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何をどう買って売れば儲かるの?チャートを使った基本的な株式トレードの考え方=山田健彦

投資をするにあたって、誰もが気になるのは「何を買えば良いのか」ということです。しかし、それよりも大切なのは、売買をするタイミングを見極めることです。(『資産1億円への道』山田健彦)

株式投資というと、まずどの銘柄を選ぶかが注目されるが…

何を買えば良いのか、は永遠の悩み

先日、親戚の集まりがあって、筆者が投資関係のメルマガを書いている、という話をしたら「何を買えば良いの?」という質問を集中的に受けました。そのときは「今は何を買っても危ないので、様子見ですかね~」とお茶を濁しておきましたが、「何を買えば良いのか」は永遠の悩み事です。筆者も日々、悩んでいます。

ヤフーを持ち続けていたら

ヤフー<4689>という会社があります。1987年11月に1株70万円で公募し、初値は200万円でした。初値で売っていれば130万円の儲け(税金、手数料は除く)ですから、素晴らしいパフォーマンスです。

同社の株価はその後、2000年1月19日には1億140万円を付け史上初の1億円超の銘柄となり(1株の値段ですよ!)、翌月2月22日には株価は1億6千790万円を付けました。

初値の200万は3年もしないうちに1億6千790万円となったのです。

現在の株価は320円(2019年9月13日終値ベース)ですが、同銘柄は上場以降株式分割を繰り返し、上場当初1株を持っていた人が現在まで持ち続けていると、持株数は81万9,200株になります。

株価は見かけ上、320円に下がってしまいましたが、金額的には上場当初の200万円は約2億6,200万円超に膨れ上がったわけです。

これを読んで1987年に生まれていたらヤフーを買っておくんだったなぁ、と思った人も多いかと思いますが、株価というのは上がる時も下がる時もあります。

200万円で初値を付けた同社株はそれから数週間もしないうちに150万円付近まで値下がりしました。数週間で50万円も含み損を出したら普通の人は夜も眠れない日々が続き、株価が200万円近辺まで再上昇してきた段階で「あぁ、助かった~」と売りを出し「ヤフーなんてもう2度と買わないぞ!」と心に固く誓ったのではないでしょうか。

1つの銘柄を長期間持つ、というのは余程の勇気と忍耐が必要なことで「何を買えばよいか」よりは「いつ買い、いつ売るか」の判断のほうが遥かに重要なのです。

ルールはシンプルなのだが…

株式投資に限らず、投資のルールは実にシンプルです。「安いときに買い、高くなったら売る」ですが筆者はこれを少し修正して、

1.何を買うかをまず決める

2.どういうタイミングでどのくらい買うかを決める

3.どういうタイミングでどのくらい売るかを決める

としています。

何を買うか、まずは候補を絞る

まず「何を買うかを決める」ですが、これは何でも良いのです。

個人的に前々から気になっている銘柄、会社四季報で「最高益更新」などと好評価の銘柄、マネー雑誌や日経新聞、株式投資関連の業界紙やツイッター等で著名投資家がコメントしていたもの、ラジオ日経の番組でコメンテーターが言及していた銘柄等々情報源には事欠きません。

誠実なコメンテーターであれば、それらの銘柄に注目する理由も同時に伝えてくれます。その理由に自分自身が納得できれば「投資候補」としてネット証券の「お気に入り」に登録しておきます。

「お気に入り」に登録する銘柄を選ぶ方法としては、それ以外にも日々の出来高上位銘柄、値上がり率上位銘柄、売買代金上位銘柄などの取引データを継続観察してその中から決める、という方法もあります。

登録する銘柄数ですが、会社勤めの方などじっくりと銘柄研究をする時間的余裕がない方は10銘柄程度。多くても20銘柄は超えないようにします。それ以上登録すると、フォローするのに時間を取られ適切な判断ができなくなります。

この「お気に入り」銘柄ですが、随時入れ替えて構いません。入れ替え頻度としては週または2週間に1回位が適当です。入れ替える銘柄もあれば、引き続き継続ウォッチするものも当然あります。

大事なことは「お気に入り」に登録する銘柄数を増やさないこと。「お気に入り」に登録していないもので、どうしても気になる銘柄が出現した時は登録中のものと入れ替えして数は増やさないようにします。

