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日経平均株価 日足(SBI証券提供)

【号外】日経平均の下値は限定的と見る~これは円高ではなく米ドル安=馬渕治好

馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』は、めまぐるしく変化する世界の経済や市場の動きなどについて、ブーケ・ド・フルーレット代表の馬渕治好氏が分かりやすく解説するメルマガです。今回は2月3日(水)の米ドル急落をうけて配信された号外をご紹介します。

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日経平均は一旦1万7000円を割り込んだとしても下値は限定的

年初からの荒れ相場とは様相が異なる

今年に入って世界市場は、中国経済に対する懸念や、原油安が産油国経済に与える影響、さらには、いわゆる「リスク回避のための円高」として、どの国でどんなリスクが生じても、全面的に円を買う理不尽な動きなどが重なって、大きく荒れました。

その後、株価や外貨の対円相場については、全般的に1月中に底入れし、売られ過ぎから正常な水準への復帰が始まったように考えられました。ただし今週半ばにさしかかって、再度荒れ模様となっています。

日本株で考えると、2/3(水)の大幅安(日経平均株価が前日比559.43円安(3.15%下落)と、おそらく本日2/4(木)に大幅安するであろう展開(この号外執筆時点で、シカゴ日経平均先物は16900円台で、そのまま行けば本日は前日比200~300円の下落)は、要因が異なります

シカゴ日経平均先物円建 15分足(SBI証券提供)


米ドル/円 15分足(SBI証券提供)

2/3(水)の日本株の下落は、前日の2/2(火)に、WTI原油先物価格が一時1バレル当たり30ドルを再度割り込み、それを材料として、米国株価が大きく下げたことがきっかけでした。原油価格は米国時間で2/2(火)中に30ドル台を回復する局面もあったものの、日本時間2/3(水)(米国にとっては時間外取引)に、29.50ドルも一時下回りましたので、1月と同様、原油価格が悪役になったと推察されます。

ところが本日2/4(木)に想定される日本株の下落は、2/3(水)の米国市場での、円相場の動きによります。WTI原油先物価格は1バレル32ドル台まで回復しましたが、今度は米ドル安・円高が大いに進み、一時は117.15円近辺に達しています。

これまでの米ドル安・円高は、前に述べたような、「リスク回避のための円高」と称する、全面的な円高(ほぼどの通貨に対しても円高)でしたが、足元の動きは、米ドルだけが突出して下落しています。

ユーロの下落幅は比較的小さいですし、豪ドル、ニュージーランドドルなどの他の主要通貨や、ブラジルレアル、南アランド、トルコリラなどの新興諸国通貨は落ち着いて推移しており、米ドルの全面安の様相です。

つまり、全面的なリスクオフ(新興諸国通貨など、リスクの高い資産を一律に避ける動き)ではなく米ドルの独歩安という点で、1月以降の市場波乱と様相が異なります。

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日本株の下値は限定的か。米株価指数はプラス、ADP雇用統計も上方修正

では、米国にとって、米ドルの独歩安になるほど悪いことが起こっているのかというと、おひざ元の米国株価は、ニューヨークダウ工業株指数やS&P500指数が、前日比でプラス圏になっています。

NYダウ 15分足(SBI証券提供)

経済統計では、2/3(水)に、1月のADP雇用統計が発表されましたが、雇用者数前月比は、前回の12月分が25.7万人増から26.7万人増に上方修正されたうえ、1月分は20.5万人と市場予想(19.3万人増)を上回り、伸びが減速したとはいえ好調な数字でした。

こうしたことから考えると、米国で深刻なことが起こっているから米ドルが売られた、というより、対円では先週の日銀のマイナス金利導入を受けて、一旦円安方向に大きくぶれたため、ポジション整理(日銀の追加緩和を受けた円売りの買い戻し)が入ったと推察されます。

また最近の為替変動が大きいため、為替の投資家・投機家が相場観を見失い、いったん一方方向の動きが出ると、それに乗ってしまいやすいのでしょう。

むしろ前述したような、新興諸国通貨などについては、新興諸国通貨高・米ドル安と、投資家がリスクを取るような動きとも解釈でき、決して暗い相場動向とは言えません

以上から、米ドルの独歩安が長続きするとは考えにくいです。本日2/4(木)の日本株は、一旦は米ドル安に「敬意を表して」17000円を割り込む可能性が高いですが、そのまま下降傾向に突入するとは見込みにくいです。

※本稿は、米国市場の引け前に執筆しており、引けまでに大きく市況がぶれる可能性がありますので、ご留意ください。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年2月4日号外)より
※記事タイトル、本文見出し、太字はMONEY VOICE編集部による

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