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10年半ぶり米利下げもトランプは「がっかり」、米中交渉の泥沼化で追加催促か?=高梨彰

FRBが約10半ぶりとなる利下げを発表。しかし小幅の0.25%だったこと、パウエル議長が今後の継続的な利下げを明言しなかったことでトランプと市場は「がっかり」しています。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)

※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2019年8月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:高梨彰(たかなし あきら)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。

株安になっても「Fedが利下げしてくれる」? 夏相場はいかに

期待を下回る「0.25%の利下げ」

ビートルズが“Don’t let me down”ならば、Fedの利下げを受けたトランプ大統領は“let us down”「がっかり」です。

プロレスラーのショーン・マイケルズとトリプルHが組んだ「Degeneration X(DX)」のtwo wordsが“Suck it”ならば、トランプをがっかりさせたパウエルFRB議長のtwo wordsは“midcycle adjustment”でした。

FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)にて、Fedは25bp(0.25%)の利下げを実施。新たな政策金利FFレートの誘導目標は2.00%-2.25%。合わせて、Fedが保有する国債等の資産圧縮作業を休止することも決めています。

今回の決定、賛成8、反対2でした。反対した2人は「米経済は好調なのだから、利下げの必要はない」とのことです。

50bpの利下げを求めていたトランプ大統領、そして米株式市場はこれだけでも「がっかり」です。

パウエル議長「一連の利下げの始まりではない」

それなのに、パウエル議長から追加の一撃。今回の利下げと今後の見通しについて聞かれたとき、“midcycle adjustment”と答えています。mid「中間」のcycle「サイクル、循環」のadjustment「調整」です。

景気サイクル循環における調整なのか、利上げ・利下げといった金融政策のサイクルにおける調整なのかハッキリしません。

しかし、「一連の利下げ」とか「利下げサイクルの始まり」ではないようです。

今後については状況次第として、追加利下げの可能性も残しましたが、株式市場とトランプが「モメンタム」を得ることは無かったようです。

Fedは低インフレ率と不透明感を増す国際情勢を利下げの根拠として挙げています。トランプが利下げを求めるならば、米中交渉を泥沼化させれば良いだけです。

そうでなくても、中国は時間稼ぎを図っているとのことです。トランプ大統領自身がそう述べています。この焦りとも取れる言動がある限り、皮肉ながら追加利下げ余地も残ります

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押し目買いは続く

トランプ政権の相場操縦にはDXじゃなくても“Suck it”です。でも、国際情勢が緊張して株安となっても、Fedが利下げしてくれると思えば、株への押し目買いは続くのではないでしょうか。

問題は押し目が何処なのかですけど…。米株だけならば押し目は浅いかと。何だかんだでFedは利下げしましたし。

欧州の金融にちょっと不安が残りますけど、この手の不安が顕在化するかどうか、にらめっこしながらの夏相場です。

日本株は…、もとから政策には「がっかり」なので、日経平均が2万1,000円まで下げれば、押し目待ちには御の字です。

こちらは猛暑よろしく、ダラダラ方向感なく進みそうで怖いです。

<今回のまとめ>

・Fedは25bp利下げ、トランプは「がっかり」
・国際情勢が緊張すればFedの利下げ確率も上がります
・Fedへの「がっかり」だけならば、株の押し目は浅いはず

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  • 「がっかり」だけど(8/1)

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高梨彰『しん・古今東西』』(2019年8月1日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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