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「日経平均の因縁場」1万6350円の考察/ソロスの中国観・原油相場観=山崎和邦

大人気メルマガ『山崎和邦 週報「投機の流儀」』のHTMLデラックス版が新登場!テキストメルマガではできなかったチャートや図解を用いた解説も掲載。今回の「わが追憶の投機家たち」ではこのデラックス版の最新号から、1万6000円台前半で膠着感を強める日経平均株価について山崎和邦氏の見通しをご紹介します。

※最新の書き下ろし記事(2/28公開)もぜひあわせてご覧ください
株安2大要因を覆す「理外の理」 マイナス金利と原油安、私はこう見る=山崎和邦

急落相場に一巡感も、上値追いはむずかしい状況

目先戻りの範囲は?

週末もザラバで付けたが16,473円、先日の16,350円、この辺は因縁場に当たる。下方への歯止めはかかったように見えるが上値は重いと見るべきだろう。

週末のCME日経先物は16,315円まで上昇しており、一時16,530円まで上昇する場面もあった。因縁場である。

28日から開催のG20会議もあり、新興国からの資金流出は止まない。特に産油国の日本株売りは続くであろう。要は原油価格次第だ。未だに年末水準の15%下に留まる。

図1 日経平均先物(30分足) 夜間取引ではレンジ上抜けを窺う動き

今後、上昇しても“所詮は中間反騰だ”が市場の共通認識だし、それが自己実現してしまうだろう。

戻りのメドは、下がった分(20,952円から見るか、12月1日の最後の2万円台20,012円から見るかにより多少違うが)の「3分の1戻り」とか、「黄金分割比の38%戻り」とか、良く見て「半値戻り」ではなかろうか。

大天井から見ると3分の1戻りは下げ幅は(20952円-14865円=6087円)だから、6,087/3=2,029円

12日安値14,865円+2,029円=16,894円

当面目先は16,894円であろう。週末ザラバ高値からあと400円で終わりである。半値戻りとすれば14,865円+6,087/2=17,908円である。2月1日の17,905円はまさしくこれに該当する。

この17,909円は全くのケイ線上の数値でるが、大和証券の言う「ドル円115円を織り込んだ企業業績のPER14倍は18,000円だ」のファンダメンタル説に符合する。

但し概ね相場は、「符合する数値は実現しない」という意地悪な生き物である。淋しい言い方だが筆者は部下が投信を売らねばならない立場ではないから思った通りを言う。

図2 日経平均日足チャートも戻り目途

以上は下値から計測したが、次は上から見るとこうなろう。

アベノミクス相場の始動点8,665円から6月大天井までの3分の1押し=16,857円
30年移動平均=16,843円
6月大天井から-20%=16,761円

NYではこの120年間に-20%は23回あり、それは下降相場に入ったとされる。このように16,700~16,800円は「因縁場」である。

図3 アベノミクス相場での節目

さて、もっと身近な現象から言うとこうなる。2月1日の17,905円から12日14,865円まで、正味10日立ち会いで1,000円大台を3回割って3,040円幅を下げた。

この12日間の激動から言うと半値戻りが16,385円に相当する。これがまさしく先週の週末を含めて2度挑戦して抜けなかったレベルだった。

Next: 週明け目先の市場見通しは?「個人はもちろん上値を追わない」


山崎和邦(やまざきかずくに)

1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。

大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。

趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。

著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)、近著3刷重版「賢者の投資、愚者の投資」(日本実業出版)等。

週明け目先の市場

個人投資家は、“ひるまず”長期投資方針で突っ込みは買ってくるが、勿論上値は追わない。従って、日経平均株価は1万6000円台半ばで上値の重い展開が続く半面、下値の堅さも目立ってきた。

最近の日経平均は、1万5,800円前後まで下げると岩盤に当たったかのように反発する展開が続く。オイルマネーの売りという強力な売り手は“健在”だが、割安株を拾う動きが支えにもなっている。

一方、日本株投信への資金流入が続く。今年1月のNISA口座による買い付け額は過去最高という。

野村総合研究所によるとETFを除く日本株投信は、純増(設定から解約・償還を引いた資金流入)が1月に3500億円強に達したという。

週末時点でPBRが1倍を下回る銘柄が証1部の55%も出た。理屈から言えば異常安である。
割安感は増す要因になる。

一方、騰落レシオは今年最高に100%の中立水準に戻した。急落相場に一巡感が出た。

短期的な「売られすぎ」の目安の70%を越えてきており、年初来の急落相場に一巡感が
出ている。

図4 騰落レシオ(25日)は昨年12月11日以来の100%水準超え

一方で、株数ベースで見た信用買い残はすでにアベノミクス相場の起点となった12年12月の衆院選時の水準まで目減りしている。

今後は戻り売り圧力が徐々に減ってくる可能性が高い。但し、原油価格が上昇しない限り、値段構わず“背に腹は代えられず”にオイルマネーは売ってくる可能性はあるし、その動きに“悪乗り”するヘッジファンドの動向は予測が付かない。

Next: 伝聞情報ながらジョージ・ソロスの中国観・原油相場観について



伝聞情報ながらジョージ・ソロスの中国観・原油相場観について

ヘッジファンドの帝王の名を冠せられて10数年前に一世を風靡して騒がれた、かのジョージ・ソロス氏に関する興味深い記事である(出典は株式新聞2月25日号であるが株式新聞は2008年4月1日をもってモーニングスターに吸収合併されているからモーニングスター社提供となる)。

米著名投資家ジョージ・ソロス氏が率いるソロス・ファンド・マネジメント(ソロス・ファンド)の15年12月末時点のポートフォリオが明らかになった。

2月16日に米証券取引委員会SECへ提出された四半期報告書には、約244銘柄の保有残高が記されている。

ソロス・ファンドは15年9月末-12月末にかけて、パイプライン大手のキンダー・モルガンや石油サービスのベイカー・ヒューズを新たに買い付け、エネルギー関連企業を組み入れた「SPDR S&P石油・ガス探鉱生産ETF」(XOP)の数量を増やした。<後略>

出典:ジョージ・ソロス氏、中国とフェイスブックを「売り」資源関連は「買い」

上記の記事を参照しながら、以下の図をご覧いただければと思う。

図8 ソロス・ファンドの組み入れた銘柄1

図9 ソロス・ファンドの組み入れた銘柄2

図10 ソロス・ファンドは資金シフトの動き

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