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まやかしのリスクオフ後退~究極の波乱要因となる「中国株暴落」の条件

日欧中央銀行のサプライズで、昨年12月来続いていた「年明けからマーケットが急変するリスク」シナリオは一旦は終了し、新しい前提に立った上で相場見通しの再構築をする必要があります。ここで最大のリスクは中国と言えるでしょう。(『元ヘッジファンドE氏の投資情報』)

各国金融政策の見通しと押さえておきたいリスクオン/オフ要因

ハイペースのリスクオフには一旦歯止めも油断は禁物

先週は原油安の落ち着きもあり新興国通貨や世界の株式はこじっかりでしたが、週末の日銀政策決定会合で再度サプライズ的な追加緩和を決定したことで、週末にかけてリスクオフからの巻き戻しが各資産一斉に起きました。

先週の米国株は、原油市況が落ち着いていた事で下げ渋っていたところ、FOMC声明でこのところの金融情勢に関してのハト派的メッセージがなかったので再度調整に入るかと思われましたが、金曜の日銀政策決定会合での追加緩和に救われて+2.48%の大幅上昇になったことで、結局S&P500は週間で+1.75%の上昇になりました。

一方の日本株は中国株が冴えない展開が続いていたので、木曜までは神経質な動き弱含んでいましたが、金曜の日銀政策決定会合でのサプライズで大幅高になったことで、週間でも+3.30%と高い伸びとなりました。

年明け後の日本株の下げが突出して大きかったのは、昨年末の最終週から世界の主要国株価が原油下落や資源安を嫌気する形で下落していたのに掉尾の一振的な無理な買いで上げ続けた反動が大きいことに加え、世界のリスクオフの発信地である中国に隣接していることや、リスクオフ時は円が買われるため企業収益悪化懸念が台頭するためです。

しかし、黒田氏が消極的発言を繰り返していたこともあり追加緩和予想がほとんどない中でのサプライズ緩和になったので、3ヶ月パフォーマンスでは、日本株独歩のディスカウントは一旦解消された形になっています。

1年パフォーマンスではどの国も依然としてマイナスに沈んでおり、先週独歩で上げた日本株も先進国並みのパフォーマンスに留まっています。

基本的に1年パフォーマンスのような長めのパフォーマンスで見ると、日欧のようにマネー増加の裏づけのある地域の株式市場が強く、引き締め傾向にある地域の株式市場が冴えないパフォーマンスになっています。

12月初旬の欧州の追加緩和は失望を招きましたが、先週アナウンスされたように依然として追加緩和期待が残っています。一方の日本は昨年12月に非常に中途半端な追加緩和もどきをしたことで出尽くし感が広がっていことも、このところの独歩安の原因の一つでしたが、2カ月連続の緩和もあり過度なディスカウントから抜けることに成功しました。

しかし、世界の株式市場が恐れている中国が隣にあるという地政学的リスクに加え、企業収益に対する為替感応度が高いのにリスクオフ時は円が独歩で買われるという性質から、緩和サプライズが落ち着き中国安が再燃してリスクオフに転じた場合、日本株は再び独歩で売られ易くなるでしょう。

一方の新興国市場は、年明け後の下げがきつくリーマンショック時以来の下げとなっていましたが、20日のECB理事会後のドラギECB総裁発言で一旦落ち着きを見せています。

ECBの追加緩和発言やロシアやサウジの協調減産の可能性で原油が急反発したことでCRB指数も下げ止まり反発していますが、減産はこれから協議されるだけで、実際はOPECの1月産出量は過去最高レベルであることから、原油市況のトレンドが上昇に変わった可能性は低いと思われます。

基本的に、資源価格は株式と違い実体経済にリンクしているので、一次産品の最大需要国である中国経済が減速している以上、本格的な上げトレンドに転じる可能性は低いでしょう。

そう考えると、新興国株式の反発も一時的で持続性に乏しいと思われます。

とはいうものの、日欧の緩和でこれまでのようなペースでのリスクオフは一旦歯止めがかかった可能性が出てきました。

米国の利上げに伴って世界中にばら蒔かれていたドルが米国に還流することと日欧の緩和が当面ないために、マネーはゼロサムどころかマイナスサムの世界になるところに、日銀のマイナス金利導入とECBの3月追加緩和発言が下げ相場のブレーキ役として登場したのです。

もちろん、突如起きた1月のリスクオフ相場は米国の利上げを恐れてのものではなく、中国株安や経済不安からくるので、日欧マネーが中国への過剰流動性供給に関係ない以上、中国が崩れれば再び世界はリスクオフになる可能性は高いです。

しかし、日欧の緩和政策で、過度なセンチメント悪化は和らぎ、新興国からの資金流出のペースは落ち着くと思われるので、1月のような急ピッチで連続した下げはなくなりました。