なぜ「お気に入り」に登録している銘柄数を増やしてはいけないか、というとこれが増えていくと、人は何かと理由を付けて買ってしまうからです。

どんどん購入銘柄数が増えていき、全てをフォローしきれなくなり、結果気がついたらその殆どが含み損を抱えている、なんて状況に陥る可能性が大です。筆者の実体験からもそれはいえます(笑)。

要は自分が選んだ「お気に入り」銘柄に注意を集中し、周囲の雑音に惑わされないことです。

Next: 銘柄を選んだら、売買のタイミングをチャートでチェック



銘柄分析はチャートから

次に「お気に入り」に登録した銘柄分析を行います。これは後から振り返ることが出来るように、出来れば手書きでノートを付けることをおすすめします。

投資の教科書には業績の伸びや財務の安定性、PERやPBRなどのファンダメンタルをまず確認して…と書いてありますが、外部の不透明要素が多々ある現状では、ファンダメンタルの良さ(悪さ)と株価動向は少なくとも現在は殆ど関係がありません。

ですので、まずはチャートを見ていきます。このチャートですが、チャートには見方があります。

まずは長い期間を一番先に確認します。10年(それ以上あれば更に良い)の月足チャートを見て、その銘柄の株価は「最安値圏」、「最高値圏」等どの辺に位置しているのか確認します。

次に2年の週足。ここではトレンドを確認します。

上昇トレンドにあるのか、下降トレンドにあるのか、上昇トレンドにはあるものの、上昇の勢いが弱くなりつつあるのか、下降トレンドから脱しつつあるのか、などを確認します。

最後に過去6ヶ月の日足チャート。ここでは移動平均線の向きを重視します。最低限5日移動平均線が上向きで株価はそれより上に位置しているかをチェックします。

これらを眺めて「最安値圏から上昇に移行しようとしているのか」とか「最高値圏で足踏みしているのか」など大まかな判断をします。

昨今の株価はトランプ大統領の発言で上へも下へも大きく動く気まぐれ状態なので、これらの判断に時間をかけても意味はありません。直感的な判断で十分です。

大まかな方針としては、月足10年のチャートで株価が高値圏にあるなら、短期決戦で深追いはしない。

10年来の安値圏にあるなら、週足で上昇トレンドに乗っているかどうかを確認して日足チャートを見ながら参戦。

不安定な相場状況なので株価の位置が高値圏、安値圏のどこであっても、5日移動平均線が上向きから横向きに転じたら、または株価が5日移動平均線を大きく下回ったら、一旦撤退。再度株価が上昇してきたら再び参戦という作戦を繰り返し、小まめに利益を確定していきます。

参戦後、予想通り株価が順調に上昇してきたら、チャート上で5日、25日移動平均線との乖離率を確認し、過去6ヶ月間に乖離率がどこまで広がると株価が下落基調に転じたかをチェック。その辺りまで乖離率が広がったら、より頻繁に同業他社の株価動向や市場全体の株価の流れを見て撤退準備に入ります。ただ、そのような状況でも好材料や好決算が発表されると、さらに株価は上昇することも多いので直ぐに撤退する必要はありません。

完全撤退か部分撤退かはその時の市場の状況により判断します。

現状ではテクニカル分析は必要ない

ここまで読んでこられて「ボリンジャーバンドとか一目均衡表等のテクニカルは使わないのか?」という疑問を持たれた人も多いと思います。

トランプ大統領の一言や、どうなるか分からない香港情勢、迷走するブレグジット問題等々の市場外部の雑音が多々ある現状では、テクニカル分析は当てにならないと筆者は考えます。株価の方向性と勢いにのみ着目するチャート分析だけで今は十分戦えます

要は、その時々のマーケットの状況に応じて見るべき指標、戦い方があるということです。

(注)上記は筆者がある程度の確信を持って実践している作戦ですが、これが絶対で他の方法は全て間違っている、というつもりはありません。事実、筆者はこの方法で損を出して撤退した事もあります。またこの作戦は市場の変化に応じて少しずつ修正していっています。読者の方々のご参考となれば幸いです。

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image by : FTiare / Shutterstock.com

資産1億円への道』(2019年9月18日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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