企業所属の技術者としては2人目のノーベル化学賞を吉野彰さんが受賞されました。海外では技術者の評価は高いですが、日本ではどうなのだろう?と思います。(『証券アナリスト武田甲州の株式講座プライム』)
※本記事は有料メルマガ『週刊 証券アナリスト武田甲州の株式講座プレミアム』2019年10月14日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
高い技術を持った技術者は、報酬が高額な海外企業に流出
日本人で企業所属のノーベル賞受賞は2人目
旭化成の名誉フェロー吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞されました。
企業所属の方がノーベル賞を受賞するのは島津製作所の田中フェロー以来、日本では2人目です。
2人とも科学者というよりも「技術者」ということに誇りをもって仕事に打ち込んできたということだと思います。
海外では技術者の評価は高く給与も高めの水準ですが、日本ではどうなのだろう?と思っています。
日本の製造業は多くの企業が技術力を誇ってはいますが、その技術力の源泉である技術者に正当な報酬を払っているかは疑問です。
なぜなら日本企業の技術者が退職後に高額の報酬で海外の企業に転出する例が結構あると聞いているからです。
日本企業は価値創造に貢献した技術者に対して、相応の報酬を払っていない。
世間の人は最終的には、その人がどれだけの報酬を得てどんな暮らしをしているのか?とか、社会でどのように敬意を払われているのか?ということに関心を寄せます。
技術者の報酬水準が高く、社会的にも敬意が払われているなら、将来技術者を目指そうという子供たちが増えます。
どうも日本ではそういう社会にはなっていないようです。
そのため、日本企業の技術力は相対的に低くなってきています。高い能力をもった技術者は正当に評価してくれる外国企業にどんどん流出しています。
日本企業でもソニーやNECが新卒技術者に高い報酬基準を設定したというニュースが流れました。この流れが一般化するなら日本の社会も変わっていくはずです。
吉野氏のノーベル化学賞受賞がきっかけとなることを期待したいと思います。
このままでは、日本も日本企業も衰退するばかりです。日本企業が伸びるためには世界で人材獲得競争に勝つことが絶対に必要です。そのためには報酬体系を変えるしかないのす。
ファーストリテイリングの柳井社長は「このままでは日本は滅びる」とおっしゃっていますが、まさにその通りです。
世界中の優秀な人材を取り込んでいる。
だからファーストリテイリングの業績も株価も好調ということを再認識したいところです。
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『証券アナリスト武田甲州の株式講座プライム』(2019年10月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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証券アナリスト武田甲州が、経済やマーケットの先読み・裏読み情報を毎週月曜日に発行。2008年3月のセミナーでは米国で最大300兆円の公的資金投入を予想。2008年9月末時点で米国のゼロ金利、量的緩和政策実施を予測するなど大胆な未来予測情報もあります。