今後は、期待と楽観から来るアヤ的な上昇相場と、中国や新興国不安からくるリスクオフが交互にやってくるようなマーケットに変わる可能性が高いです。

日欧中央銀行のサプライズで、昨年12月来書き続けていた「年明けからマーケットが急変するリスク」シナリオは一旦は終了し、新しい前提に立った上で、相場見通しの再構築をする必要があります。

Next: 先週の日米欧中銀の会合を踏まえた「要人発言」が極めて重要に



先週の日米欧中銀の会合を踏まえた「要人発言」が極めて重要に

今週は日欧の緩和を好感した買いが続き易いですが、それは中国株が崩れないという前提のもとで可能なので、中国株が再度崩れることにベットして、リスクオン的な動きの時にショートを作る戦略が有効かと思われます。

<今週の注目材料>
今週は中国PMIと週末の雇用統計が最重要です。

2/1(月)中国PMI、米個人消費支出、ドラギECB総裁発言
2/3(水)黒田氏発言、ADP雇用統計
2/4(木)ドラギECB総裁発言
2/5(金)米雇用統計

雇用統計は日本株の引け後なので、今週の相場へのインパクトはありませんが、米利上げ回数がFOMCの見方より減少するかどうかの判断材料になるので非常に重要です。

また、中国PMIは恐らく操作されるでしょうが、それでも事前予想49.6を下回る場合は、実態が非常に悪いことを示唆しているので要注意です(編注:中国1月PMIは49.4と市場予想を下回った)。

今週のマーケットは、これら経済指標に加え、先週の日米欧中央銀行の会合を踏まえた要人発言が非常に重要になるでしょう。「特に、FOMCは声明文のみだったため、ハト派的メッセージを補足するような発言が求められています。

マネーの方向性

リーマンショック対応から始まったFRBの量的緩和が2014年10月のFOMCで終了し、2015年12月16日にはリーマンショック初となる米国の利上げが決定されました。

2014年10月の量的緩和終了で他に供給する基軸通貨マネーが無いとマネー逆流になり過剰流動性相場は完全終了するところでしたが、間一髪のタイミングの昨年10末に日銀が追加緩和をしたことで、先進国に関してはリスクオフには歯止めが掛かりました。

その後、原油安やギリシャ政情不安が出てきたところでタイミング良く2015年3月から欧州ECBによる量的緩和も始まり、昨年10月理事会後の定例会見で今年12月には更なる緩和があるとECBがアナウンスし、先月理事会で予定通りに追加緩和を決定しています。

何もなければリスクオフになるところを、日欧の中央銀行が必死にマネー供給してリスクオンマーケットを維持しているというのが現状なのです。

しかし、12月中旬の日銀政策決定会合での追加緩和もどきで、日米欧の当面の金融政策は出尽くしました。日欧の追加緩和は出尽くし、米国は今後粛々と利上げをしていくのみなので、日米欧中央銀行の金融姿勢は先々週を境にして完全に引き締めサイドに転じたといえます。

Next: FRB金融政策の今後のポイント~利上げ回数と利上げ幅はどうなるか?



FRB金融政策の今後のポイント~利上げ回数と利上げ幅はどうなるか?

初回利上げが決まったので、FRB 政策の今後のポイントは利上げ回数と利上げ幅、そして債券回収時期です。本格的なマネー逆流はFRBの保有債券売却(市中からドル札を吸い上げる)でB/Sを削減し始める2017年以降ですが、利上げをするだけで対外ドル資産が米国に還流するので、米国以外の地域でのドルの過剰流動性は減少します。

リーマンショック以降長く続いた緩和政策を大きなショックなく引き締め転じるために、FRBは文言を少しずつ変更し慎重に利上げに向けた地ならしを進めてきました。

ステップ1(~2014年11月):「相当な期間ゼロ金利を維持」
ステップ2(2014年12月~):「相当な期間」と「辛抱強くなれる」の併用
ステップ3(2015年1月~):「辛抱強くなれる」
ステップ4(2014年3月):「辛抱強くなれる」を削除
ステップ5:利上げが適切かどうかについて毎回議論 → 2015年5月から
ステップ6:2015年12月16日のFOMCで利上げ決定

12月FOMCで決定された初回利上げ幅は25bpsと想定通りでしたので、今後は、利上げペースと利上げ幅と来年末時点での金利水準で、それがマーケットの期待値とどれだけ乖離しているかが重要になります。

その理由は、FRBは3ヶ月に一度FOMCメンバーの金利見通し(ドットチャート)を公表するのですが、マーケットは当事者の見通しを全く気にしないで暴走するためです。過去数年はFOMCの見方がハト派的に修正されていったので、楽観的なマーケット参加者の見通しが正しかったですが、今回は年内利上げを見込むFOMCメンバーに対しマーケットは直前まで来年3月以降の利上げを織り込んでいたために混乱が生じました。

