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個人投資家は大口の売買に逆らうな…機関投資家の売り買いを見極める歩み値の見方=山田健彦

前回は、良さそうな銘柄を見つけても直ぐには買い出動はしないでおく、という判断をする根拠となるチャートの形状の例をいくつかご紹介しました。今回は、売買タイミングをさらに補強する歩み値の見方をご紹介します。(『資産1億円への道』山田健彦)

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「押し目買いのチャンス!」「そろそろ底入れ」の甘い言葉に注意

トレードは、流れに乗っていく方が楽

皆さんは株式投資をする際に株価が上昇トレンドにある銘柄と下落トレンドにある銘柄、どちらが好きですか?ただし、積立投資の場合は除きます(積立投資は超長期投資なので、上昇トレンドの時も下降トレンドの時もあるため)。

好き嫌いでいえば、筆者はどちらかというと下落トレンドにある銘柄の方が好きです。より正確には「下落トレンドを脱して底値固めを終え、上昇トレンドに移行しそうな銘柄が好き」ということですが、これは予想が当たれば儲けは大きいのですが経験上、失敗する確率も高い手法です。

大体の場合「上昇トレンドに移行しそうなんだけど、結局そのまま失速して再度下落トレンドに陥る」というパターンをたどります。

下落トレンドを脱して上昇トレンドに反転するためには、少なくともそれまでの3倍以上の買いエネルギーが必要でこれには機関投資家などからの大口の買いが断続的に入らないと無理です。

なので、筆者は不本意ながら(?)株価が上昇トレンドにある銘柄に投資する事を鉄則としています。

何といっても個人投資家は上昇トレンドの流れに乗っていく方が楽なのです(無論、それだって全て成功するわけではありません)。

SNSや株式評論家の諸先生の「良い所まで下がってきた!」「絶好の押し目買いのチャンス!!」「そろそろ底か?!」等という甘い言葉には注意しましょう(笑)。

大口の買いを見分ける方法

上昇トレンドと思われる銘柄で、そこに大口の買いが入っているなら、流れについていく投資手法の成功確率は高くなります。

株式投資の教科書には大口の買いを見極める方法として「出来高が継続的に増加しているか確認…」などと抽象的な表現で逃げているものが殆どですが、それを直接確認する方法として「歩み値」データがあります。

この「歩み値」データは前回前々回にお伝えした売買代金上位、出来高上位、当日の始値からの上昇率上位などの各種ランキング情報とチャートの形状分析からの銘柄選択手法を補強するものになります。

銀行、証券、投資信託、生損保、年金財団など機関投資家と呼ばれる大口投資家は、その運用資産が大きいので一回の投資行動で動かすお金も個人投資家とはスケールが違います。感覚的にはワンショット一千万円以上の単位で断続的にお金を動かしている、と思われます。

Next: 大口投資家が買いで入ったか、売りで入ったかをどのように確認するのか



ワンショット一千万円以上の取引があるかを歩み値で確認

ある銘柄で「歩み値」情報を引き出しワンショット一千万円以上の取引があるか、見てみます。株価が千円ならワンショット一万株以上の取引が「買いで入ったのか」、「売りで入ったのか」を確認します。

そしてその銘柄のその日の株価が前日比でプラス、出来高も前日より増えていたのなら、大口の買い注文が明日以降も入る可能性があるかも、と判断できます。なぜなら機関投資家の買いは数日から数週間に渡り断続的に続く事が多いからです(あくまで可能性としての話です。絶対、という訳ではありません)。

逆にワンショット一千万円以上の単位で「売り」が断続的に出て、その日の株価が前日比でマイナス、出来高も前日比で増えていれば、機関投資家の銘柄入れ替えによる大量の売却があったかも、と想像でき、その場合は翌日以降も株価は下げていく可能性が大です。これらは、あくまで「可能性」ではありますが…。

以下、例をあげますが、これらの例は筆者が「買った方が良いよ」とか「売った方が良いよ」と言っているわけではありません。あくまで考え方の例をお伝えしています。

《例1》

10月18日(金)に東証一部の出来高ランキング4位に入ったSUMCO<3436>は、前場と後場の寄付き、それぞれの大引けを除きワンショット3万株以上の取引(金額にして約5千4百万円以上)が29回ありました。

そのうち直前の取引価格より上値で取引された、つまり買いが優勢の取引は12回、逆に直前の取引価格より下値で取引された、つまり売りが優勢の取引は6回。買いと売りの綱引きの結果、株価は対前日比73円(4.25パーセント)のプラスで終わりました。

《例2》

逆にワークマン<7564>は、ワンショット5千株(金額にして約3千8百万円以上)の取引が23回あり、その中で買いが優勢の取引は3回。売りが優勢の取引は10回。株価は対前日比で840円(10.01パーセント)の下落でした。

ワークマンの場合はおそらく、機関投資家の銘柄入れ替えによる売却が出たのでは、と思われます。

いずれにせよ、ワンショットで3千万円や5千万円もの取引を断続的に行えるのは機関投資家しかいません。この流れに逆らって投資するのは賢明ではありません

このように売買代金上位ランキングを始めとする各種ランキングとチャート分析をもとにした銘柄選定方法を補強する材料として「歩み値」が使えるのです。皆さんもご自分の気になる銘柄でチェックしてみてください。

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image by : Lightspring / Shutterstock.com

資産1億円への道』(2019年10月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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