韓国経済は明確に不調だ。日本製品の不買運動を続けているが、庶民の生活は日に日に苦しくなっており、やがて日本製品を買いたくても買えない状況がやってくる。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2019年10月20日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
雇用だけが不自然に増加?なんとしても不景気を隠したい韓国政府
3つの要素「貿易・投資・雇用」を見れば韓国経済がわかる
今回は韓国の最新統計を見ながら、現在の韓国経済の現状を分析していく。
まず、最初に述べたいのは、韓国経済の現状を知るには「3つの要素」を見ればほぼ間違いないということだ。
実際、私はここ11年ほど見てきたが、これらの3つの要素に関わる数値を分析していくことで予測はかなりの精度となっている。
さて、前置きはこれぐらいにして、3つの要素とは「貿易」「投資」「雇用」である。
貿易は「不況型黒字」へ
韓国は貿易で国の経済がほぼ成り立っているので、輸出と輸入の増減は特に重要だ。
そこでよく出てくるのが「貿易黒字」というやつだが、韓国は62ヶ月連続で達成している。
しかし、貿易というのは輸出が減っても、輸入がそれ以上に減れば黒字になるのだ。このため、韓国では「不況型黒字」と呼ばれることが多い。不況型黒字というのは、経常収支が黒字であるにも関わらず、不況の状態であることをいう。
不況型黒字というのは、先ほどの輸出と輸入の増減以外にも、国内消費の落ち込み、為替レートの変化、原油価格なども影響する。ただ、詳しく解説していると進まないので、割愛させていただく。
参考までに、今年の9月までの輸出増加率は-9.8%となっている。
設備投資はどんどん減っていく
次は「投資」を見ていく。
投資で重要なのは、主に企業の設備投資だ。設備投資は、企業が新工場の建築などで建物・機械などに使う投資のことを指す。
韓国の貿易というのは、いわゆる加工貿易である。つまり原材料や機械などを輸入して、それらを使って製品を組み立て完成させて、他国に輸出する製造業が中心となっている。韓国が組み立て工場と呼ばれるのはそういうことだ。
詳しく補足したのには理由があって、韓国国内には原材料(主に原油など)がないので、製品を造るにはどうしても他国から輸入する必要がある。つまり、輸入が減れば、韓国の製造業が不調かどうかがわかるのだ。
在庫があまっているなら企業は生産数を減らす。つまり、売れてないので新しい製品が造れない。そうなると、輸入が減るということだ。
そして、輸入が減れば、設備投資が減ってくる。今年8月までの設備投資は-11.2%となっている。
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産業用電力使用量、12ヶ月連続で低下
ほかにも経済状況の特殊な測り方として、「産業用電力使用量」というものがある。
これは中国のように統計が信じられない国で、経済の状況を知るためにも使われているが、韓国の場合はこの電力使用量でもはっきり「不調」と出ている。
少し、朝鮮日報から引用しよう。
産業用電力は鉱業、製造業およびその他産業に使用され、国内の電力消費全体の約57%を占める。
通常電力需要は国内総生産(GDP)と正比例する傾向があるため、産業用電力需要の減少は、経済成長率の低下や景気低迷が本格化する指標の一つとされる。
実際に韓国の製造業生産能力は昨年8月から12カ月連続で低下している。7月の産業生産能力は前年同月を1.6%下回った。
しかし、このように大々的に公表すると、次に韓国政府は無駄に電力消費量を上げようとするかもしれない。
大学の部屋の電気を消す仕事をむりやり作った韓国政府が逆のことをするはずがないと普通は思うが、今の韓国政府は見せかけだけの数値にこだわるので、誤魔化すためなら何でもする。
それが雇用の不自然な増加だ。
雇用だけが不自然に増加
雇用の重要性についてはもはや語る必要はないだろう。雇用が増加すれば、経済にとってはプラスになるのが普通だ。ただし、それには2つの条件がある。
1つは、雇用を生みだした主体が(税金を使っただけの)政府機関ではないこと。2つ目は、その雇用の経済効率性である。
雇用の数値でいえば、1月~9月までの雇用は25万人も増えたのだ。
だが、輸出と設備投資が減っているのに、雇用だけが増加するのには当然、カラクリがある。
高齢者にほとんど無意味な仕事を作って、税金を使って一時的に雇用しているだけである。
公園の掃除や大学の電気を消すなどという作業が、生産性を高めるはずがない。
逆に、製造業や金融業の働き盛り世代の雇用は減少している。民間雇用はまったく増えていないのだ。
もちろん、不況対策として、アメリカのニューディール政策といった大規模な公共工事が悪いというわけではない。
それ以前に高齢者雇用は生産性がないのだ。まだ公共工事で潰れかかった造船業に潜水艦でも造らせているほうが、よほど経済的に効果があるだろう。
Next: 韓国庶民はさらに苦境に?ついにデフレの兆候も出てきた…
デフレの兆候まで出てきた
以上、貿易・投資・雇用の3つの要素を最新統計も加えて解説した。これらだけを見ても、明確に韓国経済は不調である。
さらに、ここからデフレ傾向も出てきたので、韓国庶民の生活はますます苦しくなっていくことだろう。
デフレなので、逆に高所得者は有利となる。すると、経済格差がますます顕著になっていく。
日本製品の不買運動を続けている韓国人だが、一部の日本人からこう思われている。「そのうち、日本製品を買いたくても買えなくなる」「ウォン安、円高で日本旅行したくてもできなくなる」と。
それに気付いている韓国人は少ない。だから、どうなるかをこれからも注目していきたい。
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・未だに底が見えない韓国の不況に強まるデフレ傾向(10/20)
・9月末を無事に乗り切った韓国にチョ・グク法相を巡る内戦が勃発!?(10/13)
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『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』(2019年10月20日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による
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数年ごとに起きるデフォルト危機。世界経済が後退すれば、投資家が真っ先に資金を引き揚げていく新興国市場。輸出依存が96%という恐ろしい経済構造。ヘッジファンドに玩具にされる韓国市場。中国の属国化へと突き進む2014年。並行してスタグフに悩まされる現実。そして、1100兆ウォンを超え、雪だるま式に膨らむ家計債務の恐るべき実態。経済の問題点とは何なのか?なぜ、また、第四次経済危機が迫っているといえるのか。それは読めばわかる!投資、ビジネス、教養、雑談ネタにも最適な、最も韓国経済の実情を知ることが出来るメルマガ。