昨年12月のFOMCで公表されたドットチャートを前回9月と比較すると、来年末のFFレートの平均値は変わっていませんが、分布が平均値近辺に収斂しました。

1%以下の極端に経済に悲観的な見方が減った反面、2%以上というタカ派的な見方も消えたのが今回の特徴です。

この結果、マーケットとの解釈相違は以下のようになります。

このため、私は年初までは以下のように考えていました。

しかし、年明けからの急激な株安で、米国株が急落した13日を境に要人発言が一気にハト派的になったことで、従来のタカ派的な見方を修正させました。

従来から多くのFOMCメンバーは「利上げで株が下がるのは当然なので、株安位では利上げの見直しはしない」といったニュアンスの発言をしていましたが、トーンが変わったのは下げ方が急過ぎる為です。

1月最終週こそ上昇しましたが、それまでの下げは年初来では歴史的な下げでした。

株式のボラティリティを考えると、年間2割程度の下げ、3ヶ月で1割程度、月間で5%程度の下げが金融引き締め時の一般的な下げ相場になりますので、FOMCの要人もこの程度の下げを想定して「最高値圏から株式が調整するのは当然」と発言していたでしょう。

しかし、年初からの下げが半月で1割を超えると言う異常事態を受け、多くの要人の見方が変わってきたと思われます。

先週開催のFOMCの声明文では、経済判断を下方修正したほか、海外情勢を注視するといようにリスクを加えましたが、明確に利上げ時期を繰り延べするメッセージはありませんでした。

声明文では、「海外経済と市場動向 を念入りに注視する」と盛り込み、世界的な株安や原油安に懸念を示したほか、米経済も「昨年終盤に減速した」と判断を下方修正しました。しかし、利上げペースに関しては、従来通りの「緩やかに進めるが、ペースは今後の経済指標次第だ」という文言だったため、直後の米国株は失望で大幅安になりました。

この声明文の意図するところは、要人発言で補うしかないのですが、先週の要人発言では、中立派及びタカ派のメンバーが12月のドットチャートよりハト派的なメッセージを出しています。

中立派のウィリアムズ総裁は、利上げペースが従来の見方より「やや緩やかな正常化ペースが望ましい」と発言しています。従来よりやや緩やかというのは、4回より少ないという事です。

また、昨年12月から就任したカプラン総裁はこれまでのメッセージではタカ派と目されていましたが、就任後初めての発言では今回会合ではかなり見方に変化があったことを窺わせています。

氏によると、「経済見通しに対するリスクは安定している」の「安定している」という文言を除いたことが重大な決定と言っているのです。

だとしたら、現在のFOMCメンバーは、今の情勢は「持続的に利上げするほど安定していない」と解釈しているという事でしょう。

たった1カ月でここまで見方が変わってしまったのです。しかし、マーケットは更に楽観的な見方になってしまっています。

Next: 楽観的な市場見通しが、FOMCの見方に収れんする



楽観的な市場見通しが、FOMCの見方に収れんする

3月限のFF金利先物こそ先々週末と変わらずの37.5bpsでしたが、6月限FF金利先物の予想利回りは更に低下しています。

実際、1月FOMC直後の利上げ時期の確率は更に後連れになり、最頻値は6月と7月になりました。

また、今年末のFFレート見通しは1週間で63bpsから55bpsまで低下しましたので、今マーケットは今年1回しか利上げを想定していません。

FOMCメンバーもハト派的になりましたが、マーケットは更に楽観的な見方になり、12月ドットチャートでは超ハト派ですら想像していなかった年1回の利上げが主流になったのです。

常にマーケットがFOMCの見方より楽観的なわけではないので、FOMCがハト派的になった現時点でも、マーケットがFOMCの見方に収れんすると引き締め的な反応になる可能性が高いのです。

従って、今週の相場見通しを作成するための前提も先週と同様に、「昨今の株安を受けてFOMCメンバーはハト派的なトーンに変わったものの、マーケットはそれ以上に非現実的なくらいのハト派になってしまったので、マーケット正常化の過程では、楽観的な市場見通しがFOMCの見方に収れんする」という見方をしたいと思います。

以上を整理すると、以下のようになります。

FRB マーケット
次回利上げ時期 3月→ずれ込みそう 4月以降→6月くらい→7月の可能性も
来年利上げ回数 4回→減りそう ほぼ1回
来年末FFレート 1.3%→低下しそう 60bps→55bps

常にFOMCより先走ってハト派的な見方になっているマーケットの見方は、過度に楽観的で3月FOMC時に公表されるドットチャートが出るまでに引き締めサイドに収れんするという見方は変わっていません。

なお、私の利上げ予想は先週と同様です。
次回利上げ時期:3月(2割)、4月(5割)、6月(3割)
来年利上げ回数:3回
来年末FFレート:0.75%~1.0%

初回利上げをしたばかりでいきなり襲ってきた株安で、タカ派のメンバーも見方も大きく修正せざるを得なくなったと判断しています。

何度も書いていることですが、利上げを2回ほどしてから今起きているようなリスクオフになると、マーケットは「そうは言っても、定規で引いたようにこの先も利上げが続く」という慣性が働きますし、FOMCの修正も困難になります。

