香港デモ隊と警察の衝突が激しさを増しています。すぐにでも人民解放軍が介入しそうなまずい勢いが見え始めており、金融市場にも不安が広がっています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年8月2日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
香港デモ隊「5つの要求」は通るのか?内戦状態に突入する恐れも
警察とデモ隊の衝突が「内戦」へ
FOMCの利下げや米中貿易交渉の行方ばかりに気をとられてきた7月相場。しかしどうも香港情勢が一段と悪化しているようで、この夏が終わらないうちに香港に人民解放軍が介入してしまいそうなまずい勢いが見え始めています。
傘を差した市民がデモを繰り広げて一旦香港政府を押し返したあたりまでは、市民パワーの勝利といった雰囲気を醸成してきていました。
ところが、足元の警察と市民のデモ隊との衝突はだんだんと暴動の域に達する様になっており、いよいよ習近平が動きだすのではないかといった憶測が高まりつつあります。
現地から発信される映像を見ていますと、かなり緊迫した時間帯に入っていることは間違いなさそうです。
それほど時間をかけずに、人民解放軍が投入されることで内戦状態になる危険性が相当高まっているといえます。
デモ隊の要求は概ね5つ
香港メディアなどが報じている内容によりますとデモ隊の要求は以下の5つと見られています。
- 逃亡犯条例改正の完全撤廃
- 独立調査委員会の設立と警察による暴行責任の追及
- 抗議者への監視や検問の停止と撤回
- 6月12日に行われた集会を「暴動」と位置づけたことの撤回
- 林鄭月娥行政長官の辞任と普通選挙の実現
しかし、こうした内容を許せば、香港は中国本土とはまったく異なる管理体制を許すことになります。
ですから習近平が「はいそうですか」と許容するはずはなく、デモがエスカレートする中では、どこかで中国人民解放軍が完全制圧に乗り出す可能性はかなり高くなってきているといえます。
しかも、制圧が始まれば、デモ隊の排除や首謀者の摘発は至極簡単そうに見え、香港の街がいきなり戒厳令が敷かれた別の様相に変化してしまうことが予想されます。
Next: 金融市場に大打撃。香港発の大暴落もありえる状況に…
金融の視点でいえば、最悪の状況が近づいている
香港は行かれた方ならすぐおわかりのとおり、香港島自体は非常に狭いエリアにビジネス街がひしめいております。
今回、デモ隊が大騒ぎしているセントラル周辺は、金融機関も非常に多いところ。足元の騒動が市場にプラスに働くはずはなく、不動産・証券・債券と影響が及ぶ領域は短時間でかなり大きなものになりそうな状況となってきています。
騒ぎが始まった当座香港から逃げ出そうとしていた資金は一旦は収まったかのように見えていますが、富裕層がこのまま香港に資産をもっていては危ないと感じていることは間違いなさそうで、軍事的な介入をきっかけにして香港からの資産流出が加速しそうな気配がかなり高くなってきています。
香港発の大暴落もありえる
「香港の状況は決定的な金融不安材料にはならない」といった楽観的な見方は依然としてかなり強そうですが、背後にいるのは習近平です。
ですから油断は禁物で、一気に状況が変化した場合には、想像以上の影響がでることも十分想定しておかなくてはならないところにさしかかっているように見えます。
夏枯れで相場が薄くなるこの時期、香港ネタで大きなボラティリティが発生するリスクも十分に想定して売買していきたいところです。
米中関係はまったく改善していない
また1日早朝の2時すぎにトランプ大統領は、9月1日から3000億ドル分の中国製品に10%の追加関税を課す考えを明らかにしました。
このことから、株も為替も激下げ状態が再燃しており、大統領選までは休戦が続くのかと思われた米中貿易協議もいきなり火を噴き始めています。
こうなると香港の問題もその関係に新たな火種となって機能してしまう危険性は高く、8月相場には相当注意をしていく必要がではじめています。
Next: FOMCよりも大きく相場を動かす「トランプ発言」
FOMCよりも大きく相場を動かす「トランプ発言」
それにしてもFOMCの結果を受けた相場よりも、トランプがツイートで一言発した内容で動く相場のほうがはるかに大きいというのも、困ったものです。
ドル安についても何か具体的な言及がでてくると相当なインパクトになりそうで、こちらも引き続き注意すべき状況です。
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- ヒンデンブルグオーメンが点灯した米株市場をどう乗り切るか(8/3)
- みるみるうちにまずくなる香港情勢~人民解放軍投入なら金融市場は壊滅か(8/2)
- FOMC0.25%利下げ実施~ただ催促相場のボタンもついでに押してしまったパウエル(8/1)
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2019年8月2日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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