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イラン情勢、悪化の一途。トランプ「自作自演」のカネ稼ぎ外交で中東が火を吹く=江守哲

イランがホルムズ海峡で英国の石油タンカーを拿捕、最も狭いところで幅30キロ超しかない要路の緊張は高まる一方です。いよいよ開戦間近の混沌とした状況です。(江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ

本記事は『江守哲の「ニュースの哲人」〜日本で報道されない本当の国際情勢と次のシナリオ』2019年7月26日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

米国が原油価格を操作可能に。イランだけでなくトルコも窮地?

ホルムズ海峡の緊張高まる

イラン情勢が混沌(こんとん)としているようです。しかし、困っているのはほかでもない、イランです。

トランプ政権は、中東ホルムズ海峡などでの船舶護衛を目指す有志連合構想への協力を日本を含む各国に要請し、サウジアラビアへの米軍駐留再開も発表しました。

これに対してイランは、ホルムズ海峡で英国の石油タンカーを拿捕しました。最も狭いところで幅30キロ超しかない要路の緊張は高まる一方です。

しかし、トランプ大統領はこれまで「イランとの戦争を望まない」と公言し、対話に応じるようイランに水を向けてきました。とはいえ、今回のイランの愚行で、トランプ大統領も少し怒っているようです。

イランは強硬姿勢を見せつつ、少しでも経済制裁を緩めたいようですが、むしろ逆効果です。

トランプ政権、「自作自演の極み」か

トランプ政権は、ホルムズ海峡周辺で発生した日本の海運会社運航のタンカーへの攻撃などを受けて、周辺海域の監視強化や安全確保を目指す有志連合構想を表明しました。

19日に各国外交団を国務省に招き会合を開きました。米軍はこの直後、イランと敵対するサウジで約16年ぶりに米軍駐留を再開すると発表しました。

イランに対する抑止力を向上させる狙いで、展開要員は500人程度とされています。

とはいえ、振り返ると、日本のタンカーを攻撃したのは誰なのでしょうか。そのうえで、有志連合を結成などとなれば、まさに「自作自演の極み」ですね。笑ってしまいます。

しかし、これが外交の現状です。本当に面白いです。

もうわかってしまっているので、いい加減にしてほしいと思いますが(笑)、すべては利益を上げるためです。

市場を動かす材料を探し、そこに揺さぶりをかけて市場価格を変動させ、市場参加者から資金を巻き上げる。

これが基本的なモデルです。すべては国際金融筋が仕切っています。

そのように考えるかどうかは、個々人の考え方次第ですので、あくまでひとつの意見としてとらえていただければ結構ですが。

Next: アメリカが原油価格を操作可能に。イランは本当に苦しい状況



アメリカが原油価格を操作可能に

こうなると、原油価格も上がらなくなってきます。米国がシェールオイルの生産を増やしたことで、自由に原油相場を操れるようになりました

これは、国際情勢を見ていくうえできわめて重要なポイントです。

こうなると、地政学的リスクの捉え方も変わってきます。中東情勢をあまり気にしなくてもよくなります

イランは窮地に

イランは原油安で焦っています。そこで、欧州勢に会合の開催をお願いしています。

またイランのザリフ外相は、ニューヨークを訪問し、米国の制裁解除と引き換えに恒久的核査察を受け入れる提案を表明しました。

本当に苦しいわけです。

トランプ大統領と親しく、イランとの対話を模索する共和党のポール上院議員とも面会したとされています。

それだけ切羽詰まっているとも言えます。

一方、ポンペオ国務長官が「イランが交渉のテーブルに着く必要がある」とするなど、トランプ大統領は前提条件なしの対話を行う用意があると強調しています。

しかし、それを拒否しているのは、実はイランなのです。

イランはやはり考え方が違うのでしょう。それがイスラム教の教義からくるものなのか、中東諸国の発想からくるものなのかはわかりません。

いずれにしても、苦しいのはイランです。

イランがいつ、どのような形で折れるのか、それとも米国に一撃を加えられ、力に屈する道を自ら選ぶのか。そのあたりを見ていきたいと思います。

トルコも不思議な動き?

一方、興味をもって見ているのは、トルコです。トルコもまた不思議な動きをしています。

エルドアン大統領の強権政治はすでに世界的に知られていますが、それ以上に重要なのは、やはり武器の動きです。

トルコがロシアから武器の購入を進めており、これにトランプ大統領が怒っていることはすでに報道されているとおりです。

トルコは例のカショギ事件の舞台になりましたが、これでやり込められたのがサウジです。

サウジもこれに慌てて、トランプ大統領にすり寄ってきています。

しかし、エルドアン大統領はまだ強権的です。あれだけトルコリラを売り込まれて、経済が疲弊しても、みずからのプライドを優先しています。

国の経済など、どうでもよいかのようです。

Next: トルコリラが大変なことに? 各国が米国との関係に苦慮している



トルコリラが大変なことに

そんな中、米国で対イラン制裁違反で禁錮刑を言い渡されたトルコの銀行幹部が刑期を終えて24日に帰国したとされています。

ハルクバンクの幹部であるハカン・アティッラ氏は、18年5月に制裁違反で米国の裁判所から禁固刑を受けました。判決が言い渡された時点で、アティッラ氏はすでに1年あまり収監されていました。

この事件で、トルコと米国の関係は悪化しました。トルコのエルドアン大統領は昨年、政権に対する政治的攻撃と非難していました。ハルクバンクは制裁違反はしていないと主張しています。

しかし、そんな言い分が米国に通用するわけがありません。

エルドアン大統領もそろそろ態度を軟化させないと、トルコリラが大変なことになりそうです。

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  • 「第3回米朝首脳会談の裏側」(7/12)

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image by:Gil Corzo / Shutterstock.com

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