しかし、初回利上げ後直ぐにリスクオフになると、次回利上げを延期し続けることも可能ですし、最悪利下げをして再度ゼロ金利に戻してしまうことも可能です。

なので、今年前半のマーケットが「マネー逆流の恐怖でリスクオフになる」というシナリオの確度はかなり低下したと思われます。中国株が落ち着けば再度マネー逆流懸念は出てきますが、現在は中国情勢をトリガーにした世界的な新興国リスクの高まりでFRBの出口戦略が修正を迫られつつあると考えています。

今週も先週に引き続いてFOMC声明を補足する要人発言が最重要になります。

従来より「やや緩やか」というのは年1回なのかそれとも3回なのか。また海外情勢の注視は数カ月程度の時間が必要なのか、それとも完全に落ち着くまでは様子見が望ましいと考えているのか。

先週発表のFOMC声明文ではこういった点が全く不明ですので、今週はマーケットがもっとも関心を持っている次回利上げ時期、利上げペースと年末のFFレート見通しに関する示唆が得られるかどうかが重要になります。

Next: 欧州ECB金融政策の今後のポイント~ドラギ「3月追加緩和」の行方は?



欧州ECB金融政策の今後のポイント~ドラギ「3月追加緩和」の行方は?

12月上旬のECB理事会での追加緩和は、事前に期待させすぎたのでネガティブサプライズになりましたが、これに懲りずドラギECB総裁は1月21日のECB理事会後の会見で、再度「3月に追加緩和をする可能性がある」と発言をしました。

その後原油が反発基調になるなど、発言は一定の効果を挙げていますが、ドラギECB総裁は3月理事会で追加緩和を再考する必要があると言っただけで、昨年10月の「12月に追加緩和をする」というほど明確に言っていません。

昨年12月理事会での決定が、市場が期待した国債買い入れ額増額ではなく、従来からやっていたマイナス金利幅拡大しかできなかったのは、ドラギECB総裁以外の理事が追加緩和に消極的だからですが、今回も21日の理事会後に消極的な発言が続いていました。

このため、この発言の持続性は3月理事会まで持たないと思います。つまり、今回のECB発のリスクオンの持続性は長くないでしょう。

今週以降、ドラギECB総裁以外の理事が3月の緩和に消極的もしくは否定的な見方を発言してくると、欧州発のリスクオンの寿命は予想以上に早く消失してしまうでしょう。

このため、今週はドラギECB総裁以外のECB理事の発言も非常に重要になります。

日銀金融政策の今後のポイント~金融政策の効果はサプライズの有無で決まらない

散々追加緩和に消極的な発言を繰り返していた黒田氏が昨年12月にまたもや市場を騙まし討ちにしました。と思いきや。先週の1月会合でも再度ダマシ討ちです。

先週金曜の日銀政策決定会合で再度追加緩和を行い、日銀では初めてとなるマイナス金利を導入することにしました。

先週のこの欄でも書いたように、黒田氏の性格を考えるとコンセンサス追加緩和予想が少ないため追加緩和をしそうだし、春闘を待つまでもなく目標達成が困難になった以上は必要性も高まっている。

しかし、直前まで今は必要ないと言っているし、政権サイドでも様子見と言っている。一方で、反対派が増えているので議案を上げても通らない可能性もあるので、これらを考慮すると、先週末時点ではやらない可能性の方が高いと書きました。

しかし、水曜木曜の記事では、追加緩和を予想する人が少ないので、やる可能性があるので、やっても死なないようなポジション構築と、500円上がったときにやるべき推奨アクションを書いておきました。

結果的には、甘利経済相が辞任しても関係なく、サプライズを重視したようです。

なお、日銀総裁は嘘をついて良いと考えている人が多いし、「正直に言ってもしょうがない。事前に漏れないようにするため、隠すのは当然」と思ってる人も多いので、改めて書いておきます。

政策決定にサプライズは必要ではありません。金融政策の効果はサプライズの有無で決まるのではないです。中央銀行が気にすべき事は物価目標が適切に達成できるかどうかもそうですが、それと同じ位に安定した金融市場というのも重要です。

過度な悲観や楽観でマーケットが極端になっている場合、ビルトインスラビライザー(調整弁)的な役割を果たすのも中央銀行に仕事です。

政策決定会合は月に1度しかないですが、マーケットは日々動いているので、上下の行きすぎは常に生じます。それを均すために、欧米中央銀行トップは行きすぎを戒める発言をしたり、事前にメッセージを流すのです。

