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「優良株信仰を捨てよ」投資家が心に留めておくべき8つの相場格言=櫻井英明

「値上がり株より商いの出来る株を買え」、「優良株信仰を捨てよ」の意味するところとは?株式投資をするうえで知っておきたい8つの相場の格言を紹介します。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)

株式投資に役立つ「格言八策」を解説

「値上がり株より商いの出来る株を買え」

これはなかなか理解しにくい言葉。

ただ、数十億円程度のトレードを経験すると必ず納得できる言葉でもある。1日に5万株しか売買のない銘柄を50万株買うときの辛さ。自分の買いで株価は上がり、自分の売りで株価が下がる。こんなことでは投資自体が覚束ないことは必定。もっとも上昇してくれば商いを伴うものでもある。要はたとえ小口の商いでも「流動性」の問題には常に注意が必要というころ。

「優良株信仰を捨てよ」

「良い株」という定義が非常に曖昧なので、「優良株」という定義も曖昧。「儲かる株」が「優良株」。誰が見ても非のつけどころがない銘柄でも上昇しなければ優良株ではない。

そして売り方にとっては、悪材料満載の銘柄ほど「優良株」たりえるに違いない。

「理屈と人気から離れよ」

専門家氏のとうとうとした相場論、あるいは材料話法。これがしばしば理路整然と間違うのは経験則。

そして、人気沸騰銘柄への商い集中以降の株価推移は「宴の後の悪魔」的動き。これに乗らない戦法こそ勝利への近道であろうか。

「貧乏神を呼ぶ過剰売買」

相場で登場して欲しくないのは当然ながら貧乏神。過剰売買が必ずしも貧乏神を呼ぶとは限らない。しかし、よく遭遇するのは「売った銘柄が上がり、買った銘柄が下がる」。資金枠一杯での投資では、かなり高い可能性でこうなることが多い。

死んだ子の年を数えるのではなく、親の死に目に会えないのでもない。必要なのはお金と心の余裕ということだろう。

「株価は企業の将来を映す鏡」

そう言われれば、頭脳では理解するもの。しかし、体が理解したかどうかは微妙。「将来を買っている」と言いながら目先の株価動向に一喜一憂するのが常

だったら…、将来を買っているなんて言い訳をせずに、目先の動きに期待しているということを馴染ませるべき。目先株価動向が堅調なときには「将来を買っている」なんて言葉は決して登場しないもの。本来的な意味で「将来を買う」のなら、それはそれでとても大切な動作になる。

Next: ESGよりも役に立つ、銘柄選びに重要な「ヒミツ」とは?



「相場の極地は手仕舞いにあり」

相場に勝つのは売り上手」という言葉がある。たしかに買うときには相当な準備をして臨場するのに比べ、売って手仕舞うときはほぼ準備なし。本来は買い4割、売り6割程度の細心さと用意周到な売りシナリオが望まれる。

買いではなく売り場面の想定をした方がパーフォーマンスは上がるような気がする。買った途端に塗炭の苦しみ、あるいは買って満足では話にならない。

「売り損ないの後悔は苦痛」

後悔に二つあり」と言われる。

一つは、もう少し待てばまだ利益が乗ったのに、下げの不安から売り急いでしまって儲け損なったときの後悔。もう一つは、株価が上昇したのに売り惜しみしているうちに株価が下がりはじめ売り場を失い、あげくの果てに損失まで出してしまったときの後悔。

二つ目の後悔は利益を出せたはずなのに気がつけば損失。これは泣くになけない。もっとも、上昇の極地を待って下げ始めたら即刻売るというスタンスの方が逸失利益は少ないかも知れない。

「一割三割」

株価の決定要因で影響の大きいものは需要と供給のギャップ

需給バランスに1割のギャップが出ると、株価の変動幅が3割になるという意味であろう。解釈すれば好材料が出たときに、買いが5%増え、売りが5%減り、需給のギャップが10%になったとき株価は30%押し上がるということ。少しのバランスの変化が大きな株価インパクトになる。需給ギャプによる大幅な株価上昇を市場全体の動きと思い込んではいけないという教訓。なかなか難しいが冷静な判断こそ転ばぬ先の杖になる。

株を買うという行為と株価を買うという行為は似て非なるもの。株価を買う場合には面倒くさい指標などは必要ないのかも知れません。

「自分は株を買っているのか。そうではなくて株価を買っているのか」。

この区別を明確にすることも結構大きいです。多くの方は「株を買っている」と思いながら実際の行為は「株価を買っている」もの。株価を買っているのならこういった思考法ではなく、違ったシナリオが必要。時間軸は短くすることが必要です。

株価を買っているのに、株を買う指標を使っているとなかなか相場では勝てません。「短期投資は株価を買い長期投資は株を買い」みたいな思考法を持ちましょう。

「現象的、近視眼的、短期的」ではなく「本質的、多面的、長期的」。これは投資判断の原則にもつながる言葉です。

あれこれ迷うのが、どの銘柄を買うかの結論。

常識的な報道規範とモラルを持ち、明確な未来予測図が描かれているか」。あるいは「社会に必要不可欠な存在と認められてもらえるかどうか」。あるいは「投資家が夢を感じられて好きになってもらえるかどうか」。

ESGなどのお題目より役立つと考えます。そして自分の投資資金の範囲で考えるよりは、そこから離れて銘柄を考えるクセを付けることも大切です。

「ESG」がアルファベット。これに「ヒミツ」を加えれば万全になる。

ヒ=必要不可欠
ミ=明確な未来像
ツ=強い技術、強い営業力、強いトップ

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image by : Nastyaofly / Shutterstock.com

「兜町カタリスト」』(2019年11月7日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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