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宮迫・田村亮会見から見えた吉本興業の深い闇。2009年の上場廃止から怪しかった=今市太郎

20日午後、芸人の宮迫・田村亮氏が闇営業問題について会見を開いて大きな反響を呼んでいます。今回は2009年に突然「上場廃止」した不思議な会社・吉本興業の闇を覗きます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年7月20日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

「会見したら全員連帯でクビ」の真意とは?興味深い田村亮の発言

テキトーがまかり通っていたテレビ業界

巷では吉本芸人をはじめとする人たちの闇営業の問題が大きくクローズアップされています。

20日午後、その宮迫博之田村亮氏の両名が行われないとされていた会見を開き、一部始終がリアルタイムでネット閲覧されたことから大変な反響を呼んでいます。

実は私事で恐縮ですが、1980年代の初頭、大学を卒業した私は、新卒で皆さまよくご存じの大手広告代理店に入社し、営業としてとある家電メーカーさんの担当になるところから見習い丁稚の奉公をした経験があります。

当時1社枠の番組を提供してもらっていたため、テレビの番組提供が1か月数億円でもまったく契約書がない口頭契約だけで取引がされていることや、その番組にかけるCF制作でタレント契約を行うということが社会人としてはじめての業務でした。

そんなわけで、私はコンサルティングや金融以上に、広告・放送業界に精通しているというなかなか珍しい存在かもしれません。

この代理店よもやま話をし始めたら1本別のメルマガを発行できそうなので詳細は語りませんが、今回は金融市場の視点から吉本興業という会社の不思議を覗いてみたいと思います。

2009年に突然「上場廃止」した不思議な会社

吉本興業は創業1932年で戦前から始まった興行会社で、私が新人だった1980年代の初頭にタレントの契約交渉で大阪まで行くと、心斎橋筋のアーケード街の薄汚い事務所に通い詰めることとなり、なんだこれは?と思ったのが今も記憶に残っていて、たいした会社ではありませんでした。

しかし80年代後半に漫才ブームが訪れることで、会社は急成長を遂げることになります。

この吉本興業はいち早く1949年、朝鮮戦争の1年前に上場していたわけですが、なぜか2009年突然上場を廃止することになります。

当時は変な会社だとは思っていたわけですが、元ソニーの出井氏が代表を務める会社が吉本バイアウトのペーパーカンパニーを組成してTOBを実施したあと、残された株主から強制的に保有株を買い上げるというキャッシュアウトでこの上場廃止を成功させてしまいます。

この出井氏のファンドには在京・在阪キー局(TV局)、広告代理店、ゲーム会社などが参画し総勢32社によるお友達株主の構成がまんまと実現してしまいます。

Next: 2009年の上場廃止もコンプライアンスリスク回避のためだった?



コンプライアンスリスク回避が大きな目的だったのか?

この不思議な非上場化。最初は何の意味があるのかとかなりいぶかし気に見ることとなったわけですが、2011年8月当時、人気絶頂にあった島田紳助氏が暴力団関係者との黒い交際で問題になって引退に追い込まれたときに、ああこういうことだったのかということに気づかされることになります。

上場企業のままであればこうした問題が発覚すれば株価は大きく下落し、下手をすれば企業としてのコンプライアンスやガバナンスを問われて経営危機に陥りかねない状況だったわけです。

しかし非上場にしたおかげでまんまとリスクをすり抜けることができており、上場企業なら受けたかもしれない株主代表訴訟などに直面することもなく、今日まで生き延びているわけです。

その間、暴力団との関係が絶ち切れているわけでもなく、子飼いの芸人は闇営業をしても結局、見て見ぬふりをしていただけなのではないかと疑われても仕方がない状況です。

所属芸人との書面契約などが進むわけもない状況が延々と継続中であることが垣間見られます。

田村亮氏の会見での発言がきわめて興味深い

今回の宮迫・田村亮氏の会見での発言が、どこまで本当なのかという問題は依然として残るわけですが、会見を聴いていて非常に興味深かったのが、田村亮氏が吉本サイドから「うちは在京キー局5社、在阪キー局5社が株主だから大丈夫だ」と言われたと発言したことです。

実際に株主を調べてみると
フジ:12.13%
NTV:8.09%
TBS:8.09%
テレビ朝日:8.09%
BM総研(ソフトバンクの完全子会社):6.07%
テレビ東京:4.04%
電通:4.04%
朝日放送:2.51%
と、32社の大株主はほとんど吉本と利害関係を同じくするところばかりです。

無理して非上場にしてこうした関係企業だけを株主としていれば、ほとぼりが冷めればまたやっていけるという甘い見方が成立するのもうなずける状況というわけです。

Next: 「会見したら全員連帯でクビ」の真意とは?/吉本と安倍政権の関係も…



「会見したら全員連帯でクビ」

非上場以来ずっとトップの座に収まっている大崎氏が直接大丈夫だといったのかの言質はこの会見でとれてはいませんが、会見したら全員連帯でクビと言われた意味を含めますと、なんとなくその真意は理解できるものがあります。

恐らく田村亮氏が口にした吉本発言のディテールは、テレビ放送では絶対にオンエアされないものとなるのでしょう。

上場廃止で社会的責任を問われることはなく、株主は大手テレビ局で固められているので、どんなに反社会的勢力と繋がっていても責任を問われることはないと聞こえたのは私だけでしょうか。

問題は安倍政権と吉本との関係

この主要テレビメディアが問題視できない吉本興業と非常に近しいのが安倍政権であるというのも、なんともきな臭い雰囲気で個人的には非常に嫌悪感を感じます。

第二次安倍政権発足後に設立された官民ファンドのクールジャパン機構なるところも、吉本にすでに計22億円を事業出資しています。

足元では吉本などが参画した新会社が手掛ける教育コンテンツ等を国内外に発信する国産プラットフォーム事業に対して、最大100億円も出資するといいます。

すでに安倍首相は今年4月、なんばグランド花月に初登場して物議を醸していますし、6月には吉本の泡沫芸人が逆に官邸を訪れてどうでもいい芸を見せるという体たらくな面会も果たしています。

そうでなくても挙動のおかしい安倍政権ですが、どうもここに吉本などが出てくるところを見ると、ますます疑問が募る状況です。

みなさんはこの件をどうご覧になっているでしょうか?

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今市太郎の戦略的FX投資』(2019年7月20日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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