これは情報を漏らす悪い行為ではなく、市場と適切なコミュニケーションを常に図ることで、市場の暴走を日ごろから防いでいるのです。

特にリーマンショック以降の金融市場はデリバティブが幅を利かしているので、従来にも増してマーケットのボラティリティが上昇してきました。こういう中では、会合まで意図を秘匿してサプライズを狙うより、常日頃からコミュニケーションを図り、マーケットの行き過ぎを阻止する方がはるかに大切だと私は考えます。

特に、黒田氏は今回も直前の参院委員会で「マイナス金利に否定的な見方」をしました。事前に言質を取られたくないのでしたら、全ての可能性は従前から検討しているので、マイナス金利も同様。ただし、それを速やかにやるかどうかは別であり、今必要かどうかについては今後の会合で検討することになる、のような言い方はいくらでも可能なのです。

マーケット参加者を驚かしても何の意味もありませんん。事前に今のマーケットの下がり方は尋常じゃないので、場合によっては追加緩和を検討しないといけないかもしれないと日銀政策決定会合の数週間前に発言していれば、マーケットはここまで行き過ぎなかったのです。

上下変動を大きくするのが中央銀行トップの仕事ではない以上、私は黒田氏のサプライズのやり方は現在の中央銀行トップとしては不適切だと考えています。

このマイナス金利は、金曜の記事で書いたように、ECBでは2年前から導入されており、効果が薄かった経緯もあるので、海外メディアの論調は決してポジティブではありません。

マイナス金利にすれば市中に金が大量に流れるはずだとECBは考えましたが、実際欧州では、低額預金者から手数料を徴収する例が出たきた反面、期待した融資増は、借り入れニーズが低いために増えませんでした。

日本は付利はありましたが、2年前から成長分野向けの低利融資制度も設けています。しかし、それでも融資増には結び付かなかったのです。

なので、このマイナス金利の導入は、話題性はありましたし、マーケットをびっくりさせたのも十分な効果はありましたが、インフレ率の引き上げにはつながらないでしょう。

そもそも融資が増えてもインフレ率上昇に直結しません。最もインフレ率上昇に影響を与えるのが労働需給のひっ迫で、失業率が低い日本の場合は、労働者の賃金が明確に上昇する事です。

しかし、2015年の組合平均の賃上げ率(除く定昇分)が0.69%なのに対し、今年は企業収益が不透明ということで、昨年以下の伸びになる可能性が高いと見られています。
このような環境下で、企業が設備投資を積極化することは考えにくいですし、春闘が成功しない以上、マイナス金利を導入してもインフレ率上昇には効果が低いと思われます。

従って、昨年12月の追加緩和もどきよりはネガティブではないものの、今回のマイナス金利で日本発のマネーに変化は見られません。

つまり、過剰流動性は変わらないのです。

日欧中央銀行が同時に行動することを予想できた投資家は恐らく1%も居ないと思いますが、先週はそのレアケースになったため、日欧発の緩和姿勢変化を好感する動きはもう少し続くかもしれませんが、日欧中央銀行のアクションとも先月のアクションと大差ない以上、リスクオン的な流れの持続性は乏しいものと判断します。

このため、先月日銀政策決定会合時の株式のような上ヒゲにはなりませんが、昨年10月~11月のリスクオン相場のようなマーケットにはならず、今来週で楽観は終了する公算が高いと見ています。

以上を整理すると、今週はFOMCを踏まえたFOMCメンバーの補足発言と、ドラギECB総裁以外のECB要人発言が重要になります。

Next: 押さえておきたいリスクオン/オフの要因~すべては中国次第



押さえておきたいリスクオン/オフの要因~すべては中国次第

2014年10月の米国の量的緩和終了前後から新興国はリスクオフに転じましたが、同時期に発表された日銀マネーと昨年3月に始まったECBの量的緩和に救われ先進国は今まではリスクオンが継続していました。

12月初旬のECBではマーケットが期待した国債買い入れ増額は決定されなかったので、昨年3月以降の日米欧のマネー供給ペースに変化はありません。

しかし、昨年12月16日に決定された米国の利上げで、いよいよ基軸通貨マネーの逆流が本格化します(なお、日銀の追加緩和は日本株ETF買いなので、世界のリスクオフ解決には無関係です)。

先進国のリスクオフ、特に米国株のリスクオンが終わる場合の可能性は上海株安を加えて4つありましたが、ギリシャ問題が片付いたので、地政学的リスク以外でマーケットが気にすべきリスクオフになるトリガーは3つに減っています。

リスクオフになるトリガー

この3点はいずれも密接に関係しており、特にFOMCで利上げ先送りの理由を海外発の物価下落による影響としたことで、全てが相互的に絡んでいますが、その根源は中国経済に尽きます。

