に位置する仮想通貨取引ですが、こうなると国内の業者を使わないほうが安全・安心になってしまうのかも知れません。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2019年7月13日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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