今日取り上げる銘柄は、一見ふざけた名称のようにも思われる「手間いらず」。しかし、普通でないからこそ、その裏に経営者の思いが詰め込まれているものです。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
手間いらずの社名に込められた理念と特筆すべき経営実態に迫る
かつての「比較.com」。新社名となったサービスとは?
今日取り上げる銘柄は手間いらず<2477>です。
私が最初にこの銘柄を知った時、「何てふざけた名前だ」と思っていました。しかし、普通でないからこそ、時にその裏には経営者の思いが詰め込まれているものです。
もともとは「比較.com」という会社名です。「価格.com」(カカクコム<2371>)と間違えてしまいそうになりますが、同じような比較サイトを運営していました。
比較サイトとしては完全に価格.comに敗れてしまいましたが、この会社はそれで終わりませんでした。2007年にインストール型宿泊予約サイトコントローラー「手間いらず!」の販売をしている会社を買収し、そこからこの事業を伸ばしてきたのです。
今ではこちらが主力事業に成長し、2017年にサービス名と同じ現在の社名に変更しました。
「予約サイトコントローラー」とは、ホテルや旅館が複数にまたがる予約サイト(自社、楽天トラベル、じゃらん…)の予約についてオーバーブッキングがないように、一方では機会損失のないように調整するシステムです。
予約がオンライン化し、とてもアナログでは管理しきれなくなったホテル運営にとって、なくてはならないものです。訪日外国人が急増する中で、ますますその需要が高まっています。
まさに、ホテルにとっての「手間をなくす」という点で、サービス名、社名が一貫したものになっているのです。これは、経営理念にもあらわれています。
手間いらずは、世界中のモノやコトとの連携で人々の手間を無くし、それによって創出されるたくさんの出会いや時間などが社会を豊かにしていくことを目指します。
出典:手間いらず「経営理念」