つまり、

です。

そのいずれかがおきても、玉突き的に他のリスクが現実化するので、結局は全てが起こる可能性が高いのです。

こうして見ると、元をただすと中国経済要因が独立リスクかつ一番の問題だということになりますが、ここではそれぞれ別個に検討することにします。

まずは米発のマネー逆流懸念、引き締め懸念から来るリスクオフシナリオです。リーマンショック以降続いていた量的緩和が2014年10月に終了したので、以降のマーケットは日欧の緩和だけで支えられてきました。

しかし、いよいよ米国の利上げが始まったので、リスク資産からもマネーが逃げ出し始めたのです。

昨年6月以降のマーケットのリスクオンとリスクオフの揺らぎを整理すると以下のようになります。

昨年6月中旬以降の世界のマーケットの調整感

昨年10月以降のリスクオン

きっかけは弱い米国雇用統計を受けて、マーケットコンセンサスの利上げ時期が後連れしたことですが、日米欧の中央銀行の全てがマネーを緩める方向に動くという見方になってしまったために、マーケットは勝手な妄想的なリスクオンになったのです。

ほぼ同時期にFOMCのタルーロ理事とブレイナード理事が相次いで年内の利上げに反対する発言をしたこともその理由ですが、他の要人は引き続き年内利上げに賛成する意見が主流でした。FOMCメンバーで最もハト派の二人がこの時期に発言をしたことで、結果的にマーケットをミスリードさせることになったのです。

10月の楽観相場において、中央銀行と市場との見方の違いは以下のようになっていました。

つまり、欧州ではベストシナリオの追加緩和を織り込み、日米は当局が否定しているのに緩和的行動を織り込んでいたことから、12月初旬のECBの追加緩和の内容が市場が期待する債券購入プログラムの増額ではなく預金金利引き下げに留まったのでショックを受けたのです。

10月以降のアヤが数ヶ月に亘り長大になったのは、リーマンショック以降のマネーの大量供給で、いまだかつてないくらいに中央銀行の影響力が大きくなっているのに、中央銀行の情報発信力が応え切れていないのと、市場参加者の咀嚼能力も十分でないためでしょう。

しかし、今年に入ってマーケットがリスクオフに転じ、その調整スピードが速過ぎることを懸念したためか、1月中旬からFOMCメンバーの発言が一気にハト派的になりました。このため、そもそもFOMCの見方より楽観的だったマーケットは更に楽観的な見方へと変更されましたが、FOMCの見方もマーケットにすり寄ってきました。

加えて、先々週先週日欧中央銀行がサプライズ的な緩和姿勢を表明しました。

米国株の急落で、FOMCの要人発言のトーンが一気に変わった13日以降から、「マーケットを注視しているのは市場参加者だけでなく、中央銀行トップも同様で、彼らはシナリオを描き変える能力も持っている」「中国株が落ち着くと、短期的には再度昨年10月以降の楽観マーケットに戻る可能性が高まっている」と書きましたが、結局、21日のECBドラギECB総裁の追加緩和示唆発言以降、マーケットはリスクオン気味になっています。

数週間前の記事で、下げピッチが速いと当局のアクションも想定外のモノになるので、シナリオは変更せざるを得ないと書きましたし、「暴落の中にこそ暴騰の芽が出始める」とも書きましたが、催促相場的な1月の急落で、日欧の中央銀行の姿勢が変わってしまったのです。

変わった以上、今年中央銀行発のリスクはかなり低下したと思われます。

もちろん、株式市場がリスクオンになり数カ月も続いた場合、当局は再度引き締めを模索するため、下期にリスクオフの仕切り直しが来る可能性は高いですが、そこまでマーケットが強くない場合、日米欧中央銀行のハト派的な姿勢で急落はある程度オフセット出来ると見ています。

先々週のこの欄で以下のことを書きましたが、その通りの事態になったようです。

つまり、日欧中央銀行の緩和は当面出尽くしと取られていますが、FRBが緩和的なメッセージを打ち出してきましたために、当面(この数カ月)は、米の利上げをトリガーとしたリスクオフにはなりにくくなりました。逆に、昨年10月のような楽観相場になるトリガーになる可能性が高まり始めました。

ここが先週から変わった最大のポイントです。

日欧中央銀行のアクションはマネー総量増加に結び付かないため、昨年10月以降のマーケットのようなリスクオンにはならないでしょうが、急激な株け下落は何としても食い止めるし、まだ追加措置もありうるという当局の姿勢が明確になった以上、中央銀行の金融政策におびえるマーケットは当面心配しなくて済みそうです。中国がよほどの事態にならない限り、1月のボラは出ないでしょう。

Next: 新興国発のリスクオフシナリオはやはり中国がポイントに



新興国発のリスクオフシナリオはやはり中国がポイントに

次に新興国発のリスクオフシナリオですが、年明けからの中国株安と元切り下げをきっかけに売りこまれていた新興国通貨は、ECBの追加緩和示唆で一旦下げ止まりを見せています。

