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中小型株はいつ買えばいい?活況になったタイミングを読む、出来高増加の変化の見方=山田健彦

前回は、機関投資家と呼ばれる大口の投資家動向を読み解くカギとして「歩み値」の見方をお伝えしました。今回は、中小型株への向き合い方をご紹介します。(『資産1億円への道』山田健彦)

【関連】個人投資家は大口の売買に逆らうな…機関投資家の売り買いを見極める歩み値の見方=山田健彦

中小型株の買い時は出来高を使って見極める

株価で景気を支える?

投資の教科書には「株式市場は経済の鏡」とか「株価は長期的には経済動向、企業の業績動向を反映する」と書いてあります。つまり株価動向は経済活動の良し悪しの結果であって、株価の動向が経済、企業業績に影響を与えることはない、ということです。

しかし、ここ数年の各国中央銀行の金融政策を見ると、どうも「株価を意図的に押し上げることで経済を活性化させよう」と考えているとしか思えない行動が多々見られます。

2008年のリーマンショックを契機としてそれ以降、日本、ヨーロッパ、アメリカの中央銀行の総資産は大量の国債買い入れ等で資産を膨らませ、それに呼応してMSCI World indexも上昇しています。
※参考:MSCI World indexとは‐iFinance

2009年から直近までの日、欧、米の中央銀行の総資産合計は全体で約3倍に膨らみ、その間にMSCI Worldindexは約2.8倍に伸びました。株価が経済のファンダメンタルに呼応して上昇したのではなく、各国中央銀行が株価上昇を意図して市場に資金供給をした結果です。

このように考えると市場を取り巻く環境の不透明感は引き続き残り、株価の多少の乱高下はあるものの、株式市場の将来は、そう悲観するものでもないような気がしてきました。

前提条件は来月中旬にチリで開催される予定のAPECで米国と中国が貿易問題に関する合意文書に署名する、という期待ですが、これが延期またはご破算になると、話は全く変わってきます。ただ、今のマーケットはこの前提は崩れない、という予想で動いているようです。

Next: 中小型株の買い時を見極める、出来高の見方



中小型株に対する考え方

過去3回お伝えした「売買代金上位銘柄」、「歩み値」データに基づく売買手法は、上場している市場が東証一部・二部、JASDAQ、マザーズ等の区分に関係なく比較的時価総額が大きな銘柄が投資候補銘柄としてあがってくるものでした。

たまたま「中・小型株にはどう向き合うの~?」というご質問をいただきましたので、筆者なりの考え方をお伝えします。

まず中小型株の特徴として、発行済株式数が少ないうえ、創業者等の持分比率が結構大きく、浮動株(頻繁に売買されると想定される株)が少ないのが特徴です。その結果、株価は上昇するときも下落するときも割と派手に動きます。

浮動株の調べ方ですが、浮動株比率(浮動株÷発行済株数)は会社四季報に出ていますが、四季報の浮動株の定義は「1単元以上50単元未満の株主の保有持株数の合計」です。J-REITなど特殊なものを除き1単元は100株なので、四季報の浮動株の定義は5,000株未満の株主の保有持株数の合計です。

個々の会社でも浮動株と思しき「個人その他」の保有株数、保有割合が有価証券報告書の「所有者別情報」の中でレポートされています。ただ、会社四季報の数値と個々の会社が開示する「個人その他」の所有割合の数値は大きく隔たりがあるのが普通で、どれが正しい浮動株のデータなのか、は不明です。

また個々の会社の有価証券報告書を一つひとつ確認していくのは手間なことと、幸い四季報ベースのデータならボランティアの方が集計してくださっているので、こちらを使わせて頂くのが良いかと思います。
※参考:浮動株比率 検索フォーム

ここから浮動株数を見つけ、マークしている中小型株銘柄の一日の出来高が浮動株数の15パーセントを超える日が断続的にあれば、取引が活況に入ったとみなしても良いのでは、と個人的に考えています。

いずれにしても、既にお伝えしたとおり「売買代金上位銘柄」ランキングの中に入っている銘柄の中から、チャート的に上昇トレンドを描いているものに的を絞る、という大原則は変わりません。

また、くどいようですが中小型株は、その浮動株数の少なさから株価の上下が激しく撤退のタイミングを間違えると思わぬ損失を被ることがあるので、深追いは禁物です。

<投資候補銘柄の見つけ方 1~3回目>

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image by : Virojt Changyencham / Shutterstock.com

資産1億円への道』(2019年10月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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