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【9月米雇用統計】ISMなど先行指標はすべて低水準…いよいよ米経済も逆風の印象=ゆきママ

週明けは堅調な推移を続けていたドル円ですが、ISMショックで急落しています。そして、今日の雇用統計でどう動くのか、いつものように展望とトレード戦略を解説していきます。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

想定レンジは1ドル=105.50~107.50円、今夜のトレード戦略は?

今週の相場の振り返り、3つの経済指標がドル円を下押し

堅調な値動きを続け、9月高値を抜けていよいよ一段高…かに見えたドル円ですが、上値を叩かれて大きく下落する格好となっています。

まず、決定的だった第一弾の下落材料が1日(23:00)にISM(米供給管理協会)が発表した9月の製造業指数。なんと47.8ポイントと2009年6月以来、10年3ヵ月ぶりの低水準でした。

前月も49.1ポイントと景気拡大・縮小の境目とされる50.0ポイントを2ヵ月連続で下回っていることから、いよいよ米経済にも逆風という印象が強まる結果となりました。

そして、第二弾が翌2日(21:15)に発表された民間会社の発表したADP雇用報告で、9月分は事前予想値をわずかに下回る程度でしたが、前月分が大きく下方修正されたことも合わさって下落要因となりました。

もっとも、これまでであれば+10万人以上の増加であれば、そこまで相場に影響しませんでしたが、米国の景気がどうなるか非常に注目が集まる中で、センシティブに動いたと言えるでしょう。

最後に第三弾が3日(23:00)に発表されたISMの非製造業部門の指数ですね。事前予想値の55.0ポイントを下回る52.6ポイントとなり、約3年ぶりの低水準となりました。

致命的に悪いというほどではありませんが、米経済活動の70%近くを占める非製造業部門の数字は非常に重要な意味を持ちます。

これまでは製造業の数字が弱くても、非製造業の好調さが引っ張る形で相場をリードしてきましたが、それも終わってしまうかもしれません。

米経済は大丈夫?ドルを買うインセンティブは依然として高いが…

これら3つの経済指標の下振れを受けて、ドル円は急落、そして今回の雇用統計は久々に非常に大きな意味を持つ大注目のイベントとなるでしょう。

理由は言わずもがなで、米経済に対して疑義が生じ始めているからです。これまでは多少悪い結果、数字になったとしても、そこまで問題視する向きはありませんでした。トレンド的には大丈夫だから、翌月の数字を冷静に見よう、そんな雰囲気だったように思います。

しかしながら、今週のADP雇用報告に対する反応を見るに、いよいよ米経済に対して警戒
するようになりつつあります。

もっとも、ドルを買うインセンティブそのものは依然として高いですから、数字が良ければ一旦は買い戻されることでしょう。

欧州はリセッション(景気後退局面)を警戒しなければならないほど景気が弱い状態が続いており、中国ももはや成長は止まり下り坂、日本は言わずもがな。

さらに、金利を見ると、いつの間にか主要国ではアメリカがダントツで高いですからね。皆さんも自身の使っているFX会社のスワップポイントを確認してみましょう。

今や米ドルは、高金利通貨と言われた豪ドルやNZドルの3~4倍近いスワップポイントがもらえるようになっています。

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先行指標は全体的に悪化!強気になれる根拠はほとんどなく…

それでは、先行指標の数字を見ていきましょう。残念ながら、強気になれる根拠はほとんどありません。

図1:先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

新規失業保険申請件数は低下傾向ですが、やはりISMの雇用指数が製造業でも非製造業でも大きく落ち込んだのはマイナスでしょう。

特に非製造業の雇用が最近の雇用統計を引っ張ってきた原動力でもありましたから、これが弱いのは致命的と言えるでしょう。

事前予想値はまずまずの数字が並んでいますが、これを大きく割り込んでも驚きはありません。

今夜の想定レートは105.50~107.50円!下方向へ走る可能性に警戒

今回は予想を下回る可能性が高く、非農業部門雇用者数も平均時給も事前予想値を下回る結果(非農業部門雇用者数+10万人前後以下、平均時給・前月比+0.2%以下)になれば、ジリジリと下げて106円台を割り込む可能性は十分です。

図2:ドル円(日足)チャート

106.00~107.00円にかけては8月に停滞した水準でもあるため、なかなか下げ切らないかもしれませんが、弱い数字となればジワジワ下げやすく、ショート・戻り売りが基本となるでしょう。

発表前に107円台に頭を出しているなら、ショートして売りポジを持ったまま発表を迎えても良いでしょう。好結果でも初動で伸ばせるのはせいぜい107.50円ぐらいがいっぱいと考えています。この場合、予想を上回る数字が出れば一旦損切りして様子見です。

予想を下回る数字を確認した場合は、軽く売りつつ106.00~106.50円のサポートゾーンを抜けきれるかどうか見ながらホールドして利食い場を探せば良いでしょう。

ただし、週末ですし、下げ渋るなら早めに利食いしておきましょう。株価を支えるために、そろそろトランプ砲も出てきそうで、イレギュラーな瞬間的な反発には注意しておきしょう。

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image by : kitzcorner / Shutterstock.com

本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年10月4日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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