米FOMCのハト派的メッセージでドルも上がる環境ではないのですが、日欧の通貨安競争に負けため、ドルインデックスは結果として上昇しています。

それでも、新興国通貨が下落していないので、ECB発の追加緩和期待と日銀の追加緩和で新興国危機は一息ついた形になりました。

新興国危機は、新興国自らの内部崩壊で起きるというより、中国発のデフレによる資源価格下落か日米欧中央銀行の引き締め的な金融政策によって限界的な市場から資本流出する事で顕在化すると見ていたので、日欧中央銀行の緩和政策への変更は新興国危機の発生をある程度防いでくれるでしょう。

もちろん、先の項目で見たように、欧州の追加緩和は3月に検討するだけで今は何もしていないし、日本のマイナス金利導入で新興国へリスクマネーが行くわけでもないのでその効果の持続性はあまり長くないです。しかし、一定程度の抑止効果がある以上、フラジャイル5クラス程度の主要新興国が急激な外貨準備減少でデフォルトリスクが出るなど突発的なリスクが顕在化しない限り、日欧中央銀行の緩和姿勢で1カ月程度は新興国危機は延命した可能性が高いと思われます。

最後は中国経済懸念(中国株だけでなく元切り下げリスクも出てきたのでリスクを中国経済全体にします)です。昨年8月のショック以降3ヶ月ほど、景気対策期待や株の買い支えもあって上海総合指数は落ち着いていましたが、年明けから急に壊れ始めました。

元の介入で買い支えているのに先週も1週間で6.1%も下げているので、もはや打つ手なしの状態です。

現時点で、最も危険かつ終わっていないリスクは更なる中国株安と中国経済不安です。

重要なことは、昨年8月の元安ショック相場では当局の介入ラインと見られていた3000ptをあっさり切ってその後も下落が止まらない事です。

かねがね私が指摘している2500ptが現実味を帯びてきました。

これに対しての当局の手立てが限られてきています。昨年9月以降経済対策期待を何度も匂わせましたが、実際大型予算がついた対策は出ていません。中国の国家予算もかつかつなので、株価浮揚のための対策に回す金がないのです。なので、リップサービスと金利引き下げという金融政策くらいしか手段がないのですが、このうちの金利引き下げについては「元安誘導になってしまう」ため、当局は消極的になっています。

金利を下げれば魅力度が低下すると判断したマネーが海外に流出するので元は下がりますが、元が下がると世界に危機をまき散らすということで中国の信認が揺らぐため、簡単に金利を下げることが出来なくなってしまっているのです。

つまり、このようにどう転んでも中国発のリスクオフになり易いのです。

統計操作しても、足元の鉄道貨物輸送量は前年同期2割近い落ち込みです。

中国のエネルギーの過半を占める石炭火力は、鉄道貨物で石炭を運んでいるので、鉄道貨物が2割落ちているということは、工場稼働などエネルギー需要がかなり落ちているとしか考えられません。発電量も再びマイナスになっているので、実態は日を追うごとに悪化していると思われます。

今週はPMIが発表されます。

他国に比べ低位安定しているように思える中国PMIですが、PMIが鉱工業生産とほぼい同義であることを考えると、エネルギー需要との統計格差が大きすぎるのが判るでしょう。

株式市場に抜本的な対策が出ていない中で経済が悪化し続けている以上、今後も中国株は下げ易いと見るべきです。

このため、かなりの確度で現在は「中国株暴落シナリオ入り」していると思われます。

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上海総合指数2500ポイント割れで、投資家のこの1年の買いがすべて含み損に

元が一定でも株の急落に歯止めがかからない以上、今来週のうちに従来から重要ポイントと指摘してきた2500ptを切る可能性も出てきています。

2500ptというと大幅安に思えるかもしれませんが、2014年11月はこの程度で、昨年初も3000pt程度だったのです。2500ptはこの1年程度で買った全ての投資家が含み損になる水準なので、年金などの長期資金も全ての投資主体が売却を迫られる水準です。なので、これを切ると、売りが更に加速する可能性が高いので、今回の暴落はは完全にバブル崩壊でしょう。

世界第2位のGDP国で、資源の馬鹿食い国家のバブルが崩壊する以上、これからがリーマンショックのような事態になるのです。つまり、日欧の緩和期待で多少は落ち着いても資源はこれからまだ下がるし、新興国通貨もまだ下がります。

以上から、今週世界のマーケットがリスクオンかリスクオフになるかの唯一にして最大のポイントは、中国発のリスクオフです。一方、中央銀行リスクは当面無くなりましたし、新興国発の危機も中国ショックが起きない限りは顕在化しにくいです。

