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大幅反落した金は徐々に底値固めして上昇へ、原油は高値圏で楽観が広がるも波乱含み=江守哲

堅調な中国とロシアの金買いが価格を下支え

中銀は2010年以降、ネットで買い越しを続けています。彼らがこの姿勢を変えないうちは、金相場は下げにくいと考えるのが自然でしょう。特に中国とロシアの買いがきわめて堅調です。外貨準備の構成を大きく転換させていますが、対米政策の一環であることはいうまでもないでしょう。このように、金は中銀によって戦略的に買われています。この背景をよく理解したうえで、中長期的な視点で金市場を見ていくことが肝要です。

今後の目先の金相場ですが、株価の割高感・過熱感がどの程度意識されるか次第でしょう。とはいえ、金相場は11月から2月に上昇しやすい傾向があります。そのため、今の時期に金を手放すのは得策ではないでしょう。また、株価が調整すれば、安全資産として金が買われる可能性はきわめて高いと考えられます。

1,450ドル前後にあるサポートを試す展開にありますが、この水準を維持できれば、再び上向くものと考えます。短期的には売られすぎ感が出始めていますので、そろそろ反発を想定しておきたいところです。株安リスクを背景とした投資資金の流入も加わり、金相場は今年の高値である1,557ドルを再び目指す動きになるものと考えます。

株安基調がさらに強まれば、この水準を超える可能性も十分にあるでしょう。11月は今年最大のリスクオフの動きに要注意と考えます。

原油は高値圏を維持しています。予想より堅調な伸びを示した米雇用統計に加え、米中両国が貿易協議に関して今月中に「第1段階」の合意に達することへの期待から、原油需要の見通しが改善されたことが材料視されているようです。

米エネルギー情報局(EIA)が発表した11月1日までの週の石油在庫統計では、原油在庫は前週比793万バレル増でした。原油生産量は日量1,260万バレルで、前週から変わらずです。原油輸入量は日量62万バレル減の608万バレル、原油輸出量は日量96万バレル減の237万バレルでした。

ガソリン在庫は283万バレル減、ガソリン需要は日量64万バレル減の915万バレル、ディスティレート在庫は62万バレル減でした。石油製品需要は日量46万バレル減の2,113万バレルでした。製油所稼働率は1.70%ポイント低下の86.00%でした。

一方、8日までの1週間の米国内の石油掘削リグ稼働数は前週比7基減の684基となり、3週連続の減少となりました。これは17年4月以来の低水準です。前年同期の稼働数は886基でした。しかし、それでも産油量は減少しておらず、リグ当たりの生産効率が格段に向上している様子がうかがえます。

OPECのバーキンド事務局長は、20年の石油市場見通しが従来予想より上向くとの見解を表明しています。減産拡大の必要性を重視しない姿勢を示したとみられています。

Next: この先数年単位の原油価格を決める、周辺状況の動向は?

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