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アベノミクス景気は史上最長の83ヶ月目に突入、前車の轍を踏んだ安倍長期政権の功罪=山崎和邦

安倍政権に「飽きが来た」とか劇場型政治に走りつつあるとか色々な批判はあるが、経済の面だけに目を向ければ目に見える実績があったことは否めない。(山崎和邦)

※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年10月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

安倍首相の在籍日数記録は11月で歴代1位へ

史上最長記録を更新し、83ヶ月目を迎えるアベノミクス景気

景気動向指数から客観的に見る今回の戦後第16回目の景気循環は、アベノミクス相場の株価上昇から1ヶ月遅れて始まり、今月で83ヶ月目を迎えた。

安倍政権に「飽きが来た」とか劇場型政治に走りつつあるとか色々な批判はあるし、本メルマガでもそれは述べてきたが、2012年12月の選挙の当時「経済を取り戻す」とクリントンと同じことを言って発足した安倍政権であるから経済の面だけに目を向ければ歪みは出てはいるものの次のような目に見える実績があったことは否めない。

1:80円台だった円高を大幅に是正し、輸出企業を中心として企業業績は伸びた

2:経常利益は約2倍になった

3:雇用が大幅に増加し戦後最高の就職率となった

4:企業は利益剰余金が470兆円に至り、その増加分と減価償却費の7割を設備投資に投入し投資主導型景気をもたらした

5:財政赤字を削減した・景気拡大による税収増大と14年の消費税引き上げによる税収増加によって国家の税収は史上最高を更新した

6:上昇分のほとんどは国債減額に充当した末、財政赤字は大幅に改善され、財政規律を取り戻しつつあるという現象を呈した

安倍政権に対する批判は数々あるが、具体的に経済だけに絞ればこのような成果はあったことは事実だ。

最長期政権を記録する安倍政権

安倍首相の在籍日数の記録は、2019年6月7日をもって初代総理大臣伊藤博文を抜き歴代3位となった。さらに8月24日には、佐藤栄作を抜いて戦後1位となった。11月20日には日露戦争時代の桂太郎を超えて歴代1位になる公算が大きい。

それにしても初代伊藤博文を抜いて、戦後最長の佐藤栄作を抜いて、史上最長期の桂太郎を抜いて日本史上の最長期政権となるが、この4人が全て山口県出身というのは妙なものである。

安倍首相は政権発足早々、小泉の靖国神社参拝で冷え切っていた日中関係を改善するためにいち早く中国を訪問し、中国側を「氷を溶かす旅」として大歓迎した。

これが03年に小泉が窮余の一策として若くて人気上昇中の安倍を選挙戦の顔となる幹事長に大抜擢し、その後すぐに総理大臣になった。その直後にやった行動であり、「前車の轍」を踏んだ大失政から始まった。首相に就任して「美しい国づくり内閣」と命名した。「美しい国、日本」などという情緒的なタイトルを付けた本も出した。

ここに経験不足とキャリア不測の象徴を見ることができた。

しかし、2012年に満を持して首相に就任した際には5年間の雌伏期を経て、3年間の民主党時代の政治不作為の失敗を学んだ

そして、シニア・ブッシュの経済政策の失敗を学び、クリントンの「俺は経済で行く」“It’s Economy ! Stupid!”を真似て「日本を取り戻す」(民主党から政権を取り戻すのではなくて「日本を取り戻す。経済を取り戻す」と言って「三本の矢」という判りやすい3つの政策を立てた

アッという間に日経平均は8割上昇した。70円台後半だった為替はアッという間に125円台を示現した。

Next: この先、安倍政権がやっていくべきこととは…



対中国外交で前車の轍を踏むな

中国政策の外交についての日本の大失政の件は、平成初年の海部内閣と宮澤内閣であったことは既報で2度ほど述べた。米国も同様である。前車の轍を踏んでいる。

クリントン・オバマに限らずニクソン以降の米政権は対中神話政策をとり、それは当時まだ勢いがあったソ連と中国が組むことを恐れたからである。だから米側に引き付けておこうということである。しかし、結果的には日本と同じ轍を踏んだことになる。

この前車の轍はトランプの失言によってようやく目覚め、10年後には経済でも軍事でもアメリカを追い越すという追尾国に対する被追尾国のやるべきことをトランプは貿易面に絞ってやっているのだ。

火力を使ってやるわけにはいかない。一帯一路政策を支持するなどということを迂闊に言えば、これは自動的に反米政策をとることに他ならない。それでもいいと言うならば話しは別だが、中国・アメリカ両方ともにうまくやっていこうというのは甘い。そのようなことができるはずがない。どちらにつくか考えるしかない。

伝説づくりに勤しむな。地道に内政のやるべきことをやれ

伝説づくりは「改憲」ではない。国民が必要とする改革を進めることだ。そして「3本の矢」の中でやってない3本目(成長戦略)に方向性だけでも着手することだ。さいわい、農業の輸出だけは安倍政権中に約2倍にした。

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第1部;当面の市況

第2部;中長期の見方

第3部;「長期投資のヒーロー」で通ってきた澤上篤人氏(★註)の意見を要約する

第4部;安倍長期政権の功罪

第5部;読者との「関電株についての」交信蘭し

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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年10月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2019年10月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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