中国株安や統計悪化が極端な場合、日欧の緩和期待にも関わらず資源価格は再度下落に転じるでしょうし、その場合新興国危機も勃発します。

中国だけがリスクになっています。

地政学的リスク

現在マーケットに影響を与えるリスクは以下のものです。

この数カ月散発的に地政学的リスクが出てきますが、今のところマーケットを震撼させるマグニチュードにはなりません。

それは問題が小さいからではなく、あまりにも米国利上げや新興国危機、中国問題の方が大きいため、相対的に地政学的リスクの影響が低下しているだけです。

本来であれば、イランとサウジの断交は世界のマーケットを急落させるだけのインパクトはありましたので、現在のマーケットは地政学的リスクに関してはやや不感症になっていると言えます。

このため、今週も地政学的リスクよりは中国株安や新興国危機、そして日米欧中央銀行の見方に市場コンセンサスが収斂する過程で起きるリスクオフ的な動きのほうが相対的に重要かと思われます。

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日本株を取り巻く環境と気になる安倍内閣支持率

ファンダメンタルズ
上場企業の中間決算は、売上+2.1%、営利+25.0%、当利+20.7%なので強い基調でしたが、7-9期だけで見ると経常は2.4%増益と大幅に鈍化し、10-12期は減益が予想されています。10月日銀短観でも下期の下方修正をする企業が多かったので、企業収益のモメンタムは明らかにピークアウトしています。その理由は、トヨタの下期見通しやキャノンの下方修正の要因のように中国経済の減速がメインです。

中国を理由にした下方修正は欧米企業では一般的ではないので、日本株はやはりどの先進国よりも中国の影響を受け易いといえますので、中国経済への懸念が残る以上はファンダメンタルズでは買い続けるのは難しい状況です。

また、リスクオフ時は円が買われ易いので、企業収益の下方修正懸念が高まりますので、世界のリスクオフ時は他の先進国以上に新興国に連動して下げやすいでしょう。

一方の米国企業は、7-9期で-0.8%の減益になり、10-12期も減益が予想されています。

このように、企業収益では日米株価は最早買う事は困難になっています。こういった場合でも株価が上がるには、マネーの総量が増える過剰流動性相場が持続することが不可欠ですが、今まで観てきたように、マネー総量はむしろ減少する方向にあるので、株価を押し上げる材料がほとんどありません。

バリュエーション
日銀の追加緩和のお陰で突出してマネーが集まる市場となった日本株は、どの国よりも過剰流動性相場の恩恵を受けPERが上昇しても良さそうなのに、なかなか PERが上がりませんでした。しかし、日米欧中央銀行が引き締めバイアスをかけたことで過剰流動性相場は終了しそうです。

過剰流動性相場は業績以上に株が買われる相場なので、過剰流動性相場時はPERは上昇しますが、過剰流動性相場が終焉するのと世界的なリスクオフに伴い、日本株のPERは今後も切り下がっていくでしょう。

需給
一昨年10月末のGPIF改革で発表された新基本ポートで日本株の標準ウエイトは25%です。昨年4月以降ずっと新基本ポート比較でアンダーでしたが、7月に入ると2万円超の日経平均に炙り出されたのか猛然と買い始め、結果として9末で7兆円程度の運用損を計上してしまいました。

しかし、10月に入っても買い越し基調が続き、11月こそは売り越しましたが昨年12月の米国の利上げ以降のマーケットで一番の買い主体は信託銀行になっています。

年明け後の3週間ずっと買い続けています。16000円を付けた週はさすがに売り叩いたかと思いましたが買い越しています。

世界的なリスクオフの中で買い向かう暴挙がいつまで続くか不明ですが、基本的に信託銀行はリスクが顕在化すると水準に関わらず、損益に関わらず売ってきます。実際、チャートを見ると判るように、2013年5月のバーナンキショック、2014年初頭の新興国危機、昨年3月のギリシャ問題顕在化、昨年8月の新興国危機時はいずれも売り越しに転じています。

このため、今後本格的なリスクオフになった場合、一転して売り手になるでしょう。

一方の外人投資家は、6月以降アベノミクス始まって以来最も弱気なポジションにしたのが裏目に出て、世界的にリスクオンになった10月11月と踏み上げられましたが、ショートカバーは終了した模様です。そして、年明け後は中国発のリスクオフで日本株の売り姿勢を再度強めています。

日経平均先物の外資合計の建玉残高がショートに転じたのは昨年6月からですが、6月以降、外人投資家が急激に日本株に対してネガティブになった点は以下の通りです。

最近の毎日新聞の支持率調査では、政権支持率に変化はありませんので、甘利経済大臣の問題は日本人としては一旦終わったようですが、外人からすると「アベノミクスとTPPの旗振り役が不祥事で辞任した」と映りますから外人にとってはネガティブです。

これに対して後で見るように財政期待などのポジティブ要因もありますが、6月以降の政府や日銀の対応で、アベノミクスは既に終りという認識をもたれてしまっているので、見方を変えて強気になるにはしばし時間が必要かと思われます。

【関連】日銀「マイナス金利」6つのポイント~円安を招くがデフレには効果なし=吉田繁治

元ヘッジファンドE氏の投資情報』(2016年2月1日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

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