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大幅反落した金は徐々に底値固めして上昇へ、原油は高値圏で楽観が広がるも波乱含み=江守哲

金相場は米中貿易協議に対する楽観的な見方や、景気減速懸念が後退したことを受けて大幅反落。原油は需要の見通し改善さが材料視されて高値圏を維持しています。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2019年11月11日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

コモディティ市場~金は大幅反落、原油は高値圏

16年11月以来、金は週間ベースで約3.4%という大きな下落

金相場は大幅反落しました。米中貿易協議に対する楽観的な見方や、世界的な景気減速に対する懸念の後退を受けて、市場ではリスク資産に対する投資意欲が高まり、安全資産とされる金への投資意欲が減退しました。週末には一時8月5日以来の安値となる1,455.80ドルを付けました。週間ベースでは約3.4%下落し、16年11月以来の大きな下落率となりました。

しかし、ホワイトハウスの報道官は、米中貿易協議が合意に至れば制裁関税が解除される可能性があるとしましたが、トランプ大統領は「対中関税の撤回には合意していない」と発言するなど、貿易協議の不透明感も残っています。

世界最大の金上場投資信託(ETF)であるSPDRゴールドトラストの保有高は、11月1日の914.67トンから8日には901.19トンに減少しました。株高基調を背景に、投資家が金への投資を大幅に減らしており、リスク資産に資金を回している様子がうかがえます。

COMEX金先物市場での大口投機筋の11月5日時点のポジションは27万9,828枚のネット買い越しとなり、前週から3,313枚増加しました。買いポジションが9,168枚増加し、売りポジションが5,855枚減少しました。ただし、週末にかけて金相場が下落基調となったことから、投機筋がさらに買いポジションを減らしている可能性があります。

金相場は下げましたが、徐々に底寝探りから底値固め、さらに反発・上昇に転じると考えます。短期的には、米中通商協議への期待でリスク資産への投資が進んでいます。しかし、この材料に対する現在の市場の反応は、あくまで臆測に基づいたものであり、確かな証拠や特定されたものはありません。

また、先週末にトランプ大統領が中国側からの発言を否定するなど、市場の反応はあまりに楽観的になりすぎているようです。今後もこの材料に市場は一喜一憂するものと思われますが、この問題の本質は関税ではなく、ハイテク分野・知的財産権にあります。ファーウェイやZTEへの制裁に関する米国内での協議も依然として継続されています。かなり先の長い材料になることは確実であり、目先の報道に振り回されないことが重要です。

株式市場の状況をみると、ファンダメンタルズ面やテクニカル面からみると、割高感・過熱感が際立ってきました。世界の主要株価指数は高値を付けるなど、リスク資産を買う動きが強まっています。このように、株式市場が行き過ぎた水準である中、投資家が安全資産である金を売り、株式を買っている状況は、リスクを取りすぎている可能性を示しているように見えます。したがって、今後は相応の注意が必要と考えます。

需給面も見ておきましょう。

Next: 中国やインドといった、金消費国の最近の動向は?

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