お盆で家族が集まったら、ぜひ「終活」についても話し合う時間を取って欲しいと思います。財産の多寡にかかわらず、相続自体はすべての人に関係があります。(『こころをつなぐ、相続のハナシ』池邉和美)
1986年愛知県稲沢市生まれ。行政書士、なごみ行政書士事務所所長。大学では心理学を学び、在学中に行政書士、ファイナンシャルプランナー、個人情報保護士等の資格を取得。名古屋市内のコンサルファームに入社し、相続手続の綜合コンサルに従事。その後事業承継コンサルタント・経営計画策定サポートの部署を経て、2014年愛知県一宮市にてなごみ行政書士事務所を開業。
長子単独相続の時代は終わったのに、親側が知らないケースも?
遠回しに伝えてみる
お盆真っただ中ですね。当メルマガの読者様の中には、帰省中という方も少なくないのではと思います。
さて、この時期は毎年恒例でお伝えしていることではありますが、お盆にはぜひ、終活についても話し合う時間を取って欲しいと思います。
お盆は、家族が集まりやすい時期でもありますし、自然とご先祖様の話題になることもあるでしょう。
その流れで、継ぐ世代の方であれば、例えば、ご実家の土地建物について、「そういえばこの家って、代々のものなの? それともお父さんが建てたの?」といった話題や、「お祖父さんが亡くなったときって、遺言とか何かあったの? 最近テレビとかで良くそんな話聞くからさ」といった直球ではない話題から、ご両親本人の話にもっていくのも、1つかと思います。
また、関係性によってはもう一歩踏み込んで、「もしお父さんに何かあったら、誰に連絡すれば良いの? いざという時困るから、エンディングノートくらい書いておいてね」と言ってしまうのもアリでしょう。
もちろん、いきなり財産の話や遺言書の話をしてしまうとあまり快く思わない方も多いでしょうから、エンディングノートあたりから進めてみると、少しハードルは低くなるかと思います。
(「ちょうど、もらったから」等と理由を付けて、市販のエンディングノートを持参してしまうのも 1つでしょう。)
親側からは直球で
一方で、残す側の方であれば、ある程度直球に、「そろそろ終活を考えている」という話をしてみても良いかもしれません。
終活や相続についての話は、どうしても「死」というものと切り離せない話題です。
そのため、近しい間柄とはいえ、なかなか切り出せないケースもあるでしょう。
しかし、そうしたまま月日が流れ、話し合いができぬまま相続が起きてしまうと、結果的に争いになってしまったり、知らない借金の存在が発覚して対応に苦慮してしまったり、財産の在りかがわからず手続きが漏れてしまったり…といったトラブルに発展する危険性があります。
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「長子単独相続」の時代は終わった
いわゆる「長子単独相続」という、家を継ぐ長男がすべてもらう、という決まりは、昭和22年の改正でなくなりました。
今は、子である以上は、長男も次男も嫁にいった長女も次女も、また養子であっても、相続権はすべて平等です。
ところが、残す側の世代の方の中には、「そんなものは、家を継ぐ長男が全部もらうものだ」と漠然と思いこんでいるために、何も対策をしていないケースも多々存在します。
また、親としても長女としても「法律通り、平等にわけることになるだろう」と漠然と思っていたとしても、長男が「長男の自分が全部もらうべき」と考えているケースもあります。
もちろん、相続人全員が合意をすれば、長男がすべてもらっても、法律通りの分け方をしても、長女が全部もらっても、何だって良いわけです。
家族間で認識を合わせておく必要がある
しかし、家族間でこの感覚がズレていると、争いに発展しかねません。
その争いを防ぐためには、まず相続についての考えを家族間で、ある程度共有しておくことが不可欠です。
そのうえで、残す側と残される側との感覚にずれがある場合には、残す側の責任として、遺言書を残しておくべきです。
いずれにしても、財産の多寡にかかわらず、相続自体はすべての人に関係があります。
相続は、避けては通れません。
お盆に集まる際、ぜひ、終活や相続についても、思い出して頂ければ幸いです。
『こころをつなぐ、相続のハナシ』(2019年8月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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